東証マザーズとは、東京証券取引所が運営している成長企業・新興企業を中心とした株式市場です。ベンチャー企業向けの市場で、2019年3月現在278社が上場しています。
通常、上場するには黒字であることや純資産の規模などが求められますが、東証マザーズの場合、赤字であっても上場することができます。
IT系、テクノロジー系、バイオ系などの企業が多いマーケットです。今回はそんな東証マザーズとはどんな市場で、投資をするときはどんな点に注意するべきかをまとめていきます。
ベンチャー企業向けの株式市場、東証マザーズ
東証マザーズはベンチャー企業向けに開設されている市場です。
同じ東証でも「東証一部」や「東証二部」は利益や設立経過年数などが重視されているのに対して、「東証マザーズ」の場合、利益よりも今後の成長性が重要視されます。
ちなみにマザーズは「Market Of The Highgrowth and EmeRging Stocks」からとられています。Rはちょっと無理やり?
成長性が重視されているということは、言い換えると安定性については多少目をつぶっている部分もあるわけです。
きわゆるハイリスク・ハイリターンな市場であるといえます。証券会社に口座を作ればだれでも取引(売買)をすることが可能です。
東証マザーズの上場基準と東証一部との違い
- 株主数:200人以上
- 流通株式:2000単位以上かつ時価総額5億円以上、かつ上場株件の25%以上の流通
- 時価総額:10億円以上
- 事業継続年数:上場申請日の1年以上前から取締役会を設置していること
- 純資産:基準なし
- 利益の額:基準なし
となっています。すべての条件が東証一部(東証二部)と比較して緩くなっています。
東証一部(直接上場)の場合、株主数は2200名以上で時価総額は250億円必要です。東証二部でも株主800名、時価総額20億円以上です。
これらと比較すると東証マザーズ市場の基準は低いですね。
- 東証一部:2140銘柄
- 東証二部:494銘柄
- マザーズ銘柄:283銘柄
※2019年3月末。銘柄数は上記のようになっています。
東証マザーズの構成銘柄と指数、ETF
東証マザーズには大きく2つの指数があります。
- 東証マザーズ指数
- 東証マザーズCore指数
東証マザーズ指数はマザーズ市場の全銘柄の時価総額加重平均型株価指数です。
一方の、東証マザーズCore指数は東証マザーズ市場に上場する内国普通株式のうち、時価総額、売買代金、利益及び配当状況等を考慮して選定する15銘柄により構成される指数となっています。2019年3月現在では以下の銘柄がCore指数の対象です。
- ミクシィ
- そーせいグループ
- ラクス
- ベイカレント・コンサルティング
- ジャパンインベストメントアドバイザー
- ユナイテッド
- アスカネット
- ACCESS
- アステリア
- エリアリンク
なお、東証マザーズ指数に連動するETFは「2516・東証マザーズETF」、東証マザーズCore指数に連動するETFとして「1563・マザーズ・コアETF」があります。
東証マザーズとJASDAQ(ジャスダック)の違い
東京証券取引所株式市場の中にJASDAQ(ジャスダック)というマーケットもあります。こちらはもともと店頭市場として誕生しました。アメリカのNASDAQに倣ってつけられました。
JASDAQには市場が二つあり「スタンダード市場」と「グロース市場」があります。スタンダード市場はやや実績が求められ、グロース市場は成長性重視です。
新興市場というイメージが強いかもしれませんが、銘柄構成は以下のようになっています。
- スタンダード:678銘柄
- グロース:37銘柄
となっており、スタンダード銘柄が中心です。そのため、JASDAQはマザーズと近い新興市場というよりも東証二部に近い部分も多いです。東証としては将来的にはJASDAQと東証二部を統合するような構想があるようです。
また、東証一部銘柄が多すぎるという話もあり、市場の編成が実施される予定です。
東証マザーズ銘柄への投資の注意点はあるか?
良くも悪くも新興銘柄です。
これらの会社は、これからの事業を展開しており、現在はほとんど利益が出ていない(あるいは赤字)だが、将来的に伸びそうな事業を展開しているところが多いです。
つまり、現在の利益や純資産からみたら株価指標(PERやPBRなど)は割高になりやすいのです。成長性が期待されるから割高でも受け入れられるわけですね。
成長している(期待されている)段階ではいいのですが、それが目論見通りに動かない場合や失敗した場合、その銘柄への投資価値は一気に低下してしまいます。
将来が期待されているだけ、期待が失望に変わった時の振れ幅が大きく、株価も上下しやすいのがマザーズ銘柄となります。