やってはいけない株取引と禁止行為のイメージ

株式投資では、利益を狙う以前に「やってはいけない株取引」を知っておくことが大切です。インサイダー取引、見せ玉、仮装売買、風説の流布、借名取引などは、個人投資家でも問題になり得る禁止行為です。

特に2026年現在は、SNS、掲示板、動画配信、投資コミュニティなどを通じて、個人が相場に影響する情報を発信しやすくなっています。軽い気持ちの投稿や、家族名義の口座を使った取引でも、内容によっては不公正取引や証券会社の規約違反に問われる可能性があります。

この記事では、個人投資家が知っておきたい「やってはいけない株取引」を、禁止される理由、ありがちな具体例、疑われないための注意点に分けて整理します。

やってはいけない株取引とは

やってはいけない株取引とは、公正な価格形成や市場の信頼を損なうおそれがある取引や情報発信のことです。代表例は次の通りです。

  • インサイダー取引
  • 見せ玉、見せ板
  • 仮装売買、なれ合い売買
  • 風説の流布
  • 借名取引、仮名取引
  • 公募増資に関連する不適切な空売り
  • SNSや掲示板での買い煽り、売り煽り

これらは「プロだけが気をつける話」ではありません。個人投資家でも、取引量、発信内容、注文の出し方、口座の使い方によって問題になることがあります。

インサイダー取引

インサイダー取引とは、上場会社の未公表の重要事実を知った人が、その情報が公表される前に株式などを売買することです。重要事実には、業績予想の大幅修正、合併、TOB、増資、不祥事、大口契約など、株価に大きな影響を与える情報が含まれます。

金融庁や証券取引等監視委員会は、インサイダー取引を市場の公正性を損なう行為として厳しく監視しています。会社役員や社員だけでなく、取引先、顧問、家族、知人など、情報を知った経路によっては個人投資家も対象になり得ます。

インサイダー取引になりやすい例

  • 勤務先の未公表決算情報を知って自社株を買う
  • 家族からTOB予定を聞いて対象会社の株を買う
  • 取引先の未公表大型契約を知って関連株を買う
  • 公表前の不祥事情報を知って株を売る

「少額だから大丈夫」「家族に聞いただけだから問題ない」とは限りません。重要情報を知った場合は、売買を控えるのが安全です。

従業員持株会とインサイダー取引

従業員持株会による毎月一定額の積立は、あらかじめ定められた継続的な買付であるため、通常の範囲ではインサイダー取引規制上ただちに問題になりにくいとされます。

ただし、重要事実を知った後に持株会の拠出額を急に増やす、持株会から株式を引き出して売却する、売買タイミングを自分で選ぶといった行為は慎重に考える必要があります。勤務先の内部者取引規程や証券会社のルールを確認しましょう。

見せ玉・見せ板

見せ玉、見せ板とは、約定させる意思がない注文を出して、他の投資家に需給があるように見せかける行為です。たとえば、大量の買い注文を出して株価が下がりにくいように見せ、保有株を売った後にその買い注文を取り消すようなケースです。

日本取引所グループや証券取引等監視委員会も、見せ玉を相場操縦につながる不公正取引として注意喚起しています。

見せ玉と疑われやすい例

  • 約定させるつもりのない大量注文を出す
  • 板に大きな注文を見せて、反対売買後にすぐ取り消す
  • 複数口座を使って需給が強いように見せる
  • 短時間に大量注文と取消を繰り返す

もちろん、本当に買う意思や売る意思があって大きな指値注文を出すこと自体が違法というわけではありません。問題は、他人を誤解させる目的や、相場を動かす目的があるかどうかです。

仮装売買・なれ合い売買

仮装売買とは、実際には売買の実態がないのに、売買が成立したように見せかける取引です。たとえば、自分の複数口座を使って同じ銘柄を同時に売買し、出来高が増えたように見せる行為が該当します。

なれ合い売買は、他人と事前に通謀して、売買価格や数量、タイミングを合わせる取引です。いずれも、出来高や価格形成を不自然に見せる相場操縦につながる行為として禁止されています。

風説の流布

風説の流布とは、有価証券の価格を変動させる目的で、虚偽の情報や根拠のない噂を広めることです。現在はSNSや掲示板、ブログ、動画配信などを通じて、個人でも簡単に情報発信できます。そのため、昔よりも注意が必要です。

SNSで注意したい投稿例

  • 根拠なく「この会社はTOBされる」と投稿する
  • 未確認情報を断定的に広める
  • 自分が保有する銘柄について虚偽の好材料を流す
  • 株価を上げる目的で過度な買い煽りを繰り返す
  • 空売り後に虚偽の悪材料を流す

