利上げ局面で銀行株・REIT・高配当株を比較するイメージ

日銀が2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促す方針を決めたことで、株式市場でも金利上昇に強い業種・弱い業種が意識されやすくなっています。

ただし、利上げ局面だから銀行株を買えばよい、REITや高配当株を避ければよい、という単純な話ではありません。金利上昇は企業の収益、借入コスト、投資家が求める利回りを同時に変えるため、銘柄ごとに見るポイントが変わります。

この記事の結論

  • 銀行株は利ざや改善期待が出やすいが、預金金利上昇や与信費用も確認する。
  • REITは借入コストだけでなく、賃料上昇力、固定金利比率、NAV倍率を見る。
  • 高配当株は、預金・国債利回りが上がるほど、減配リスクと配当の持続性が重要になる。
  • NISAでは短期テーマとして売買するより、長期保有に耐える収益力を優先する。
  • 金利ニュースだけで資産配分を大きく変えるのではなく、現金・国債・株式・REITの役割を分ける。

利上げで見方が変わる資産

日銀の参考資料では、短期金利を従来の0.75%程度から1.0%程度へ引き上げると示されています。短期金利が上がると、銀行の資金運用、企業の借入コスト、国債利回り、投資家が求める利回りに波及します。

対象 プラスに働きやすい点 注意点
銀行株 貸出金利や運用利回りが上がると利ざや改善が期待される 預金金利上昇、与信費用、すでに株価へ織り込み済みか
REIT 借入コスト上昇や国債利回りとの比較が重くなりやすい 賃料上昇、借入期間、固定金利比率、NAV倍率
高配当株 預金・国債利回りが上がると配当利回りの魅力が相対的に薄れる 減配リスク、配当性向、DOE、業績の安定性
成長株 将来利益の割引率が上がると高PERの説明が厳しくなりやすい 売上成長率、利益率、資金調達コスト

銀行株は利ざやだけで判断しない

銀行株は、利上げ局面で注目されやすい代表的なセクターです。貸出金利や保有債券の利回りが上がれば、資金利益の改善が期待されます。特に、預金を集める力があり、貸出先も分散している銀行は、金利上昇の恩恵を受けやすいと見られます。

一方で、銀行は預金金利も引き上げる必要があります。貸出金利だけが上がり、預金金利がまったく上がらないわけではありません。また、景気が弱くなれば与信費用が増える可能性もあります。保有する債券の評価損益、政策保有株式、海外金利や為替の影響も確認が必要です。

REITは金利上昇に弱いだけではない

REITは物件取得や運営で借入を使うため、金利上昇は借入コストの上昇要因になります。また、国債や預金の利回りが上がると、投資家がREITに求める分配金利回りも上がりやすく、価格には下押し圧力がかかることがあります。

ただし、すべてのREITが同じ影響を受けるわけではありません。賃料を引き上げやすい物件、借入の固定金利比率が高い銘柄、借入期間が長い銘柄、含み益が厚い銘柄は、金利上昇への耐性が異なります。JPXのREITページでは上場REITの銘柄情報や開示情報へアクセスできるため、個別銘柄を見るときは決算短信や資産運用報告を確認しましょう。

高配当株は預金・国債と比較される

高配当株は、低金利時代には「預金より利回りが高い」という理由で選ばれやすい資産でした。ところが、預金金利や個人向け国債の利率が上がると、元本変動のある高配当株には、より高い配当の持続性が求められます。

見るべきなのは、配当利回りだけではありません。利益が減っても配当を維持できるか、配当性向が高すぎないか、DOEや累進配当方針に無理がないか、営業キャッシュフローが安定しているかを確認します。利回りが高い理由が株価下落なら、減配リスクも同時に高まっているかもしれません。

NISAで買うなら長期保有に耐えるかを見る

NISAでは配当や売却益が非課税になるため、高配当株やREITを保有するメリットがあります。一方で、NISA口座内の損失は課税口座の利益と損益通算できません。金利上昇ニュースをきっかけに短期売買を繰り返すと、非課税枠を効率よく使えない場合があります。

銀行株、REIT、高配当株をNISAで買うなら、テーマ性ではなく、5年、10年と保有しても納得できる収益構造かを確認しましょう。配当や分配金の魅力だけでなく、価格下落時にも保有理由が残るかが大切です。

確認する指標

対象 確認したい指標 避けたい見方
銀行株 資金利益、預貸率、有価証券評価損益、与信費用 利上げ=必ず上がると決めつけない
REIT LTV、平均借入金利、固定金利比率、平均残存借入期間 分配金利回りだけで選ばない
高配当株 営業キャッシュフロー、配当性向、DOE、累進配当方針 利回り上昇が株価下落の結果でないか見る
NISA 非課税で長期保有できる銘柄か 短期テーマ売買で枠を浪費しない

利上げ局面は、資産を全部入れ替えるタイミングではなく、金利上昇に対して自分のポートフォリオがどれくらい偏っているかを点検するタイミングです。銀行株に偏りすぎていないか、REITや高配当株を利回りだけで持っていないか、現金や個人向け国債との役割分担ができているかを確認しましょう。

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