投資信託

海外転勤や海外赴任時の日本の証券口座の扱いと口座を維持する方法

MINOLTA DIGITAL CAMERA意識をしている方は少ないと思いますが、日本の証券会社に口座を開設して取引をすることができるのは日本に居住している方だけです。海外への移住はもちろんですが、長期の海外赴任、転勤などで日本を離れる場合、国内の証券会社で継続的に取引をすることはできません。

原則として常任代理人の設置か、保有する有価証券を売却するなどして口座を閉鎖する必要があります。今回は海外に長期間行くことになってしまった人が国内の証券口座をどうしたらいいのか?ということをまとめていきます。

なぜ口座を閉鎖しなければならないの?

日本の証券会社は日本の証券取引法などの法令に準拠して営業をしています。
一方で、海外に移住、赴任、転勤したような方が海外からネット証券などを通じて株取引等の注文を出す場合、海外現地の法律が適用されてしまいます。

証券会社はその海外の監督官庁等からの証券業務を行う許可を取っていません。
そのため、いくら日本人投資家だからといって海外からの売買注文等を受けると法令違反となってしまうわけです。

 

ちなみに、米国の証券会社の中には海外(米国外)でも取引できる証券会社があるわけなので、日本の証券会社ももう少し頑張ればいいのに……とは思うんですけどね。

 

取引制限を受けるのはどういう人?

ちなみに、海外に行くからといって、全員が取引制限を受けるわけではありません。

いわゆる「非居住者」となった人がその対象となります。
・外国にある事務所に勤務することを目的に外国に滞在する人
・2年以上外国に滞在する目的で出国した人
・出国後に2年以上外国に滞在している人
・上記に挙げる人で一時帰国が6か月未満の人
・1年以上にわたって日本以外に居住する人

普通の海外旅行とかでは非居住者になることは、基本的にはないといえますが、外国にある事務所に勤務することになった人は取引制限を受けることになるわけです。

 

該当する場合はどうしたらいい?

非居住者となる場合は「常任代理人を設置」あるいは「全部売って(清算)して口座の閉鎖」が基本的な対応となります。

ただ、現実的な対応として国内のネット証券の場合は、原則的に「全部売って口座を閉鎖してください」という対応になってしまいます。一方で総合証券は多少扱いが違うみたいですね。

代表的なネット証券のヘルプページなどから海外転勤や海外赴任時の口座の扱いについての内容をまとめました(2016年7月8日調査時点)

 

SBI証券の対応

中長期で海外赴任をなさる等の事由により、外国為替、及び外国貿易法(外為法)第6条第1項第5号の定めによる「(本邦)非居住者」に該当する場合、当社では継続してお取引いただくことができず、原則として口座を閉鎖していただくこととなります。
当社にお預けいただいている有価証券等はご売却いただくか、移管等のお手続きをお願いしております。

 

マネックス証券の対応

海外赴任等の理由により、法令の定める「非居住者」(※)に該当する場合、お取引いただくこともできません。出国後に「非居住者」に該当されることが判明した場合には、当社にて速やかにお取引の制限、特定口座や非課税口座(NISA)の廃止などの手続きをさせていただきます

 

auカブコム証券の対応

海外にお住まいになる場合には非居住者と定義されるため、原則口座解約の手続きをお願いしております。当社では海外に1年以上暮らしている(あるいは暮らす予定である)人を非居住者と定義しています。 ただし、期間の定めのない海外転勤、海外留学の場合は、1年未満でも非居住者とみなします。

 

野村證券の対応

海外勤務等のため、一時的に出国されるお客様につきましては、引き続き、当社の証券口座で有価証券等をお預けいただくことができます(出国後のお取引については、制約があります)。 具体的なお手続き方法は、お取引店までお問い合わせください。

 

海外に行くけど、日本の証券会社で取引を続ける方法

こちらは2016年現在難しそうです。
米国の証券会社などで日本人向けにも口座を開放している証券会社などでは海外からでも取引できるようなところもあるようです。

ただし、日本の証券会社ですでに購入した株式などを海外証券会社にそのまま移管することには対応していないようです(すべてのネット証券を調べたわけではありません)。

海外転勤が多い方などはどうしているのでしょうか?ここ少し気になります。

 

ここまでの流れを鑑みると、海外転勤や海外赴任などで非居住者になるけどネット証券で株式投資などを行っているという人は野村證券に株式などを移管して、投資商品自体を引き続き保有することはできるけど、売買等をして運用することはできないというのが結論になりそうです。

移管手続きについては「証券会社を変更する手続きの流れ(移管)」も参考にしてみてください。

 

いずれにしても、コールセンターなどに連絡をして、書面のやり取りをしてといったような事務的な作業もあると思いますので、海外への転勤や赴任、異動などが決まった場合はできるだけ早く動いたほうがよさそうです。

以上、海外転勤をするときの日本の証券口座は休眠か閉鎖が必要になるというお話でした。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。