投資判断に関する意見や分析を書くこと自体が禁止されているわけではありません。しかし、根拠のない断定、虚偽情報、相場を動かす目的の投稿は危険です。発信する場合は、事実、推測、意見を明確に分けましょう。

借名取引・仮名取引

借名取引とは、家族や友人など他人名義の口座を使って、実質的には自分が取引することです。仮名取引は、実在しない名義や虚偽名義を使う取引です。これらは、本人確認、税務、マネーロンダリング対策、市場監視を妨げるため禁止されています。

家族名義でも注意が必要

株主優待やIPO抽選のために、家族名義の証券口座を使いたくなることがあります。しかし、本人の意思確認なく口座を開設したり、家族の口座で自分が勝手に取引したりすることは問題になり得ます。

家族それぞれが自分の資金で、自分の判断で取引することは通常問題ありません。一方で、資金の出所が別人である場合は、贈与税や名義預金の問題も起こり得ます。当サイトの「家族で株主優待を取るときの注意点」も参考にしてください。

なお、未成年口座で親権者が通常の範囲で管理・取引することは、一般的な借名取引とは異なります。ただし、口座名義人、資金の帰属、取引判断の実態は明確にしておきましょう。

公募増資に関連する空売り規制

公募増資が公表された後、発行価格の決定までの間に空売りを行った投資家が、その公募増資で取得した株式で空売りの決済をすることは規制されています。これは、公募増資による株価下落を利用した不公正な取引を防ぐためのルールです。

古い投資情報では、このような取引が「テクニック」として紹介されている場合があります。しかし、現在は規制対象となるため注意してください。

空売りの価格規制にも注意

信用取引や空売りを行う場合は、価格規制や報告義務にも注意が必要です。個人投資家でも、一定の条件下で空売りの価格規制に触れる可能性があります。

信用取引や空売りは、使い方によってリスクが大きくなります。Money Lifehackの「信用取引初心者が失敗する株の空売りの仕組みとリスク」も関連情報として参考になります。

証券会社の規約違反にも注意

法律上の禁止行為だけでなく、証券会社の規約違反にも注意が必要です。たとえば、家族口座の代理操作、ログイン情報の共有、自動売買ツールの不適切利用、本人確認と異なる実態での取引などは、口座凍結や取引制限につながることがあります。

ポイント投資や証券口座の活用では、各サービスのルール確認も重要です。ポイント投資の攻略ブログの「単元未満株取引におすすめの証券会社比較」も、証券会社ごとの取引ルールを確認するきっかけとして参考になります。

疑われないためのチェックリスト

株取引で余計な疑いを避けるために、次の点を意識しましょう。

  • 未公表の重要情報を知ったら関連銘柄を売買しない
  • 約定意思のない注文を出さない
  • 注文と取消を不自然に繰り返さない
  • 複数口座で出来高を作るような売買をしない
  • SNSで未確認情報を断定しない
  • 家族や友人の口座を自分の口座のように使わない
  • 公募増資やTOBなどイベント銘柄ではルールを確認する
  • 迷ったら証券会社に確認し、取引記録を残す

よくある質問

家族名義の口座で株主優待を取るのは違法ですか?

家族本人の意思で、本人の資金を使い、本人名義で取引するなら通常は問題ありません。ただし、実質的に別人が資金を出し、取引判断も別人が行っている場合は、借名取引や贈与税の問題が生じる可能性があります。

SNSで銘柄をおすすめするのは違法ですか?

銘柄分析や投資意見を書くこと自体が直ちに違法というわけではありません。ただし、虚偽情報、根拠のない断定、株価を動かす目的の買い煽り・売り煽りは風説の流布や相場操縦と見なされるリスクがあります。

大きな指値注文を出すと見せ玉になりますか?

約定させる意思がある注文なら、それだけで見せ玉とはいえません。問題になるのは、約定させる意思がないのに板を動かす目的で注文を出し、反対売買後に取り消すような行為です。

インサイダー情報を聞いただけでも取引できませんか?

未公表の重要事実を知った状態で対象会社の株式などを売買すると、インサイダー取引に該当する可能性があります。情報の出所が勤務先でなくても、家族、知人、取引先などから知った場合は注意が必要です。

まとめ

やってはいけない株取引は、プロ投資家だけの問題ではありません。インサイダー取引、見せ玉、仮装売買、風説の流布、借名取引は、個人投資家でも問題になる可能性があります。

特にSNS時代は、取引だけでなく発信内容も見られます。株価を動かす目的の投稿、未確認情報の拡散、家族口座の安易な利用などは避けましょう。疑われることをしない、わからない場合は証券会社や公式情報で確認する。この姿勢が、長く株式投資を続けるうえで大切です。

参考リンク

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。