ブックビルディング(Book Building)とは、新規公開株(IPO)の公開価格を決める方法の一つです。「需要申告」のほか、「需要積み上げ方式」や「需要予測方式」とも呼ばれます。

多くの証券会社では、IPOの申込や抽選対象となるためにブックビルディングに参加することが条件となっています。したがって、IPO投資(新規公開株投資)を行うのであれば、ブックビルディングに申込をすることが第一歩となります。

今回は、そんなブックビルディングの仕組みや特徴、申し込み時の注意点などを詳しく紹介します。

ブックビルディングとは何か?

ブックビルディングとは、新規公開株の公開価格(IPO当選者に配分するときの金額)を決めるための方法の一つです。IPOの流れは以下のようになっており、ブックビルディングはIPOに投資家が初めて関わる部分となります。

  1. 引受審査と上場審査(主幹事証券による引受審査が約5〜6ヶ月、東証による上場審査が約2ヶ月)
  2. 仮条件の決定(IPO価格の上限・下限が決まる)
  3. ブックビルディング(投資家による申し込み:通常5〜7日間)
  4. IPO価格の決定
  5. IPOの抽選・配分の決定
  6. 購入申込
  7. IPO実施(上場)

ブックビルディングは、上記(2)で決められた仮条件の範囲内で「○○円で×××株を買う」という申告を投資家にしてもらうことで公開価格を決定する方法です。需要を積み上げていくことで、どれくらいの購入希望者がおり、いくらなら買うと言っているかという注文を集めて、最終的な公開価格を決定します。

ストライクプライス(上限価格)での申し込みについて
現状のようにIPO株が人気のタイミングでは、ほとんどの投資家が仮条件の「上限価格(ストライクプライス)」で申告するため、仮条件の上限がそのまま公開価格となることがほとんどです。
抽選において上限価格で申告することが当選に有利になるかどうかは証券会社のルールによりますが、公開価格が自身の申告価格を上回って決定された場合は抽選対象から外れてしまうため、一般的には上限価格での申し込みが推奨されます。

入札方式との違い

ブックビルディング方式が1997年以降に主流になる以前は、「入札方式」という方法で価格が決定されていました。それぞれの違いは以下の通りです。

項目 ブックビルディング方式 入札方式
価格決定主体 発行会社と主幹事証券が協議して決定 投資家の入札価格によって自動的に決定
初値乖離 比較的抑制される傾向がある 乖離が大きくなりやすい
現在の採用状況 ほぼすべてのIPOで採用されている 現在はほぼ採用されていない

現在のIPO投資においては、ブックビルディング方式の理解が不可欠と言えます。

ブックビルディングへの参加方法と注意点

各証券会社では、IPOの抽選を行うにあたってブックビルディング参加者(申告内容)をベースとしているため、ブックビルディングへの参加が条件となっています。
※ただし、対面証券の場合は必ずしもそうでない場合もあります。

ブックビルディングと幹事証券

IPO株はどの証券会社でも買えるというわけではありません。

IPO株は「主幹事証券」や「幹事証券」「委託幹事証券」といった証券会社に個別に配分され、各社に配分された分しか投資家に売ることはできません。一般に、その会社のIPOに貢献したレベルが高い会社ほど配分も大きくなります。

主幹事証券 > 幹事証券 > 委託幹事証券

この配分量の違いは、証券会社各社の引受力や営業力などによっても変わってくるところです。過去の実績については以下の記事で紹介しているので、ランキング上位の証券会社を抑えておくことがIPO投資で配分を獲得する近道です。

IPO(新規公開株)への投資におすすめの証券会社の選び方IPO株(新規公開株)はその投資パフォーマンスが良好な傾向があることから投資家に人気です。その一方でIPO株は人気があるため投資家の応募...

ブックビルディングの申込期間

ブックビルディング期間は5〜7日間(約1週間)が一般的となっており、この期間内が投資家がIPOに申込をすることができる期間となります。

期間は各証券会社で共通となっています。後述する資金拘束などがある場合は、ご自身の資金状況を考慮して申込をする必要がある場合があります。

複数の証券会社のブックビルディングに応募してもいいの?

IPOは複数の証券会社から申し込みをしても問題はないのか?IPO(新規公開株)は比較的成績が好調であることが多いため、IPO抽選に応募して当選するためには「できるだけ複数の証券会社から応募する」...

上記でも紹介しています。制度趣旨的に言えば、需要申告が重複することになるため好ましくないといえます。公正取引委員会が2022年1月に公表したレポートでも、重複需要申告は制度的な問題として認識されています。

また、一部の証券会社ではブックビルディング申込時に「他社で重複して申込をしていません」というチェックボックスへの同意を義務付けている場合があります。これに虚偽の申告をした場合は利用規約違反となる可能性があるため、各証券会社のルールをしっかりと確認することが大切です。

ただ、現実問題として多くの投資家は複数の証券会社でIPOのブックビルディングを行っていますし、それで複数当選することもあります。実需がどうこうという話であれば、申し込みをした株数は当選すれば全部買うつもりであり、複数の証券会社で分割して申し込みをしたということであれば、それは実需の申告なので問題ありません。

ブックビルディングに申込をするときに資金は必要?

IPO投資 証券会社のIPO抽選時の余力と資金拘束のまとめIPOに応募するために証券会社各社のブックビルディングに応募しているという方も多いのではないでしょうか?そうしたブックビルディングへの応...

資金が必要になるタイミングと拘束の有無は、証券会社によって主に以下の3つのパターンに分かれます。

資金拘束の3パターン
  1. ブックビルディング時に資金不要
    申し込み時点では資金を入金しておく必要がなく、抽選後の購入申込時に初めて資金が必要になるパターンです。
  2. ブックビルディング時に資金は必要だが拘束はされない
    口座に資金が入っている必要はありますが、抽選が行われるまではその資金で別の取引を行うことができるパターンです。同一資金を複数のIPO申込に使い回すことが可能な場合があります。
  3. ブックビルディング時に資金が必要かつ拘束される
    申し込みと同時にその分の資金が拘束されるパターンです。この場合、当落が確定するまで出金や別の株を買うことはできません。

証券会社ごとの資金管理ルールを把握しておくことで、限られた資金を効率的に運用することが可能になります。

まとめ。IPO投資の入り口、正しく理解して上手にIPO投資を

ブックビルディング(需要申告)についての基本から実際のやり方までを、IPO投資初心者のためにまとめてみました。

ブックビルディングはIPO投資の入り口です。仕組みやルールを正しく理解して、過熱しているIPOの抽選競争に打ち勝ちましょう!

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。