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新しい積立投資のやり方「バリュー平均法」とは?そのメリット、デメリット

valueinvestment積立投資のやり方として代表的なものの一つに、毎月定額を投資するという「ドルコスト平均法(定額投資法)」は昔から知られています。そして今回紹介する「バリュー平均法」というのは、この積立投資におけるもう一つの運用方法です。今回はこのバリュー平均法とはどのような投資方法でどんなメリットがあり、どういった点に注意が必要なのか?というところをまとめていきます。

バリュー平均法とは?

バリュー平均法は、アメリカのハーバード大学の元教授である「マイケル・エデルソン博士」が考案、発表した積立投資法です。

手法をまとめます。

まずは、運用の目標額を設定します。
たとえば、運用資産を毎月2万円ずつ上乗せして10年後には240万円の資産を構築することを目標にしていきます。

その上で、実際に積立投資をしていきます。その上で、毎月の運用状況が基準以下であれば追加の投資を行い、基準以上であれば超えている部分を売却するというものです。

前述の通り、毎月2万円の上乗せを目標としているとします。
仮に10ヶ月後であれば、2万円*10ヶ月=20万円の積立が必要となります。

ところが、その10ヶ月目の段階で運用がうまくいっており、評価額が22万円になっているという場合は、2万円分を売却して現金化します。逆に、株価の下落などによって評価額が17万円にまで下落している場合には目標である20万円となるように3万円を追加投資するという形になります。

 

バリュー平均法とドルコスト平均法の違い

ドルコスト平均法は「安い時にたくさん買って、高い時には少ししか買わない」というスタイルです。
今回紹介するバリュー平均法はこのスタイルを「より強化したもの」ということができます。

バリュー投資法は株価などが下落してしまった場合には、「追加の投資」をすることによって、さらにたくさんの数量を購入します。逆に株価が上昇している場合には、「目標を上回る分を売却」することによって高い時に利益確定をする。という運用になっています。

参考:「ドルコスト平均法による投資のメリットとデメリット

 

バリュー平均法のメリット、デメリット

メリットは、ドルコスト平均法と比較した場合、トータルとして平均取得価格の引き下げ効果が強くなるという点が挙げられます。「安い時には頑張ってたくさん買う、うまくいっている時は行き過ぎた分は売る」というスタイルになるため、ドルコスト平均法とバリュー平均法とでシミュレーションをするとバリュー平均法の方が平均取得価格は安くなります。

ただし、メリットだけではありません。デメリットも大きいので注意が必要です。

 

下落相場では追加の拠出が厳しい

バリュー平均法では、運用資産の評価額が目標を下回っている場合には、追加の資金を拠出する必要があります。ただし、極端な下落をしたり、長期にわたって下落し続けるような相場の場合は、毎月の資金拠出が大きくなりすぎて運用を継続できなくなるという恐れがあります。

特に、長期間にわたってバリュー平均法にて運用を続けると、損失が出始めた時のマイナス額が大きくなってしまい、それを基準額に戻すための追加拠出が厳しくなります。

たとえば、毎月3万円を平均1000円の商品で10年投資したとします。10年後には360万円の運用額となっています。この商品の価格が急きょ900円にまで下落した場合、生じる不足額はなんと36万円にも上ります。月々の拠出である3万円に加えて損失穴埋めとなる36万円を用意するというのはあまり現実的な話ではないでしょう。

このような問題がバリュー平均法による運用の問題点といえるでしょう。

たとえば、日経平均でいえば2008年は1年間で相場が40%も下落しています。このような時、過去の投資残高にもよりますが、多額の含み損が発生するはずでそれを埋めるための拠出額は極めて高額になります。

 

上昇相場が続くとき、運用による複利効果が得られにくい

また、うまくいっている場合も、想定以上の利益は利益確定をしてしまいます。長期的に上昇し続けるような上昇相場の時には、早い段階で売却をし始める形となります。
結果として大相場による運用の果実を得られにくいという形となってしまいます。これが第2のデメリットです。

たとえば、日経平均は2013年の1年間で約52%も上昇しています。このような大相場が訪れた時、バリュー平均法だと含み益が生じ、その含み益が拠出額を超え、投資ではなく売却となるケースもあるかと思います。そうなってしまうと、大相場の初動で株を売ることになり、リターンを押し下げてしまいます。

また、上昇時に売却することで利益が生じることで「課税される」という点にも注意が必要です。基本的に運用の複利効果を高めるためには課税は先送りするのが運用効果を高める上で重要です。ところがつどつど利益確定をすると課税によるリターン低下が発生してしまいます。
この点についてはバリュー平均法による運用を「確定拠出年金」のような非課税口座で利用するなどして対処が可能です。

参考:確定拠出年金の特徴や基本を解説

 

 

バリュー平均法による運用は「確実」に用意したい運用に向く

以上を踏まえて考えると、バリュー平均法による運用はたとえば、30年後の引退までに2000万円を運用で貯めたいというような長期的かつ確実性を求める運用に向いていると言えます。

前述の途中での課税というデメリットを考えると「確定拠出年金口座」などでの利用を検討すると良いかと思います。ただし、相場下落時の「追加拠出」が必要となるため、運用の一部を定期預金のような形にしておくといった工夫が必要となります。

 

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。