投資全般・コラム

乖離率(移動平均乖離率)で相場を分析する

chart株価指標(チャート分析)の一つに乖離率(移動平均乖離率)というものがあります。これは直近の相場の変動における売られ過ぎ(買われ過ぎ)を判断するための材料の一つです。一般的には移動平均線からの乖離率を使うことが多く、割安感のある銘柄や割高感のある銘柄を調査するスクリーニングなどにも活用されます。今回はこの移動平均乖離率の相場への活用方法や指標としてのメリット、デメリットについてまとめます。

移動平均乖離率のしくみ

まず、移動平均線を理解しましょう。移動平均線は「トレンド系チャートの読み方」でも説明していますが、過去○日間の平均株価を並べてつないだものです。

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上記が具体的な例です。上のチャートの緑、青、赤の曲線がありますが、これが移動平均線です。緑は5日平均、青が25日平均、赤は50日平均となっています。

移動平均乖離率というのは、上記の移動平均線の水準から現在の株価が何%くらい乖離(離れて)いるかを示すものです。

例えば上記のチャートでは、最終日の価格は15515円ですが、5日移動平均線は15450円、25日移動平均線は15197円、50日移動平均は14758円にあたります。

この水準を元に乖離率を計算します。一般的には25日移動平均を使うことが多いです。それで計算すると価格差は15515-15197=318円という乖離が発生していることになります。

移動平均乖離率=(終値-25日移動平均)÷25日移動平均×100=318/15197×100=2.09%

というように計算されます。上記のチャートの場合の乖離率は2.09%ということです。

 

乖離率は8~10%程度が調整ライン

移動平均乖離率は8%~10%程度がその調整ラインと言われています。
プラス方向に8%以上乖離していれば買われ過ぎ(加熱しすぎ)。マイナス方向であれば売られ過ぎというように判断することができます。

 

出遅れ銘柄を探す

たとえば、日経平均やTOPIXなど相場全体が上がっているのにもかかわらず、上昇についていけていない出遅れ銘柄を探す時にも乖離率は活用できます。相場が上昇している時に、相対的に乖離率が低めになっている会社を探せばいいのです。これも移動平均乖離率を活用した銘柄探しのテクニックとえいえます。

 

理由があって乖離しているケースもある

乖離率(移動平均乖離率)を投資判断の材料にするときの注意点は「材料の有無」です。

たとえば、個別銘柄の判断で、決算の大幅上方修正(下方修正)があった、合併が発表された、増資が発表されたといったように「相場水準を大きく動かす理由」がある場合にはこうした乖離率は意味をなさなくなります。

ネット証券などが投資家向けに提供するツールにはこうした乖離率をスクリーニング(絞り込み)できるようなツールも用意されていますが、乖離率で投資銘柄を探す時はこのような「理由」が無いかどうかもしっかりと確認しておきましょう。

 

移動平均乖離率の利用に関するまとめ

移動平均乖離率は、相場における加熱度合いなどを調べる上ではとても役立つツールの一つです。
買われ過ぎや売られ過ぎを判断したり、出遅れ銘柄を探すなど銘柄を探す時に便利です。

その一方であくまでも過去平均株価との差でしかないわけです。移動平均乖離率だけを使って投資判断をするのは危険です。前述の通りそれなりの乖離が生じる理由があるかもしれないからです。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。