給与と年金の両方がある人は要注意。2027年からの公的年金等控除280万円調整

2027年分の所得税から、給与と公的年金等の両方がある人は、給与所得控除と公的年金等控除の合計に280万円の上限が設けられます。「給与と年金の収入合計が280万円を超えたら増税」ではありません。比べるのは収入ではなく、2つの控除額です。
影響を受ける人
- 給与収入と公的年金等収入の両方がある
- それぞれから計算した控除額の合計が280万円を超える
- 超過分だけ公的年金等控除が減る
- 2027年分以後の所得税から適用
- 在職老齢年金の支給停止ルールとは別制度
280万円は「収入」ではなく「控除額」の上限
給与所得は給与収入から給与所得控除を引き、公的年金等の雑所得は年金収入から公的年金等控除を引いて計算します。これまでは両方の控除をそれぞれ適用できました。2027年から合計が280万円を超える場合、超過額を公的年金等控除から減らします。
控除合計=給与所得控除+公的年金等控除
控除合計が280万円超なら、公的年金等控除を「超えた金額」だけ減額
65歳以上・年金200万円の例
次は65歳以上、年金収入200万円、公的年金等以外の合計所得が大きくない場合の単純例です。公的年金等控除を110万円として、給与収入別に見ます。
| 給与収入 | 給与所得控除 | 年金控除 | 改正前合計 | 減額 |
|---|---|---|---|---|
| 600万円 | 164万円 | 110万円 | 274万円 | なし |
| 800万円 | 190万円 | 110万円 | 300万円 | 20万円 |
| 850万円以上 | 195万円 | 110万円 | 305万円 | 25万円 |
給与収入850万円以上の例では、公的年金等控除が110万円から85万円へ減り、年金の雑所得が25万円増えます。25万円そのものが税額になるわけではなく、その人の所得税率と住民税率を掛けて影響を計算します。
たとえば追加所得25万円に所得税率10%と住民税率10%を単純に当てると、税負担増は復興特別所得税を含め約5万500円です。扶養・社会保険料・基礎控除などで実額は変わります。
年金収入だけでは判定できない
年齢、公的年金等以外の合計所得、給与収入によって各控除額が変わります。企業年金やiDeCoを年金で受け取る場合など、公的年金等に含まれる収入もあるため、源泉徴収票をそろえて判定してください。
在職老齢年金とは別のルール
在職老齢年金は、働きながら受ける老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる仕組みです。今回の280万円調整は、受け取った給与と年金から課税所得を計算する際の控除ルールです。
| 制度 | 何が変わるか | 確認資料 |
|---|---|---|
| 在職老齢年金 | 年金の支給額 | 標準報酬・老齢厚生年金額 |
| 280万円控除調整 | 課税対象となる所得 | 給与・年金の源泉徴収票 |
在職老齢年金の2026年4月改正は在職老齢年金の65万円基準で解説しています。年金の支給増減と税額の増減を相殺せず、別々に計算しましょう。
影響を確認する手順
- 給与収入から給与所得控除を計算する
- 年齢・年金収入・年金以外の所得から公的年金等控除を計算する
- 2つの控除額を合計する
- 280万円を超える額を公的年金等控除から減らす
- 増えた年金雑所得を含め、所得税・住民税・保険料への影響を確認する
給与と年金の源泉徴収だけで最終税額が精算されないケースもあります。公的年金等の確定申告不要制度に該当しても、住民税の申告が必要な場合があるため、自治体や税務署へ確認してください。
働き方を税だけで決めない
控除が減るからといって、給与収入を減らした方が必ず手取りで有利になるわけではありません。給与、年金の支給停止、所得税、住民税、社会保険料、会社の福利厚生を合計して比較する必要があります。
年金の受取額そのものは国民年金と老後資金の考え方、税の申告は税金・確定申告ガイドを参考にしてください。
まとめ
2027年からの280万円上限は、給与収入と年金収入の合計ではなく、給与所得控除と公的年金等控除の合計に適用されます。影響が出るのは両方の収入があり、控除合計が280万円を超える人です。超過分は公的年金等控除から減額されます。
在職老齢年金とは別制度なので、年金の支給額と税負担を分けて試算してください。個別の年齢・所得・企業年金を含む判定は税務署や税理士への確認が安全です。
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参考にした公式情報
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(2026年7月14日確認)























