政府の銀行、銀行の銀行とも言われる日本銀行。私たちが普段利用しているお金にも日本銀行券と書かれているように、紙幣を発行しているのも銀行です。この日本銀行ですが、三菱東京UFJ銀行などの都市銀行と同じように証券取引所に上場しており、ネット証券などを通じて日銀の株(正確には出資証券)を買うことができます。
なぜ日銀は上場しているのか?また、実際に取引されているのか?日銀の株(出資証券)を持つメリットやデメリットなどを紹介していきます。
日本銀行(8301)は上場しており個人でも買える
日本銀行は東京証券取引所に上場しています。
銘柄コードは8301です。
日本銀行は株式会社ではない為、発行されているのは株ではなく、それに準ずる形となる「出資証券」となります。そのため、1株、2株と数えるのではなく、1口、2口といったように数えます。取引の1単元は100口となっています。
通常の株と同じですね。
日銀への議決権などの株主としての権利はあるのか?
ありません。出資者は経営への関与は認められておらず、役員を選任したりすることもできなくなっています。通常の株主であればこうした共益権が認められているわけですが、日銀の場合は認められていません。
また、出資口数の内55%は政府が保有しており、これを手放すことはありません。
配当金はあるのか?
あります。払込出資額に対して5%となります。
年5%ならおいしいのでは?と思われるかもしれませんが、これは払込出資額(額面100円)であり、5円の配当です。現在の相場(2019年5月24日終値は35,100円)から考えると、配当利回りは0.01%台と低いです。
配当目当てで投資できるレベルじゃありませんね。
仮に日銀が解散した時はどうなる?
残余財産分配権は日本銀行法により出資者には認められておらず、財産は国に帰属することになっています。
仮に日銀が解散するような場合でも出資者への分配はないということです。中央銀行ですから、そんなことをするときは日本がグチャグチャになってしまっているのでしょうけど。
※残余財産分配権は株主の権利の一つで、会社が倒産(清算)する際に残った財産の配分を受ける権利です。詳しくは「投資した会社が倒産したらどうなる?」もご覧ください。
日本銀行の株に投資するメリット・価値はあるのか?
正直ないです。
魅力の無さは出来高にも表れており、ほとんど取引されていません。
株価(価格)については変動しており、1983年11月の上場からみて上場来高値は755,000円(1988年12月)で上場来安値は18,000(1984年8月)です。
ここ5年でみても高値は9万円、安値は3万円です。ちなみに、2016年4月19日終値は37,650円となっています。それなりに変動しているように見えますが、値上がりを見越して売買するといった取引なら他の株を選択した方が良いでしょう。
ただ、実際の株主構成では民間資本となる45%分の9割弱は個人保有となっています。なんで持っているのか、その目的はわかりません……。
そもそもなんで上場しているの?
そもそもなぜ日本銀行は上場しているのか?
それは日銀というのはあくまでも日本国政府からは独立した法人であり、国と民間の資本によって存在するものだからです。この独立性を維持するため(名目)で上場して個人でも株(口)を買えるようになっているわけです。
ちなみに上場しているのはJASDAQです。東証1部じゃありません。理由は上場基準を満たせないからとなっています。
超有名企業でも上場していない会社(サントリー、竹中工務店、ミツカン)などの話は聞きますが、日銀はそれとは逆に上場してなさそうなのに上場している会社といえそうですね(笑)