NISA口座数と買付額の増加を示すイメージ

金融庁が公表したNISA口座の利用状況を見ると、新NISAは一部の投資好きだけの制度ではなく、家計の資産形成の標準装備に近づいています。2025年12月末時点の調査では、NISA口座数は2,820万口座を超え、買付額は71兆円を超える規模になりました。

ただし、数字が大きいからといって、これから急いで投資額を増やせばよいわけではありません。むしろ利用者が増えた局面では、金融機関のキャンペーン、人気ランキング、SNSの成功談に流されず、自分の家計に合う使い方を決めることが大切です。

この記事の結論

  • NISA口座数は2,820万口座超、買付額は71兆円超まで広がっている。
  • 成長投資枠の買付額が大きく、積立だけでなく一括投資や個別株にも資金が入っている。
  • 口座数や買付額は安心材料ではあるが、投資判断そのものを正当化する数字ではない。
  • NISAでは損益通算や損失繰越ができないため、商品選びとリスク管理が重要になる。
  • これから始める人は、枠を埋める順番より、続けられる投資額と出口の考え方を先に決めたい。

金融庁データで見るNISAの現在地

金融庁の利用状況調査は、NISA口座数、買付額、残高などを把握するうえで重要な一次情報です。今回確認した主な数字を整理すると次の通りです。

項目 2025年12月末時点 読むときのポイント
NISA口座数 28,206,434口座 NISA口座を持つ人がかなり広がっている
買付額合計 71兆3,846億円程度 制度開始後の資金流入の大きさを見る数字
成長投資枠の買付額 55兆6,332億円程度 個別株・ETF・投信などの一括買付も含まれる
つみたて投資枠の買付額 15兆7,515億円程度 積立投資の継続利用を見る数字
残高 36兆7,758億円程度 買付額とは違い、売却や評価額変動後の残高を見る数字

買付額と残高は同じ意味ではありません。買付額はこれまで買われた金額を見る数字で、残高は売却や評価額の変動を反映した数字です。NISAが広がっていることは分かりますが、これだけで利用者全員が利益を出していると判断することはできません。

なぜ口座数より使い方が重要なのか

口座数が増えると、投資を始める心理的なハードルは下がります。一方で、周囲がやっているから自分も同じ商品を買う、ランキング上位だから安心、非課税だから損をしない、といった誤解も起きやすくなります。

NISAは利益が非課税になる制度ですが、損失が出たときに特定口座や一般口座の利益と損益通算できません。値動きの大きい商品をNISAで買うほど、非課税メリットと損失時の不利さをセットで考える必要があります。

成長投資枠とつみたて投資枠の使い分け

つみたて投資枠は、長期・積立・分散に向いた投資信託を毎月買い続ける使い方と相性がよい枠です。投資初心者や忙しい人は、まずここを家計の固定費のように設定するだけでも十分に制度を使えます。

成長投資枠は、投資信託だけでなく国内株、ETF、REITなどにも使えます。自由度が高い一方で、商品選びの失敗も起きやすい枠です。高配当株、テーマ型投信、短期で値上がりした銘柄に集中すると、NISAの非課税メリットより価格変動リスクが目立つことがあります。

利用者の状況 優先したいこと 注意点
これから始める人 急いで満額を埋めるより、毎月続けられる金額と商品を決める 口座数の増加に焦って高値づかみしない
すでに積立中の人 積立額、商品数、成長投資枠の使い道を年1回見直す 枠を使うこと自体を目的にしない
個別株も買う人 配当受取方式、外国税、為替、売買手数料を確認する NISAでは損失の損益通算ができない
夫婦・家族で使う人 世帯全体でリスク資産の割合を確認する 同じ商品に偏りすぎると家計全体の値動きが大きくなる
金融機関を変えたい人 変更可能時期、保有商品の移管可否、積立設定を確認する NISA口座の商品は金融機関をまたいで移せない場合がある

これから始める人の順番

これからNISAを始めるなら、最初に決めるのは「今年の枠をいくら使うか」ではなく、「毎月いくらなら下落相場でも続けられるか」です。ボーナスや一時金で成長投資枠を使う場合も、生活防衛資金、近い将来に使う教育費や住宅資金、借入金の返済を先に分けておきます。

商品は、低コストの広く分散された投資信託を中心に考えると、制度の目的に合いやすくなります。個別株やテーマ型の商品を入れる場合は、家計全体の一部にとどめ、値下がりしても生活に影響しない範囲に抑える方が続けやすいです。

利用者が増えた今の注意点

NISA利用者が増えるほど、証券会社や銀行、クレジットカード会社のキャンペーンも増えます。ポイント還元や手数料の安さは大切ですが、最終的な投資成果を左右するのは、商品のコスト、資産配分、投資期間、下落時の行動です。

また、外国株や海外ETFをNISAで買う場合は、外国税額控除、為替手数料、配当金の扱いを確認してください。NISAだからすべての税金やコストが消えるわけではありません。

まとめ

NISA口座数2,820万口座超、買付額71兆円超という数字は、新NISAが家計の資産形成に広く使われていることを示しています。一方で、利用者が多いことは、個々の商品や投資タイミングの安全性を保証するものではありません。

大切なのは、枠を早く埋めることより、家計に合う投資額を決め、低コストで分散された商品を中心に、下落時にも続けられる仕組みを作ることです。

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