発行済株式と潜在株式の違い。EPS・希薄化・新株予約権の見方【2026年版】

発行済株式と潜在株式は、PER、PBR、EPS、BPSを見るときに重要な概念です。会社の利益や純資産を「1株あたり」に直すとき、何株で割るかによって数字が変わるからです。
この記事では、発行済株式、自己株式、潜在株式、新株予約権、希薄化の意味を初心者向けに整理します。
発行済株式とは
発行済株式とは、会社がすでに発行している株式の総数です。上場会社の決算短信、有価証券報告書、会社四季報などで確認できます。
ただし、発行済株式数には会社が自社で保有する自己株式が含まれる場合があります。EPSやBPSを計算するときは、自己株式を除いた株式数を使うことが多く、資料ごとに前提を確認する必要があります。
潜在株式とは
潜在株式とは、将来普通株式に変わる可能性がある権利や証券のことです。代表例は、新株予約権、ストックオプション、転換社債型新株予約権付社債です。
日本取引所グループの新株予約権証券の説明では、新株予約権は、会社が株主に対して会社の株式の交付を受けることができる権利を付与するものとして整理されています。これらが行使されると株式数が増え、既存株主の持ち分や1株あたり利益が薄まる可能性があります。
希薄化とは
希薄化とは、株式数が増えることで1株あたりの利益や純資産、既存株主の持ち分が薄くなることです。公募増資、新株予約権の行使、転換社債の転換などで起こります。
| 項目 | 株式数が増える前 | 株式数が増えた後 |
|---|---|---|
| 当期純利益 | 10億円 | 10億円 |
| 株式数 | 1,000万株 | 1,250万株 |
| EPS | 100円 | 80円 |
この例では、利益が変わらないまま株式数が増えたため、EPSが下がります。公募増資の影響は公募増資で株価が下がる理由で詳しく整理しています。
潜在株式調整後EPSを見る理由
潜在株式が多い会社では、現在のEPSだけでなく、潜在株式が普通株式に変わった場合の影響を確認する必要があります。企業会計基準委員会の1株当たり当期純利益に関する会計基準では、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の考え方が整理されています。
投資家にとって重要なのは、現在の株式数だけでなく、将来株式数が増える可能性です。ストックオプションや転換社債が大きい会社では、将来のEPSが薄まる可能性があります。
どこで確認するか
- 決算短信の1株当たり情報
- 有価証券報告書の株式等の状況
- 新株予約権等の状況
- 自己株式の取得・消却に関する開示
- 公募増資や第三者割当増資の適時開示
- 会社四季報の発行済株式数
財務資料の基本は財務諸表の読み方、銘柄情報の調べ方は会社四季報の使い方も参考になります。
自己株式と株式消却
会社が自社株買いを行うと、市場から自社株を取得します。取得した自己株式を消却すれば発行済株式数が減り、EPSが上がりやすくなります。一方、自己株式として保有するだけの場合は、将来の処分や株式報酬への利用もあり得ます。
自社株買いは株主還元として好感されることがありますが、成長投資を犠牲にしていないか、財務に無理がないかも確認しましょう。
投資判断での注意点
- PERやPBRの計算に使われる株式数を確認する
- 潜在株式調整後EPSがあるか見る
- 新株予約権や転換社債の規模を確認する
- 公募増資や第三者割当増資の可能性を考える
- 自己株式が消却されるのか、保有されるだけなのか見る
PERの読み方はPERとは、PBRの読み方はPBRとはも確認してください。
まとめ
発行済株式と潜在株式は、1株あたり指標を読むための土台です。株式数が増えるとEPSやBPSが薄まる可能性があります。PERやPBRを見るときは、利益や純資産だけでなく、株式数と潜在株式の影響も確認しましょう。
