やってはいけない株取引の一つとして“インサイダー取引”というものがあります。詳しい意味は知らなくても、禁止されているという事を知っている方多いかと思います。
インサイダーとは「内部者」のことで、株価に影響する出来事などを知ることができうる立場にある人です。こうした人がそうした内部情報を元に株取引をするのは不公正ですよね?
なので、こうした取引をインサイダー取引として禁止しているわけです。刑罰としては重めです。
今回はそんな株のインサイダー取引について、その基本やどういうケースがインサイダー取引に該当するのかといったことを紹介していきます。
インサイダー取引とは?
「やってはいけない株取引」でも紹介したインサイダー取引は法律によって禁止されている株取引の一つです。
金融商品取引法第166条
会社関係者は上場会社等の業務等に関する重要事実を、その者の職務等に関し知りながら、当該重要事実が公表される前に、当該上場会社等の株券等の売買等を行ってはならない。
第一次情報受領者は当該重要事実が公表される前に当該上場会社等の株券等の売買を行ってはならない。
インサイダー取引の罰則
インサイダー取引による罰則は重いです。さらに、罰金だけでなく利益の没収や課徴金も課されます。
(個人)5年以下の懲役・500万円以下の罰金
(法人)5億円以下の罰金
○没収・追徴(金融商品取引法第198条の2)
インサイダー取引規制に違反する行為によって得た財産は没収し、又はその価額を追徴する
○課徴金(金融商品取引法第175条)
罰則や没収は刑事罰に該当しますが、課徴金は刑事罰ではなく、証券取引等監視委員会による処分となります。
インサイダー取引規制に違反する売買等が「自己の計算(自分の利益を図る目的)」または「他人の計算(他人の利益を図る目的)」で行われた場合で異なりますが、相当額が課徴金として徴収されます。
たとえば、ある会社の業績下方修正の情報を先んじて知った人がインサイダー取引で空売りをして儲けたとします。
520円だった株価が下方修正により350円にまで下落したとします。インサイダー取引で1万株を520円で空売りし、400円で買い戻しました。
課徴金の計算=520円(売値)-350円(2種間内の最安値)×1万株=170万円
どういう人がインサイダーになるの?社員やアルバイトは?
インサイダー(内部者)っていうのは、企業経営者や役員、会社員でも部長のような上層部の人たちというイメージがあるかもしれません。
実際にそういった人はインサイダーとなるわけですが、実際には、一般社員や場合によってはアルバイトやパートもインサイダーとなる可能性があります。また、そうした情報を聞いてしまった人も同様です。
インサイダー取引の対象者
大切なのは以下の5項目を満たすケースです。
- 会社関係者が
- 上場会社等の業務等に関する重要事実を
- 職務等に関し知りながら
- 当該重要事実が公表される前に
- 当該上場会社等の株券等の売買等を行う
それぞれの項目別にみていきましょう。
会社関係者は幅広い
- その会社の役員や社員、アルバイト、パート(役員+従業員)
- 帳簿等を閲覧できる人
- その会社に関する許認可権限などを有する公務員
- その会社と契約や契約交渉をする人
- 第一次情報受領者
アルバイトやパートさんも会社関係者に含まれます。また、この会社関係者から伝え聞く人も対象です。
また、第一次情報受領者という点も注意が必要です。これは情報を持っている会社関係者などから重要事実を見たり聞いたりして受け通った人です。
ちなみに、過去に関係者だった人も対象です。その会社を退職してから1年以内の人は会社関係者となります。
上場会社等の業務等に関する重要事実を知る
(2)と(3)にかかる部分ですね。
前項で会社関係者は幅広いと書きましたが、「業務等に関する重要事実」を知っている人というのは少ないはずです。パートやアルバイトでも対象と書いて脅したようになっていますが、そうした人たちに対してそんな重要情報を知らせるというケースは少ないでしょう。
でも、たとえば本社勤務のパートで役員室での重要会議にたまたま資料を届けたときに、議題として「本年の業績が大変悪い」という情報があり、それを知ってしまったというのであれば、内部者が縦横用事実を知っているといえるでしょう。
また、プライベートな飲み会などでその会社に勤める友人から「画期的な新商品が開発されたこと」などを聞いた場合も、一次情報受領者として重要事実を知ったと判断される可能性があります。
当該重要事実が公表される前に
こうした重要事実は「公表」されてしまえばインサイダー取引となりません。
- 有価証券報告書などが公衆の縦覧に供された
- 2つ以上のテレビや新聞などに公開して12時間経過
- 電磁的方法(TDnet)で通知されて、公衆の縦覧に供された
といった時点でその情報はインサイダー情報ではなくなります。適時開示などの形で情報が公表されればOKということになります。
一方で出所不明のTwitterでの情報発信、株の掲示板などでの情報発信などは公衆の縦覧とはなりません。
当該上場会社等の株券等の売買等を行う
インサイダー取引で違法なのは「売買等を行うこと」です。
買っただけでまだ売っていない(利益が確定していない)からセーフという理屈にはなりません。インサイダー情報を知りながら、株を買った時点で違反行為となります。
インサイダー取引を回避することはできるか?
インサイダー取引に該当するかどうかはここに書いてきましたが、内容はケースバイケースとなります。
自分ではその情報はインサイダー情報(重要事実)ではないと思っていても、それが重要情報であると判断されてしまうかもしれません。
特に、勤務先や取引先の株を売買するときは慎重になったほうがよいです。
インサイダー取引はバレるのか?
- 少額の取引だから
- 知人や友人を介しての取引を偽装するから
こういったことをしてインサイダー取引をすればバレないのでは?という疑問をお持ちの方も多いと思います。
実際に、出来高急増銘柄などを見ると、業績修正が発表される前に不自然な取引が行われていることも見ることがあります。
こうしたことから、安易な気持ちでインサイダー取引に手を出したくなる人もいるかもしれません。
一方で、証券取引等監視委員会(SESC)も、こうしたインサイダー取引は重要な違反行為とみており、様々な形で調査をしています。証券会社などからも情報を得られる立場であり、露見するリスクは決して低く見積もれるものではないでしょう。
冒頭でも紹介したようにインサイダー取引の罰則は大変重いです。懲役刑の可能性があるだけでなく、利益の没収+課徴金で不正に儲けたお金以上のお金を徴収されてしまいます。
立派な犯罪となりますので、会社を解雇されたり社会的な制裁を受ける可能性もあるでしょう。甘く考えるのではなく、自分の厳しくトレードするようにしましょう。