金融と技術を組み合わせる「フィンテック(Fintec)」が注目されていますが、その中の一つとして資産運用における顧客にとって最適なポートフォリオを構築するロボアド(ロボアドバイザー)というものがあります。このロボアドとはいったいどのようなサービスで、個人投資家はどのように活用すればよいのでしょうか?
今回はそんなロボアドの紹介と、実際に個人投資家が利用できるロボアドサービスを紹介していきます。
ロボアド(ロボアドバイザー)とは何か?
ロボアド(ロボアドバイザー)に明確な定義があるわけではありませんが、アルゴリズムによる自動投資やポートフォリオの提案などを行うサービスです。
たとえば、株や投資信託などでポートフォリオを組む場合、そのリスク許容度に合わせて最適なポートフォリオがあります。
最適ポートフォリオは一定の期待収益をもたらす中でリスクが最も小さくなる効率的なポートフォリオを意味します。たとえば、日本株40%、世界株50%、新興国債券10%といった具合です。
この最適ポートフォリオを個人が判断するというのは膨大なデータ等を分析する必要があるため、そんなに簡単なことではありません。
ロボアドはそうしたポートフォリオの配分方針(アセットアロケーション)などを個人のリスク許容度等に応じて自動的に提案してくれるというフィンテックの一つです。
ロボアド(ロボアドバイザー)による資産運用提案とは?
たとえば、年齢や年収、現在の預貯金、資産運用の状況、リスクに対する考え方などの様々な質問に回答することで、アセットアロケーションを提案してくれる形になっています。
特定の資産(アセットクラス)への運用比率で教えてくれる場合もあるでしょうし、よりダイレクトに○○という投信を25%、□□という投信を15%……といった具合に投資するファンド自体をアドバイスしてくれるようなケースもあるでしょう。
ロボアドというのはあくまでもそうしたツールですのでツールによってサービス内容は異なります。
提案型と自動投資型の2つがある
ロボアドについては大きく「提案型」と「自動投資型」の二つがあります。前者は単に投資対象の配分を「提案」してくれるもので、それをもとに投資信託を購入するなど運用は自分が決めます。
もう一つの「自動投資型」が最近は人気です。これはロボアドによる資産配分のアドバイスをもとに預けている運用資金を常に最適なバランスに保つように自動的に投資をするというサービスです。
後述しますが、「WealthNavi(ウェルスナビ)」や「THEO(テオ)」といったロボアド投資サービスはこの自動投資型ですね。
ロボアドなら儲かるのか?
ロボアドの提案はあくまでも期待収益に対するリスクが低い最適なポートフォリオ・アセットアロケーションを提案するツールです。言い換えれば、期待値の高い投資をするということになります。
あくまでも最適なバランスに資産状況を整えるというわけなので、100%確実にもうかることを保証するものではありません。
ロボアド投資をめぐるサービスは日々拡充
ロボアド投資に関するサービスは日本では2016年ごろから本格化しています。
直近ではauカブコム証券が2016年5月に投資信託の積み立てサービスの一つとしてロボアドサービスをスマホアプリで導入し、楽天証券や松井証券なども2016年中にロボアドを利用した投資サービスを提供しています。
従来の証券会社ではなく、独自のアルゴリズムによってロボアドを利用した自動投資サービスも登場しています。
個人的にはかなり期待しています。ピンポイントで相場を予想して個別銘柄を買うという方法を否定するわけではありませんが、資産の中長期的な成長を考えるのであれば、期待収益率とリスクのバランスが取れた資産配分で投資を行っていくことだと思います。
ロボアドのようなシステムによって投資がより効率的に行われるようになれば、個人投資家にとっての投資環境というものもより透明で無駄のないものになるはずです。
ロボアドを利用したサービスの比較
以下は2017年3月現在において提供されているロボアドを提供している会社を紹介します。サービス名称のところのリンクはそれぞれのサービスの紹介ページ(当ブログ記事)となっています。証券会社のところは公式ページへのリンクとなっています。
サービス名称 | 証券会社 | 投資対象 | 契約内容 |
---|---|---|---|
MSV LIFE | マネックス証券 | ETF | 自動投資 |
楽ラップ | 楽天証券 | 投資信託 | 自動投資 |
ウェルスナビ | SBI証券 / WealthNavi | 海外ETF | 自動投資 |
投信工房 | 松井証券 | 投資信託 | 投資提案 |
中でも直近で人気がたいのが「WealthNavi」ですね。
以上、最適なポートフォリオを構築してくれるロボアド(ロボアドバイザー)とは何か?というお話でした。