個人型確定拠出年金(iDeCo)ともう一つの確定拠出年金に「企業型確定拠出年金」があります。企業年金の一つで、厚生年金の上にある三階建て部分の年金制度です。
掛け金は企業が拠出しますが、運用は社員が行います。その結果はその社員の年金(退職金)となるわけです。最近では企業年金の多くがこの確定拠出年金に移行しており、運用先を自分で考える必要があります。
一方で、iDeCo(イデコ)のように自発的に取り組んでいるわけではないため、利用者の多くが安全だが利回りがほぼ期待できない定期預金などに預け入れられているケースも多く企業型確定拠出年金の課題の一つとなっています。
そんな中、この記事をご覧になられている方の多くは、自分の企業型確定拠出年金でどのような商品に投資をするべきなのかを悩んでいる方かと思います。今回はそんな企業型確定拠出年金(企業型DC/企業型401k)において、どんな投資をするべきなのかについて紹介していきます。
企業型確定拠出年金の最大のデメリットは商品のレベルが低い(ことが多い)
個人型確定拠出年金(iDeCo)の場合、金融機関は絶えず他行との競争にさらされています。そのため、取り扱っている商品ラインナップについてもよい商品(投資家にとって有利な低コストファンド)がないと、他行に流れて行ってしまいます。
そうした競争もあって、現在のiDeCoを扱うネット証券のほとんどは、ローコストのインデックスファンドがそろっています。
その一方で、企業型確定拠出年金は、その企業とお付き合いのある金融機関、証券会社やメガバンク、地方銀行などが提供する確定拠出年金プランであることが多いです。
こうした企業型確定拠出年金の場合、金融機関にとっても競争原理が働きにくいため、よほど企業年金を導入する企業側の担当者がしっかりと対応できないと、手数料ぼったくりのような古臭い投資信託しかなかったりします。
同じ日経平均連動のファンドであっても信託報酬が最新の低コストインデックスファンドの倍近かったりするようなものもあります。この点が企業型確定拠出年金の大きなデメリットだといえます。
ただ、そうはいっても、企業型確定拠出年金は会社の年金制度なわけですから、どうこうすることはできません。掛け金はそもそも企業負担なわけですし、従業員としては、いまある武器(商品)で勝負するしかないわけです。
企業型確定拠出年金の商品の選び方
基本的に定期預金や保険などの元本確保型の商品を選ぶメリットはほとんどありません。
個人型確定拠出年金の場合は掛け金の所得控除効果を活かすという意味で定期預金を利用するというのも手ではありますが、企業型確定拠出年金の場合は、そもそも拠出金は企業負担なのでそうしたメリットもないわけです。
定期預金というのは、企業型確定拠出年金の場合、アガリが近く運用のリスクを減らしておくべき人が利用するもので20代~40代のまだまだ時間を味方にできる人が利用するべきものではありません。
基本はリスク商品(投資商品)を中心としたポートフォリオにするべきです。
投資信託はインデックスファンドがおすすめ
企業型確定拠出年金の場合、選べる商品は会社と提携している金融機関が用意したラインナップから選ぶしかありません。
色々な名称の商品(投資信託)があると思いますが、以下のようなルールで選ぶようにするとよいでしょう。
- 基本的に株価指数(TOPIXやNYダウ、NASDAQなど)に連動するタイプの商品
- 30代、40代くらいまでなら株式中心のポートフォリオがおすすめ
- 国内にこだわらず、世界株や米国株も選ぶようにする
この辺りを考えて商品選びをするとよいと思います。
おおよそのポートフォリオとしては「日本株1:世界株1」とかいった割合が比較的バランス良いように思います。20代、30代でリスクをとれるならこのような積極的な運用でもいいと思います。
ある程度リスクは押さえたいというのであれば「債券35:日本株25:世界株25:外債15」とかいった感じでもいいかもしれません。GPIF(日本の年金)が運用している割合です。年金という長期運用を前提としたポートフォリオの組み方なので参考になるかもしれませんね。
50代以降になってくると年金を増やすことも大切ではあるものの、○○ショックなどで大きく目減りすることを避けるために定期預金(現金)の比率を増やしていってもよいかもしれません。
企業型確定拠出年金の商品選び
企業型確定拠出年金の商品選びについて紹介しました。
企業型確定拠出年金でよい商品(コストの安い投資信託)がラインナップされているかどうか?については金融機関によって差があるので、結構厳しいなあという商品ばかりのところもあるようです。
ただ、そうは言っても、せっかくのお得な制度です。また、その企業型確定拠出年金はあなたの老後の年金(or退職金)です。しっかりと考えた運用をしていきましょう。