証券取引所に上場して株が売買できるようになっている企業を上場企業といいます。中でも審査が厳しい東証一部に上場している企業は信頼の証のようなイメージもあります。広く名前が知られている企業は、東証一部上場企業であることが多いです。
その一方で、メチャクチャ有名な企業なのに、実は上場していない(未上場)だという会社も結構あったりします。
実は上場していない有名企業
まずは、良く名前は知られているのに、上場していない企業を紹介します。なお、有名で未上場ですが、親会社が上場しているようなケースは除きます。
たとえば、カルピス株式会社は未上場ですが、100%親会社のアサヒ飲料があり、持ち株会社のアサヒグループホールディングスは上場しています。
今回は、こうしたケースは除外し、グループ企業ではないが上場していないという会社をピックアップしています。
- サントリー
- 竹中工務店
- JTB
- JCB
- ミツカン
- 朝日新聞・読売新聞などの新聞社
- 日本生命・明治安田生命など生命保険会社
サントリー(サントリーホールディングス)
株式の約9割は創業家の資産管理会社の寿不動産が所有。子会社のサントリー食品インターナショナルは上場していますが、同社の約6割の株はサントリーホールディングスが保有しています。
竹中工務店
スーパーゼネコンの一角。大手5社の中では唯一の非上場。創業は江戸時代にまでさかのぼることができ、創業一族で社名にもある竹中家による経営がされています。主要株主も創業家のグループ企業となっています。
JTB(日本旅行)
大学生就職人気ランキングでは常連のJTB。こちも未上場です。公益財団法人日本交通公社の営業部門を分離、民営化した会社。株式会社日本交通公社として創業。主要株主は公益財団法人日本交通公社のままです。
JCB
三和銀行、日本審判によって設立されたクレジットカード会社。現在の主要株主は三菱UFJ銀行や三井住友銀行、太陽生命保険など。従業員持ち株会の保有比率も多く、2008年に米国カード会社のVISAが上場した際、JCBも上場するのでは?という思惑もありましたが、未上場を貫いています。
ミツカン(Mizkan Holdings)
調味料・お酢で有名なミツカンも代表的な未上場企業です。1804年に酒造業として創業され、中埜家が代々事業を継承しています。
朝日新聞・読売新聞などの新聞社
法律による規制もあり新聞社(日刊新聞)は株式の譲渡が制限されており、その関係上上場することができません。
日本生命・明治安田生命など生命保険会社
生命保険会社は「相互会社」と呼ばれ契約者に相互扶助のための会社であるとされており、株式会社の形式をとっておらず、上場していません(できません)。一方で、第一生命のように相互会社から株式会社に転換し、上場した保険会社もあります。
なぜ上場しないのか?
日刊新聞社や相互会社のように、そもそも上場できないケースを除けば、基本的には上場する必要がないからというのが回答になると思います。上場することで得られるメリットとデメリットを秤にかけたとき、デメリットの方が大きいと判断しているのでしょう。
上場のメリット
- 会社の信用力や知名度が上昇する
- 資金調達がやりやすくなる(増資など)
- 創業者利得が得られる
こうした点が挙げられます。ただ、今回紹介したような未上場企業はすでにバツグンの知名度を持っているため、わざわざ上場する必要はたかくないのでしょう。
創業者利得(創業者が上場するときに株を売って利益を得る)という話も、すでに巨大グループになっている以上、得られる金銭は大きいでしょうが、あえてそれを望みもしないのでしょう。逆に、デメリットで生じる影響力低下などのマイナスの方が大きいと判断しているのでしょう。
上場のデメリット
- 株主対応が必要となる
- 短期的な成果を求められるようになる
- 経営者=創業一族の影響度が低下する
こうした点がデメリットです。公開企業として上場する場合、非上場である以上に情報開示が求められます。また、株主に対する配当金の支払いや株主関係事務なども必要になります。株主の中には、短期的な成果を求める株主もいるわけで、長期的な戦略との間でジレンマに陥るケースもあります。
また、上場の際、創業者は株を一部手放す必要があり、その結果として、創業一族による支配力が低下することにもつながります。
上場してなさそうで実は上場している会社
上場してそうなのにしていない会社を紹介してきましたが、実はその逆もあったりします。驚かれる方も多いのですが、日本銀行(日銀)は実は上場しており株(出資証券)を売買することもできます。
銘柄コードは8301です。
ただし、議決権はなく、高配当というわけでもないので、保有するのはほぼ趣味としての意味しかありません。