株式投資

やってはいけない株取引のまとめ

株式市場(株式投資・株取引)では、いくつかの「やってはいけない取引」というものがあります。市場の透明性だったり意図的な相場操縦などを予防するためのものです。知らなかったでは済まされない場合もあります。今回はこうした「やってはいけない株取引」についてまとめていきたいと思います。

インサイダー取引

非常に有名だから知っている方も多いかと思います。上場企業の「内部者」しか知りえない重要事実(株価の上昇、下落を左右するほどの情報)を使って株取引をすることは法律により禁止されています。内部者取引とも呼ばれます。

たとえば、自分やその家族などが当該企業の重要情報をしる立場にあり、そうした情報を元に株取引を行うとインサイダー取引となります。公表されて一定期間が過ぎれば取引をしてもかまいません。ただし、あらぬ疑いをかけられる可能性もありますので、そういう立場にあるのであれば、関連する株を買うのは避けた方がいいかもしれません。

ちなみに、社員であっても重要事項を知る立場になければインサイダーではありません。ただし、役職にかかわらず、そういった重要情報を知った場合にはインサイダーとなりますのでご注意ください。

また、従業員持株会による積立投資についてはインサイダー取引による規制の対象外です(ただし、持株会の株を引き出して売却する場合はNG)。

インサイダー取引とは何か?どういうケースがインサイダー(内部者)となる? やってはいけない株取引の一つとして“インサイダー取引”というものがあります。詳しい意味は知らなくても、禁止されているという事を知...

見せ板・見せ玉

見せ板というのは、「約定させる意思がないにも関わらず出している注文」のことを指します。たとえば、現在売買が成立している価格帯よりもちょっと下の価格で大きな買い注文を出しておくことで、他の投資家に安心感を与えた上で相場を意図的に自分の思う方向へ誘導しようとする行為を指します。
金融商品取引法により禁止されている取引となります。ただし、約定の意思を持って大量の指値注文を出すこと自体は違法ではなく、線引きが難しい禁止事項です。

たとえば、保有する株式を売る目的で、大量の買い注文を出し、売却後に見せ板(見せ玉)をキャンセルするなどが見せ板・見せ玉に当たるとされます。一方で、個人投資家が見せ板・見せ玉で摘発されるという話も存在しています。こうした疑わしい行動は行わないようにしましょう。

増資に関連する空売り規制

増資が公表された後、新株の発行価格決定までの間に空売りを行った場合、増資に応じて株式を取得して空売りの解消を行ってはいけません。増資による株価の下落を利用して公募価格決定日に空売りをしてディスカウント価格で新株を取得してそれを用いて現渡しをするという行為などが挙げられます。
この規制は比較的新しく、2011年12月1日以降禁止されています。

以前までは可能な取引だったので、古いウェブサイトなどには「投資テクニック」などとして掲載されている場合があるので注意してください。

仮装売買の禁止・なれあい売買の禁止

これは、おそらくやる人は明確な意思をもってやる取引です。他人を誤解させることを目的に同じ時期に同じ株価で売りと買いの注文を行うなどの取引は禁止されています。たとえばA証券とB証券に口座を持ち、A証券で成行の買い、B証券で成行の売りをするなどして自己間で株を売買し、出来高を上げて注目を集めるなどの行為が挙げられます。

また、自己間でない他人同士であっても共謀して同様のことを行う行為についても同じく禁止されています。

風説の流布

特定の株価など相場の変動を目的として虚偽の情報や噂を流すことを指します。株を持っていない場合(直接自分に影響がない場合)であっても相場操縦を目的とする場合は風説の流布となります。また、その相場で取引を行った場合は罪がより重くなります。

最近では、インターネットが発達したことで、ブログ、インターネット掲示板、twitterやfacebookといったように個人で発信できる情報の量が増えています。思わぬ書き込みなどが風説の流布として通報、処罰される可能性もあることに十分留意する必要があります。
実際に、インターネット掲示板などにこうした情報を書き摘発された事例も存在します。

仮名取引と借名取引(借名口座)

実際には存在しない人や他人名義を使っての取引(仮名取引)や、家族や友人などの名義を借りてなりすまして株取引を行うこと(借名取引)は、マネーロンダリングや脱税といった犯罪行為の温床となる可能性があるため、禁止されています。

証券口座の開設については本人確認書類や個人番号(マイナンバー)の確認が必須となっているため、他人に成りすますのは難しいでしょうが、意図せずに違反行為に触れがちなのが「借名取引(借名口座)」です。

家族間でもNGな借名口座

たとえば、株主優待獲得のためなどの目的にして家族の名義で証券口座を作る方も少なくないでしょう。

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また、人気の高いIPO投資において抽選口数を増やすために家族の証券口座を作る方もいらっしゃいます。ただ、こうした際に、家族だからといって勝手にあなたが配偶者や両親などの口座を作り、勝手に取引することは許されません。

場合によっては口座が凍結されることもあります。

また、別の視点から問題が生じることもあります。資金の出所によっては贈与税などが課せられる場合もあります(投資資金はご主人の資金でそれを奥様名義の証券会社に預けるなど)。ご注意ください。

※未成年者の口座を親権者が通常の範囲で取引することは借名取引とはなりません。

まとめ。李下に冠を正さずの姿勢が重要

投資に関するルールは公平で公正な市場を作るための大変重要です。そして世界のマーケットとつながっているため、「違法行為だとは知らなかった」は通用しません。

自分ではナイスなトレード手法を思いついたと実践していたら、それが見せ板行為だと指摘されて課徴金の勧告を受けたというケースもあります。

知らなかった、ちょっとくらいなら大丈夫だろうというのは危険です。李下に冠を正さず(疑われることはしない)というくらいの姿勢で臨むべきだと私は思います。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。