専業主婦・専業主夫などの国民年金第3号被保険者も、iDeCo(イデコ)に加入できます。掛金の上限は、2026年5月時点で月23,000円、年276,000円です。

ただし、専業主婦・主夫のiDeCoは、会社員や自営業者ほど分かりやすく得とは限りません。iDeCo最大のメリットである「掛金の所得控除」は、本人に課税所得がある場合に効くからです。

この記事では、専業主婦・主夫、扶養内パート、配偶者の扶養に入っている人がiDeCoを使うメリット・デメリット、NISAとの使い分けを2026年版として整理します。

先に結論

  • 第3号被保険者のiDeCo掛金上限は月23,000円です。
  • 本人に所得税・住民税がない場合、掛金所得控除の節税効果は基本的にありません。
  • 配偶者の所得税を、本人のiDeCo掛金で直接下げることはできません。
  • 運用益非課税と受取時優遇はありますが、NISAより資金拘束は強いです。
  • 扶養内パートで本人に税金が出る人は、iDeCoの所得控除メリットを受けられる場合があります。

専業主婦・主夫もiDeCoに加入できる

iDeCoは、原則として国民年金の被保険者が加入できる私的年金制度です。会社員や自営業者だけでなく、会社員・公務員などに扶養されている第3号被保険者も対象です。

2026年5月時点では、第3号被保険者の掛金上限は月23,000円です。最低掛金は月5,000円で、1,000円単位で設定できます。

対象 掛金上限 年間上限
国民年金第3号被保険者 月23,000円 年276,000円

ここでいう第3号被保険者は、厚生年金に加入している配偶者に扶養されている20歳以上60歳未満の人です。配偶者が自営業者の場合は第3号被保険者ではありません。

専業主婦・主夫のiDeCoメリット

運用益が非課税になる

iDeCoで投資信託などを運用して利益が出ても、運用益には課税されません。通常の特定口座であれば約20%の税金がかかりますが、iDeCoでは非課税で再投資できます。

長期で運用するほど、運用益非課税の効果は大きくなりやすいです。

受取時に税制優遇がある

iDeCoは受け取るときにも、一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象になります。

会社員本人の場合は、勤務先の退職金とiDeCoの一時金が重なり、退職所得控除の使い方を考える必要があります。専業主婦・主夫の場合、本人名義の退職金がないケースでは、受取時の控除を使いやすいことがあります。

老後資金を本人名義で作れる

iDeCoは本人名義の老後資金として積み立てます。家計全体では配偶者の収入で生活している場合でも、老後資金を本人名義で分けて管理できる点はメリットです。

所得控除のメリットは限定的

iDeCoの大きなメリットは、掛金が全額所得控除になることです。ただし、このメリットは「本人に課税所得がある場合」に効きます。

本人に所得税・住民税がかかっていない専業主婦・主夫の場合、iDeCoに掛金を出しても、減らす税金がありません。つまり、会社員や自営業者のような拠出時の節税効果は基本的に期待できません。

重要な注意点

  • 本人のiDeCo掛金は、本人の所得控除です。
  • 配偶者の所得から控除することはできません。
  • 本人に所得税・住民税がなければ、拠出時の節税効果はほぼありません。

専業主婦・主夫のiDeCoは、所得控除よりも、運用益非課税、受取時の控除、本人名義の老後資金づくりをどう評価するかが判断ポイントになります。

扶養内パートならメリットが出る場合がある

パート収入があり、本人に所得税や住民税がかかっている場合は、iDeCoの掛金所得控除によって税負担を下げられる可能性があります。

たとえば、本人の課税所得があり、毎月10,000円、年間120,000円をiDeCoに拠出すると、その120,000円が本人の所得控除になります。所得税率5%、住民税10%の範囲なら、単純計算で年間18,000円程度の税軽減効果が見込めます。

ただし、実際の税額は給与所得控除、基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、住民税の非課税基準などによって変わります。収入が少なく、もともと税金がほとんど出ていない場合は、iDeCoの節税効果も小さくなります。

iDeCoで社会保険の扶養判定は下げられない

注意したいのは、iDeCoの掛金が社会保険の扶養判定を直接下げるわけではない点です。

所得税や住民税では、iDeCo掛金は所得控除になります。一方で、社会保険の扶養判定は、原則として給与収入などの見込み収入で判断されます。iDeCoに拠出したからといって、年収130万円の壁や勤務先の社会保険加入判定を自由に調整できるわけではありません。

短時間労働者の社会保険加入条件も、勤務先の規模や労働時間、賃金などによって判断されます。扶養の範囲を意識する人は、iDeCoだけでなく勤務先の社会保険条件を確認してください。

NISAとiDeCoはどちらを優先すべきか

専業主婦・主夫や扶養内パートの人は、NISAとiDeCoのどちらを優先するかも重要です。

項目 NISA iDeCo
運用益 非課税 非課税
掛金・投資額の所得控除 なし あり。ただし本人に課税所得がある場合に有効
引き出し いつでも売却・出金しやすい 原則60歳まで不可
向いている資金 老後資金以外も含む長期資金 老後まで使わない資金

本人に課税所得がない場合、iDeCoの拠出時節税メリットは弱くなります。そのため、まずはNISAで流動性を確保し、老後まで使わない資金が明確にある場合にiDeCoを検討する流れが現実的です。

新NISAの基本は、新NISAとは?つみたて投資枠・成長投資枠の違いで整理しています。iDeCo制度全体は、iDeCoとは?メリット・デメリットとNISAとの違いも参考にしてください。

専業主婦・主夫がiDeCoを使いやすいケース

専業主婦・主夫や扶養内パートでも、次のような場合はiDeCoを検討しやすいです。

  • 本人に課税所得があり、所得控除の効果がある
  • 老後まで使わない資金を本人名義で積み立てたい
  • NISAとは別に、老後資金専用の口座を作りたい
  • 退職金がなく、受取時の控除を使いやすい可能性がある
  • 長期で低コスト投資信託を積み立てたい

専業主婦・主夫がiDeCoを急がなくてよいケース

逆に、次のような場合はiDeCoを急ぐ必要はありません。

  • 本人に所得税・住民税がかかっていない
  • 生活防衛資金がまだ十分ではない
  • 教育費、住宅資金、車の買い替えなど近い将来使う予定がある
  • 60歳まで資金を拘束されるのが不安
  • NISA枠もまだ十分に使っていない

iDeCoは老後資金専用の制度です。非課税だからといって、途中で必要になるお金を入れるのは避けましょう。

金融機関選びのポイント

専業主婦・主夫がiDeCoを始める場合も、金融機関選びの基本は同じです。運営管理手数料0円、低コストの投資信託、管理画面の使いやすさを確認します。

主要金融機関の比較は、iDeCoはどこで始める?おすすめ金融機関ランキングでまとめています。

まとめ

専業主婦・主夫もiDeCoに加入できます。第3号被保険者の掛金上限は月23,000円です。

ただし、本人に所得税・住民税がない場合、iDeCo最大のメリットである掛金所得控除の効果は基本的にありません。配偶者の所得から控除することもできません。

専業主婦・主夫のiDeCoは、節税目的だけでなく、本人名義の老後資金づくりとして考える。 これが基本です。流動性を重視するならNISA、老後まで使わない資金を固定したいならiDeCoという使い分けが現実的です。

参考リンク

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高山一郎
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