スマートベータという言葉が投資の分野で使われるようになりました。
スマートベータとは、投資信託やETFなどの運用手法の一つです。日本の株価指数の一つにJPX400というものがありますが、これはスマートベータを活用した指数となっています。
何やら難しそうですが、理解できればそう難しいものではありません。今回はスマートベータに関する疑問を解決していきます。
スマートベータとは、市場平均と異なる視点での指数
スマートベータ指数、スマートベータ戦略、スマートベータ運用というようにスマートベータという言葉を使う表現はいくつもありますが、内容は同じです。
スマートベータはTOPIXといった市場平均(指数)とは異なるルールで透明性と再現性を持つ指数の総称です。
たとえば、TOPIX(東証株価指数)は浮動株・時価総額加重平均という方法で指数を計算しています。
スマートベータはこれ以外の異なる視点から計算された指数です。
- 財務指標
- 株価変動率
- 配当金
のような視点が代表的です。スマートベータ運用、スマートベータ戦略というのはこれらの視点によって計算された指数に投資をすることで、TOPIXなどの市場平均を上回る結果を目指すというものです。
スマートベータ運用はインデックス運用?アクティブ運用?
スマートベータ運用は、TOPIXなどの株価指数を上回る結果を目指すという意味ではアクティブ運用のようにも見えますが、独自の判断で運用するわけではないのでアクティブ運用ではありません。
あくまでもルールに基づいて、計算された投資をすることによって市場平均を上回るように運用するインデックス運用(パッシブ運用)となります。
アクティブ運用とインデックス運用(パッシブ運用)のいいとこどりを狙うような運用手段です。
アクティブ運用とスマートベータ運用の大きな違いは
- 運用ルールの透明性
- 指数の再現性
があることが大きな違いとなります。つまり、ルールに従えばAさんが運用してもBさんが運用しても同じ結果になるというのがスマートベータ運用となります。
代表的なスマートベータ指数
スマートベータ指数という単一の指数があるわけではありません。前述のように特定のルールに基づいて企業を評価し投資をすることで様々な指数があります。
代表的なものは以下の通りですが、これらに限らず、「透明性」「再現性」が確保されているのであれば、どのような視点で作れた指数もスマートベータ指数となります。
高配当型 | その名前の通り、配当利回りが高い銘柄、連続増配銘柄などにウェイトを置く指数となります。 |
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最小分散型 (低ボラティリティ型) |
価格変動リスクを抑えるように銘柄を選定するスマートベータ指数となります。 日本株であれば「MSCIコクサイ最小分散指数」というものがよく知られています。 |
クオリティ型 (財務型) |
ROEやROAなどが良好な銘柄にウェイトをおきます。日本証券取引所と日本経済新聞社が共同開発したJPX日経400などはその代表格ですね。 |
企業規模型 (ファンダメンタル) |
利益や株主資本などの指標で企業規模を決めて、それをウェイトとして指数を計算するスマートベータ指数となります。 |
スマートベータ指数型のETF
以下はETFとしてスマートベータ指数に投資できるタイプです。
- 1364:iシェアーズ JPX日経400 ETF
- 1474:One ETF JPX日経400
- 1477:iシェアーズ MSCI日本株最小分散ETF
- 1478: iシェアーズ MSCIジャパン高配当利回り ETF
- 1577:NEXT FUNDS野村日本株高配当70連動型上場投信
- 1591:NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信
- 1592:上場インデックスファンドJPX日経インデックス400
- 1593:MAXIS JPX日経インデックス400上場投信
- 1598:NEXT FUNDS R/Nファンダメンタル・インデックス上場投信
- 1599:ダイワ上場投信-JPX日経400
- 2526:NZAM 上場投信 JPX日経400
こんな感じです。JPX400に連動するものが多いですが、高配当利回り、最小分散、財務型のものもあります。
スマートベータを採用した運用機関も増えてきた
最大のプレイヤーでいえば、日本の年金GPIFもスマートベータ指数を運用に取り入れています。海外の公的年金機関でも同様に採用されています。
個人向けのサービスとしては、資産運用を代行するロボットアドバイザー(ロボアド)運用などでもこのスマートベータは取り入れられています。運用サービスのTHEOでもスマートベータ運用を採用しリターン改善を目指しています。
スマートベータ指数は本当に株価指数を上回るのか?
スマートベータを利用した運用は注目を集めることが増えており、スマートベータ指数に連動するETFやインデックスファンドも多数あります。
一方で、従来型のTOPIXがいいのか?スマートベータ指数であるJPX日経400の方が良いのか?その結果がどうなるかはわかりません。
過去のバックテスト(過去のデータを用いて一定期間にどの程度のパフォーマンスが得られたかをシミュレーションする方法)では市場平均を上回る結果を出せているかもしれません。
だからといって将来にわたってその指数の方が良いのかは未来になってみないとわからないというのが現実です。
ただ、理屈としてはTOPIX(東証株価指数)のような単純な浮動株・時価総額加重平均よりも、より株主の利益となる経営ができている高ROE企業にウェイトを置くほうが結果につながりそうな気はしますし、説得力もあります。
さて、どうなることでしょうか?