円が安全資産と呼ばれる理由を整理するイメージ

世界の金融市場が不安定になると、「円が買われた」「円は安全資産とみなされた」と説明されることがあります。ただし、日本円そのものが常に強い通貨という意味ではありません。円高になりやすい局面には、投資家のポジション解消、対外純資産、流動性、低金利通貨としての性格が関係します。

この記事では、なぜリスクオフ局面で円高になりやすいのか、円キャリー取引、対外純資産、為替市場での円の位置づけ、個人投資家が注意すべき点を整理します。

円が安全資産と呼ばれる主な理由

  • 日本が大きな対外純資産を持つ国である
  • 円は世界の主要通貨の一つで、流動性が高い
  • 低金利通貨として円を借りて外貨資産を買う取引が行われやすい
  • 市場が荒れると、円売り・外貨買いポジションの巻き戻しが起きやすい

財務省の本邦対外資産負債残高では、日本の対外資産、対外負債、対外純資産が公表されています。日本は長く対外純資産国であり、海外に多くの資産を持つ構造が、円の見方に影響してきました。

円キャリー取引の巻き戻し

円キャリー取引とは、低金利の円を借りて、より高い利回りが期待できる外貨資産やリスク資産に投資する取引です。市場が安定しているときは円売り・外貨買いになりやすい一方、金融市場が不安定になると、投資家はリスク資産を売り、借りていた円を買い戻すことがあります。

この巻き戻しが重なると、株安やリスクオフの局面で円高が進むことがあります。2024年8月の円高と円キャリー取引の関係は、円キャリー取引解消と円高の関係でも整理しています。

円は主要通貨として取引量が大きい

BISの外国為替市場調査では、米ドル、ユーロ、円、英ポンドなどの主要通貨が世界の為替取引で大きな比率を占めています。円は世界中で取引しやすい通貨であり、市場が急変したときにもポジションを調整しやすい通貨です。

ただし、流動性が高いことは「必ず上がる」ことを意味しません。日本の金利、米国金利、貿易収支、資源価格、財政、日銀の金融政策などによって、円安が進む局面もあります。

円高になるとは限らない

近年は、リスクオフでも円高になりにくい局面がありました。理由の一つは、日本と海外の金利差です。米国などの金利が高い状態では、円を売って外貨を持つインセンティブが残りやすく、リスクオフでも円買いが限定的になることがあります。

また、日本が対外純資産国であっても、国内投資家が海外資産を増やし続けると、円売り圧力が続くことがあります。円が安全資産と呼ばれる背景はありますが、為替レートは複数の要因で決まります。

個人投資家が注意したいこと

  • 「リスクオフなら必ず円高」と決めつけない
  • 外貨建て資産は為替リスク込みで考える
  • 円高時の評価損と、現地資産価格の下落が重なる可能性を見る
  • 海外ETFや外国株は長期資金で保有する
  • 短期の為替予想で集中投資しない

為替レートの基本は円高・円安の意味と為替レート変動の理由、外貨投資のコストは外貨投資とスプレッドも参考になります。

外貨建て資産の分散では円高も想定する

外国株や海外ETFを保有していると、現地通貨ベースでは値上がりしていても、円高で円換算の評価額が下がることがあります。逆に円安では円換算の評価額が押し上げられます。

長期投資では、為替を完全に予想するより、円資産と外貨建て資産の比率をあらかじめ決めておく方が現実的です。資産配分はアセットアロケーションの基本で整理しています。

まとめ

円が安全資産と呼ばれるのは、日本の対外純資産、円の流動性、円キャリー取引の巻き戻しなどが関係しています。ただし、円は常に上がるわけではなく、金利差や資金フローによって円安が続くこともあります。外貨建て資産に投資するなら、円高・円安のどちらも起こり得る前提で、資産配分と投資期間を決めましょう。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。