2026年の年末調整で何が変わる?基礎控除104万円・扶養136万円・通勤手当

2026年の年末調整では、令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の変更が反映されます。令和8年度改正分は2026年11月までの月次源泉徴収には反映せず、12月の年末調整で年間税額を計算し直します。
2026年の主な変更
- 基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円です。
- 給与所得控除の最低保障額は65万円から74万円へ上がります。
- 扶養親族等の所得要件は62万円以下、給与収入だけなら136万円以下が目安です。
- 19歳以上23歳未満の特定親族は、給与収入136万円超197万円以下まで特別控除の対象になり得ます。
- 通勤手当は、片道65km以上の距離区分と、一定の駐車場代を月5,000円まで加える仕組みが新設されました。
ただし、控除額が増えた人全員に同じ額が還付されるわけではありません。給与、ほかの所得、扶養、保険料、住宅ローン控除、すでに引かれた源泉所得税によって精算額は変わります。確認日:2026年7月28日。
2026年の年末調整で変わる項目
| 項目 | 2026年分のポイント | 本人が確認すること |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 合計所得に応じて104万円、67万円、62万円など | 申告書へ給与以外を含む合計所得の見積額を記載 |
| 給与所得控除 | 最低保障額が65万円から74万円へ | 給与収入190万円以下を中心に影響 |
| 扶養親族等 | 所得要件が58万円以下から62万円以下へ | 給与だけなら年収136万円以下が目安 |
| 特定親族 | 対象所得の下限が62万円超へ。給与だけなら136万円超 | 19歳以上23歳未満の親族の年収見込み |
| 勤労学生 | 所得89万円以下。給与だけなら163万円以下が目安 | 本人の所得とほかの控除要件 |
| 通勤手当 | 65km以上の区分、一定の駐車場代を月5,000円まで加算 | 通勤距離、駐車場の場所・料金、給与明細 |
| 申告書 | 基礎・配偶者・特定親族・所得金額調整控除の兼用申告書が変更 | 前年の様式を使わず、勤務先が配布する当年分を使用 |
なぜ12月に還付が増える可能性がある?
令和8年度改正は2026年分の所得税に適用されますが、1月から11月までの月次源泉徴収は、この改正を反映しない税額で進みます。12月の年末調整で改正後の基礎控除と給与所得控除を使って年税額を計算し、すでに引かれた税額との差を精算します。
増えた所得控除額 × その人に適用される所得税率 = 所得税が減る額の大まかな目安
例:控除が10万円増え、税率5%の部分に効くなら、本体の所得税は概算5,000円減ります。
12月に必ず還付されるわけではありません。 年の途中で扶養が減った、賞与が増えた、副業など給与以外の所得がある、申告書の見積額が変わった場合は、還付が小さくなるか追加徴収になることもあります。
また、ここで扱うのは所得税です。住民税の控除、社会保険料、勤務先の家族手当は別のルールで計算されます。「所得税の壁が上がったから社会保険の扶養も同じ」とは限りません。
基礎控除は最大104万円
| 合計所得金額 | 2026・2027年分の基礎控除 |
|---|---|
| 489万円以下 | 104万円 |
| 489万円超655万円以下 | 67万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
判定に使うのは年収ではなく合計所得金額です。給与だけの人は給与収入から給与所得控除を引いた金額が出発点になりますが、副業、事業、不動産、雑所得などがあれば合算します。
「給与年収が489万円以下なら基礎控除104万円」という意味ではありません。申告書では、給与収入と給与所得、給与以外の所得を分けて見積もり、合計所得を判定します。
給与所得控除の最低保障額は74万円
給与所得控除は、会社員の給与収入から差し引く概算経費に相当する控除です。2026年分は最低保障額が65万円から74万円へ上がります。主に給与収入190万円以下の人に影響し、190万円超220万円以下にも改正後の計算があります。
給与所得控除と基礎控除は別です。給与から給与所得控除を引いて給与所得を求め、その後、基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除などを引いて課税所得を計算します。
扶養の給与収入目安は136万円へ
| 区分 | 合計所得の要件 | 給与収入だけの場合の目安 |
|---|---|---|
| 扶養親族・同一生計配偶者等 | 62万円以下 | 136万円以下 |
| 特定親族 | 62万円超123万円以下 | 136万円超197万円以下 |
| 配偶者特別控除の対象配偶者 | 62万円超133万円以下 | 136万円超207万円以下 |
| 勤労学生 | 89万円以下 | 163万円以下 |
