証券会社を変更するときの移管手続き。株式・投資信託・NISAの注意点【2026年版】

証券会社を変えたいとき、保有している株式や投資信託を必ず売却する必要はありません。商品や口座区分によっては、現在の証券会社から別の証券会社へ「移管」できます。
ただし、移管は万能ではありません。国内株式は比較的移しやすい一方で、投資信託は移管先で同じファンドを扱っている必要があります。NISA口座の商品は、金融機関変更と保有商品の移管を分けて考える必要があります。
この記事の結論
- 国内上場株式やETFは、証券保管振替機構(ほふり)を通じた移管が一般的です。
- 投資信託は、移管先で同じファンドを取り扱っていないと移管できないことがあります。
- 特定口座の商品は、特定口座同士で移管するかを確認しましょう。
- NISAは金融機関変更が可能ですが、変更前のNISA口座の商品を変更後のNISA口座へそのまま移すことはできません。
- 移管手数料、移管中の売買制限、権利確定日、貸株・信用取引の担保設定も事前確認が必要です。
証券会社の移管とは
証券会社の移管とは、保有している株式、ETF、投資信託などを別の金融機関の口座へ移す手続きです。売却して現金化するのではなく、保有商品のまま移すため、移管そのものでは通常、売却益や売却損は発生しません。
国内上場株式などは、証券保管振替機構(ほふり)の株式等振替制度を使って、証券会社などの口座上で電子的に管理されています。投資家は株券を受け渡しするのではなく、口座間の振替として手続きするイメージです。
移管を検討する理由は、手数料、アプリの使いやすさ、投資信託の保有ポイント、クレカ積立、NISA口座、IPO、米国株の取扱いなどさまざまです。証券会社選び全体は、証券会社の比較でも整理しています。
移管できる商品・できない商品
移管できるかどうかは、商品種類、移管元、移管先、口座区分によって変わります。まずは次の表で大枠を確認しましょう。
| 商品・口座 | 移管の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 国内上場株式・ETF・REIT | 移管できることが多い | 出庫手数料、権利確定日、貸株設定、信用取引の担保設定を確認します。 |
| 投資信託 | 移管できる場合がある | 移管先で同じファンドを扱っている必要があります。分配金コース違いなどで移管できないこともあります。 |
| 外国株式・海外ETF | 証券会社ごとに差が大きい | 対応市場、銘柄、移管手数料、完了までの日数を個別に確認します。 |
| 単元未満株・ミニ株 | 移管できないことが多い | サービス独自の仕組みの場合、売却して現金化する選択になることがあります。 |
| 信用取引・先物・FXなど | 原則として建玉のまま移せない | ポジションを決済してから、現金や現物株として扱う必要があります。 |
| NISA口座の商品 | 金融機関変更とは別に考える | 変更前のNISA口座の商品を、変更後のNISA口座へそのまま移すことはできません。 |
移管手続きの流れ
細かな手続きは証券会社によって異なりますが、一般的には移管先の口座を先に用意し、移管元の証券会社で出庫・移管の手続きを行います。
- 移管先の証券口座を開設する
- 移管したい商品が移管先で受け入れ可能か確認する
- 特定口座・一般口座・NISA口座など口座区分を確認する
- 移管元の証券会社で移管依頼書、またはWeb手続きを行う
- 移管完了まで売買や権利確定日、分配金・配当金の扱いに注意する
- 移管後、取得価額、取得日、数量、口座区分が正しく反映されているか確認する
Webで完結できる証券会社もありますが、書類の郵送が必要な場合もあります。急いで売買する予定がある銘柄は、移管期間中に注文できなくなる可能性を考えておきましょう。
特定口座で移管する場合の注意点
特定口座で保有している株式や投資信託は、取得価額や損益計算を証券会社が管理してくれる点がメリットです。移管後も同じように管理したいなら、移管先にも特定口座が必要です。
特定口座から一般口座へ移ってしまうと、以後の損益計算や確定申告の手間が増える可能性があります。特に、複数回に分けて購入した銘柄や長く保有している投資信託は、取得価額の管理が重要です。
口座区分の基本は、特定口座と一般口座の違いで解説しています。移管前に、移管先の口座区分と受け入れ条件を確認してください。
NISAの金融機関変更と移管は別もの
NISAは年単位で金融機関を変更できます。ただし、変更前の金融機関のNISA口座で保有している株式や投資信託を、変更後の金融機関のNISA口座へそのまま移すことはできません。
金融機関を変更した場合でも、変更前のNISA口座で保有している商品は、原則として変更前の金融機関で非課税のまま保有を続けます。売却した場合、その簿価分の非課税枠は翌年以降に再利用できる仕組みです。
また、変更したい年に、変更前のNISA口座で買付をしていると、その年分の金融機関変更ができない場合があります。NISA口座を移したい人は、年初の買付前にスケジュールを確認しましょう。NISA制度の基本は、新NISAの基本も参考にしてください。
移管せずに売却した方がよいケース
移管できる商品でも、常に移管が最適とは限りません。次のような場合は、売却して現金で移す方がシンプルなことがあります。
- 移管手数料が高く、売却コストの方が小さい
- 少額の単元未満株や古い投資信託を整理したい
- 移管先で同じ投資信託の取扱いがない
- 近いうちに売却予定で、移管中に売買できない期間を避けたい
- 損益通算やポートフォリオ整理のため、あえて売却したい
ただし、売却すれば課税口座では譲渡損益が発生します。含み益が大きい銘柄は税負担、含み損がある銘柄は損益通算の有無も含めて判断しましょう。
移管先の証券会社を選ぶポイント
移管は手続きに時間がかかるため、移管先は目的を決めて選ぶ方が失敗しにくいです。
- 投信保有ポイントやクレカ積立を重視するなら、投資信託の取扱いとポイント条件を確認する
- 国内株を中心に使うなら、売買手数料、単元未満株、アプリ、貸株の条件を確認する
- 米国株や海外ETFを使うなら、取扱市場、為替手数料、移管対応を確認する
- NISAを使うなら、成長投資枠・つみたて投資枠の商品ラインナップを確認する
- IPOや債券も使うなら、抽選方式や取扱件数も見る
投資信託の保有ポイントを重視するなら、投資信託の保有ポイント・クレカ積立ポイント比較も確認しておくと判断しやすくなります。主要ネット証券では、SBI証券、楽天証券、松井証券などが移管先候補になります。
移管前チェックリスト
手続き前に確認すること
- 移管したい商品名、銘柄コード、数量
- 移管元の出庫手数料
- 移管先での取扱い有無
- 特定口座、一般口座、NISA口座の区分
- 貸株、信用取引の担保、積立設定、分配金コース
- 権利確定日、配当金・分配金の受取時期
- 移管完了までの目安日数と、移管中に売買できない期間
まとめ
証券会社の変更では、株式や投資信託を売却せずに移管できる場合があります。国内上場株式は比較的移管しやすく、投資信託も移管先で同じファンドを扱っていれば移せることがあります。
一方で、NISA口座の商品は金融機関変更と保有商品の移管を混同しないことが重要です。変更前のNISA口座の商品を変更後のNISA口座へそのまま移すことはできないため、今後の買付をどの金融機関で行うか、既存の商品をどこで保有し続けるかを分けて考えましょう。
移管は、手数料やポイントだけでなく、口座区分、取扱商品、税務管理、移管中の売買制限まで含めて判断する手続きです。急いで動かすより、移管前チェックリストを確認してから進める方が安全です。
参考:証券保管振替機構:株式等振替制度、金融庁:NISAよくある質問、日本証券業協会:NISAのよくある質問、楽天証券:振替(移管)
