地政学的リスク(英語では)とは、特定の地域で発生する政治や軍事、社会的な緊張の高まりなどによるリスク要因の事。地政学=地理学+政治学。ある地域における政治問題、財政問題、軍事的緊張の高まり、テロなどによる経済への影響を懸念する際に用いられることが多い用語です。
そんな地政学的リスク(地政学リスク)に対して、私たち投資家はどのようにリスク対応していけばよいのでしょうか?
地政学的リスクが高まるとどうなる?
地政学的リスクが高まるというのは、特定地域における政治や軍事、社会的な緊張が高まることを指します。
地政学といえばかなり幅広い意味でとらえられますが、報道等で地政学的リスクの高まりというと、以下のような状況による緊張の高まりを指すことが多いです。
- 国と国との戦争
- 紛争
- クーデター
実際に戦争や紛争が行ってはいなくても、リスクが高まれば実体経済に大きな影響を与えることになります。
緊張が高まれば、企業はその地域での経済活動を控えるようになるかもしれません。また、中東での地政学的リスクの高まりは原油価格の値上がりなどをもたらすことで、それによる経済活動への影響もあります。
「緊張が高まる=不確実性が高まる」というだけで、実体経済にも影響を与えるようになるわけです。
地政学的リスクとカントリーリスクの違い
地政学的リスクとカントリーリスクという言葉は似ています。どちらも特定地域における政治的、地理的要因によるリスクだからです。
ただ、地政学的リスクとカントリーリスクという言葉の意味の違いとしては、地政学的リスクは特定地域での問題を指すことが多く、カントリーリスクという場合は特定の国のリスクとして指すことが多いです。
特に、カントリーリスクという場合は、その国の中における政治の不安定さや、財政問題、国内問題などを指すことが多く、影響の範囲としてはカントリーリスクの方がより小さいといえるでしょう。
- インフレ、デフレなどの国内経済状況
- 政権交代、革命
- 法律の改正・法解釈
- デノミ
- デフォルト(債務不履行)
- 自然災害
などが挙げられます。
だからといってカントリーリスクを軽視してよいというわけではなく、範囲の違いです。実体経済に与える影響の大きさは、それぞれの問題によって与える実体経済へのダメージの大きさで当然変わってくるわけです。
地政学的リスクに備える方法は何か?
基本的に地政学的リスクが高まると株安の方向に動きます。
その一方で、変われる商品があります。一般的には「金(GOLD)」といった実物資産・安全資産です。有事の金(ゆうじのきん)と呼ばれるように、万が一の際にはそのもの自体に価値がある資産である金が買われることが多いです。
金自体が何か新しい価値を生み出すことはありませんが、万が一のリスクの備える意味では、資産の一部に金などの実物資産を持っておくことも有効であると考えられます。
なお、純金投資はETF投資などを利用すれば、普通に株式投資をするのと同じように、かつローコストで投資することができるようになっています。
この他、日本円も比較的安全資産と呼ばれることが多いです。そのため、地政学的リスクが高まると日本円が買われて、円高になることが多いですね。