投資信託の価格の表現方法について学びましょう。投資信託の価格を示す言葉には「基準価額(基準価格)」と「個別元本」とという二つの言葉があります。
投資信託の現在の価格(時価・評価額)を示すのが「基準価額(基準価格)」、投資家が取得した価格が「個別元本」となります。
今回はこれらの二つの投資信託(ファンド)の価格を示す基準について投資初心者の方にもわかりやすく紹介していきます。
基準価額(基準価格)
当日の投資信託の純資産額を口数で割った金額です。1単位あたりの投資信託全体の株価(時価)のようなものです。
基準価額と基準価格という二つの名前がありますがどちらも同じ意味でつかわれます。投資信託の用語としては「基準価額(きじゅんかがく)」が正式なのですが、日経新聞をはじめとした新聞などでは同じ意味で「基準価格(きじゅんかかく)」と表現しています。
混乱しやすいですが、どちらも同じ意味です。
毎日、新聞で投資信託の前日の基準価額が掲載されています。投資信託は、保有している投資商品の価格が日々変動するため、一定の時刻において締めて、時価評価する必要があります。その価格が基準価額がとなるわけです。
投資信託を買ったり売ったりするときの価格もこの基準価額で取引されます。
新聞等に載っている基準価格は過去(前日)の値段
ちなみに、新聞などに掲載されている投資信託の基準価格は過去(前日)のものです。
たとえば、仮に今日、その投資信託を買おうとする場合の価格がいくらになるのかは、わかりません。投資信託の売買はブラインド方式といわれており、売買注文を出すときに、いくらで買えるか?というのは分からないようになっています。
なので、いくらで売れたのかは後になってみないとわからないようになっています。
個別元本
個別元本というのは、当該投資信託の「取得価格」をさします。
要するにあなた(投資家)がその投資信託を買った値段のことですね。
ちなみに、平均取得価格で、同じ投資信託を複数回に分けて購入した場合は、口数の加重平均された価格が個別元本となります。
この個別元本よりも現在の基準価額が高ければ含み益が出ている状態で、逆なら含み損を抱えている状態となるわけですね。
個別元本と取得単価
個別元本は投資信託を購入したときの基準価額を指しますが、こちらには購入時に支払う販売手数料や消費税は含まれていません。
取得単価(取得価額)というものは、個別元本に販売手数料やその手数料にかかる消費税を加えたものとなります。
基準価額9500円の投資信託があり、販売手数料が3%(消費税込)とします。
これを取得した場合、個別元本は9500円となりますが、取得単価はこれに手数料+消費税を加えた9785円となります。
個別元本が増減することがある?
通常、個別元本は買った時の値段なので変動することはありません。
ただし、一つだけ例外があります。それは基準価額が個別元本を下回っているにも関わらず、分配金(収益分配金)が出るケースです。
毎月分配型ファンドなどによくあるケースで、個別元本が基準価額を下回っている(つまり含み損がでている)状態で、収益分配金が出る場合、その分配金は「特別分配金」といって税務上は分配金ではなく、元本の払い戻しとみなされます。
特別分配金とは何か?
特別分配金(元本の払い戻し)を行う場合の計算では個別元本を使用します。
特別分配金は、分配金を支払った後の基準価額が個別元本を下回る場合、その下回った額部分を指します。
仮に、個別元本が9500円で、分配金支払い後の基準価額が9300円、分配金の額が300円という場合、300円のうち200円(9500円-9300円)が特別分配金(元本の払い戻し)、残りの100円が普通分配金となります。
特別分配金は元本の払い戻しとなるので、個別元本、取得単価(取得価額)ともに修正されます。
- 修正後個別元本:9500円→9300円
- 修正後取得価額:9785円→9585円
こうなるわけですね。
投資信託の儲けに対する税金の計算方法
投資信託の売買益は「取得単価-売却時の基準価額」で計算されます。売却時に信託財産留保(売却時の手数料)が発生するタイプの投資信託の場合は取得単価から、その分を控除して計算します。
「(取得単価-信託財産留保額)-売却時の基準価額=売却益(儲け)」
ということになりますね。売却益に対しては20%(復興特別所得税を含めて20.315%)が課税されます。