給与以外の所得がある場合、表の給与収入目安だけでは判定できません。家族がフリマ、業務委託、配当などの所得を得ているときは、給与以外も含めた合計所得を見積もります。
税法上の扶養、健康保険の被扶養者、勤務先の家族手当は別制度です。給与収入136万円以下ならすべての扶養に入れる、という意味ではありません。
大学生年代は特定親族特別控除を確認
生計を一にする19歳以上23歳未満の親族がアルバイトをしている場合、通常の扶養控除から外れても、特定親族特別控除の対象になる可能性があります。2026年分は、給与収入だけなら136万円超197万円以下が目安です。
| 特定親族の給与収入 | 親が受けられる控除額 |
|---|---|
| 136万円超159万円以下 | 63万円 |
| 159万円超164万円以下 | 61万円 |
| 164万円超169万円以下 | 51万円 |
| 169万円超174万円以下 | 41万円 |
| 174万円超179万円以下 | 31万円 |
| 179万円超184万円以下 | 21万円 |
| 184万円超189万円以下 | 11万円 |
| 189万円超194万円以下 | 6万円 |
| 194万円超197万円以下 | 3万円 |
年末調整では、年齢、生計を一にしているか、年間の合計所得見込みを確認し、当年分の兼用申告書に記載します。12月の給与が確定する前に、アルバイト先の給与明細や年内の勤務予定を確認しておくと修正を減らせます。
通勤手当は65km以上と駐車場代が変わる
2026年4月1日以後に支払われる通勤手当から、車や自転車などで片道65km以上通勤する人の非課税限度額が細分化されました。65km以上75km未満は月4万5,700円、75km以上85km未満は5万2,700円、85km以上95km未満は5万9,600円、95km以上は6万6,400円です。
さらに、通勤のために勤務先周辺、駅、停留所周辺などの一定の駐車場を常用し、本人が料金を負担する場合は、通勤距離の限度額へ駐車場料金相当額を月5,000円まで加えられます。片道2km未満は対象外です。
給与所得者本人が年末調整で通勤手当を控除するのではなく、勤務先が非課税額を判定します。対象になりそうな人は、通勤経路、距離、駐車場の契約・支払額が勤務先へ正しく届いているか確認してください。
年末調整前に確認する順番
- 2026年分の申告書を使っているか確認する。
- 本人の給与収入と、給与以外を含む合計所得の見積額を確認する。
- 配偶者・扶養親族・特定親族の年齢と年間所得見込みを確認する。
- 生命保険料、地震保険料、iDeCoなどの控除証明書を集める。
- 通勤距離や駐車場代の変更を勤務先へ届けたか確認する。
- 年末調整で扱えない医療費控除、寄附金控除、投資損失などは確定申告の準備をする。
年末調整でできないこと
医療費控除、ふるさと納税などの寄附金控除、住宅ローン控除の1年目、上場株式の損益通算・繰越控除、外国税額控除などは、原則として確定申告で手続きします。年末調整で還付を受けても、確定申告の要否がなくなるわけではありません。
副業や暗号資産などの所得がある人は、勤務先へ提出する合計所得見積額と、確定申告の要否を分けて確認してください。個別の税務判断が必要な場合は、税務署や税理士へ相談します。
よくある質問
12月の給与で必ず税金が戻りますか?
必ずではありません。控除増で年税額が下がる可能性はありますが、年間給与、扶養の変更、ほかの控除、すでに源泉徴収された額によって還付または追加徴収が決まります。
年収136万円以下なら社会保険の扶養にも入れますか?
所得税の扶養要件と社会保険の被扶養者要件は別です。勤務先の規模、週の労働時間、月額賃金、年収見込みなど、社会保険側の条件を別に確認してください。
前年の年末調整書類を使ってもよいですか?
使用しません。2026年分は兼用申告書の控除額や判定欄が前年から変わっています。勤務先が配布する当年分または国税庁の当年分を使います。
駐車場代は自分で申告書へ書けば控除されますか?
所得控除ではありません。勤務先が通勤手当の非課税限度額を判定するため、通勤経路、駐車場の場所、契約、本人負担額を勤務先の手続きに従って届けます。
まとめ
2026年の年末調整では、基礎控除最大104万円、給与所得控除の最低保障額74万円、扶養親族等の給与収入目安136万円が主要な変更です。令和8年度改正分は11月までの月次源泉徴収に反映せず、12月に年間税額を精算するため、前年より還付が増える人もいます。
大学生年代の家族がいる人は特定親族特別控除、長距離の車通勤や駐車場利用がある人は通勤手当の非課税限度額も確認してください。前年の数字を流用せず、2026年分の申告書と家族の最新の所得見込みで手続きすることが大切です。
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参考にした公式情報
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(2026年7月28日確認)
























