株の益出し・損出しとは?年末に確認したい税金対策と注意点【2026年版】

年末が近づくと、株式や投資信託の利益を確定する「益出し」や、含み損を確定する「損出し」を検討する人が増えます。課税口座の売却益・売却損は、1月から12月までの年間損益で税金の扱いが決まるためです。
ただし、益出し・損出しは税金だけで判断すると失敗しやすいです。売買手数料、翌年の投資方針、特定口座、NISA口座、配当金との損益通算、確定申告の必要性まで含めて考える必要があります。
先に結論
- 課税口座の売却益と売却損は、同じ年の上場株式等の範囲で通算できます。
- 売却損が残る場合、条件を満たせば翌年以後3年間の繰越控除が使えることがあります。
- NISA口座の損失は、課税口座の利益や配当金と損益通算できません。
- 年末の損出しは、税金だけでなく保有方針や買い直しコストも確認してから行うべきです。
益出し・損出しとは
益出しとは、含み益のある株式や投資信託を売却して利益を確定することです。損出しとは、含み損のある商品を売却して損失を確定することです。
どちらも投資判断の一部ですが、年末に行う場合は税金の調整目的で使われることがあります。たとえば、今年すでに大きな売却益が出ている場合、含み損のある銘柄を売却することで課税対象の利益を圧縮できる可能性があります。
課税口座では年間損益を通算できる
課税口座で上場株式や公募株式投資信託を売買した場合、同じ年の譲渡益と譲渡損は通算されます。特定口座・源泉徴収ありを使っている場合、同じ証券会社内では自動的に計算されることがあります。
一方で、複数の証券会社をまたいで損益通算したい場合や、控除しきれない損失を翌年以後に繰り越したい場合は、原則として確定申告が必要です。
| ケース | 確認ポイント |
|---|---|
| 同じ証券会社の特定口座内 | 源泉徴収ありなら自動計算されることが多い |
| 複数証券会社を利用 | 口座をまたぐ通算には確定申告を検討 |
| 損失を翌年以後に繰り越す | 確定申告と継続申告が必要 |
| NISA口座の損失 | 損益通算・繰越控除の対象外 |
損出しで税金が戻る仕組み
課税口座で売却益が出ていると、通常は約20%の税金がかかります。同じ年に別の上場株式等で売却損を確定すれば、利益と損失を通算できるため、源泉徴収された税金の一部が戻る可能性があります。
たとえば、ある銘柄で50万円の利益を確定し、別の銘柄で20万円の損失を確定した場合、年間の譲渡益は差し引き30万円になります。すでに50万円分の利益に対して源泉徴収されていれば、証券会社内または確定申告によって調整されます。
配当金・分配金との損益通算も確認する
上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等と損益通算できる場合があります。配当金や投資信託の分配金を受け取っている人は、売却損と通算できるかを確認しましょう。
詳しくは株の損失と配当金の損益通算で整理しています。配当金の受け取り方式は株の配当金の受け取り方法も参考になります。
益出しをする意味
益出しは、税金を減らす目的だけではありません。次のような場面で使われます。
- 今年の損失と利益を相殺して、損失を無駄にしない
- ポートフォリオの偏りを調整する
- 値上がりした銘柄の比率を下げる
- 特定口座内の取得単価や保有方針を整理する
ただし、利益確定後に同じ銘柄を買い直すと、買付価格や手数料、スプレッド、税引後資金の影響を受けます。単に「今年損があるから利益を出しておこう」と機械的に売買するのではなく、今後も保有したい銘柄かどうかを先に判断しましょう。
損出しで注意したいこと
- 売却したあと同じ価格で買い戻せるとは限らない
- 同日売買や買い直しのタイミングによって取得単価の計算が分かりにくくなることがある
- 損失を繰り越すには確定申告が必要
- 損益通算により扶養、国民健康保険料、住民税に影響する場合がある
- NISA口座の損失は通算対象にできない
NISAは利益が非課税になる制度ですが、損失も税務上は活用できません。新NISAの基本は新NISAとはで整理しています。
年末に確認するチェックリスト
- 今年の課税口座の実現損益はいくらか
- 含み益・含み損のある銘柄を売る理由はあるか
- 複数証券会社の損益を通算する必要があるか
- 配当金や分配金と通算する余地はあるか
- 繰越控除を使うなら確定申告を続けられるか
- NISA口座の損益を混同していないか
まとめ
益出し・損出しは、年末の税金調整として有効に使える場合があります。課税口座の上場株式等では、売却益と売却損を通算でき、条件を満たせば損失の繰越控除も利用できます。
一方で、税金だけを見て売買すると、買い戻しコストや投資方針のブレでかえって不利になることがあります。年末に確認すべきなのは「税金を減らせるか」だけでなく、「その銘柄を今後も持ちたいか」「口座全体のバランスはどうか」です。
参考:国税庁:上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除、金融庁:NISAを知る
