株式投資の売買注文は多くの人が証券会社を通じて出されています。たとえば、同じA銘柄にもさまざまな人が様々な形で売買注文を出しているわけです。板(売買注文状況)を見ても、同じ価格でたくさんの注文が出ていることがわかります。
そんな株の売買注文は「時間優先の原則」「価格優先の原則」の2つのルールに基づいて順番に処理されることになっています。今回はそんな株式売買注文の基本でもある2つの原則の意味と取引成立についてまとめていきたいと思います。
株式売買における注文成立(約定)の優先順位
株式の売買において各々の投資家から発注された注文は順々に処理されていきます。
ただし、その発注したタイミングで売買が成立しなかった(しきれなかった)場合や同時に注文が届いたような場合には
株式に限らず、金融商品の売買注文は時間優先の原則と価格優先の原則(+成行注文優先の原則)にしたがって処理されることになります。
時間優先の原則
同じ価格・同じ注文方法での注文であれば「先に出された注文を優先する」というものです。注文が届いた段階で「指定された注文の一部全部が約定しなかった」ときに適用されるルールとなります。
たとえば、左のような価格での売買が行われるとしましょう。この時に、3200円での売り注文や3135円での買い注文を出したとしても即時成立することはありません。
株価がその値段まで上昇する(下落する)ことが必要だからです。
仮に、3135円で買い注文がAさんから2000株、Bさんから3000株といった具合で出されているとしたら、時間的に先に出された人の買い注文から順番に処理されていく流れとなります。
これを時間優先の原則と呼びます。
低位株などで20円と19円といったような超低価格で売買されている注文は上にも下にもたくさんの注文がでています。1円抜けるだけでかなりの利益となりますが、1円したでの注文を成立させるためには「前に並んでいる人たちの順番待ち」をする必要があるというわけです。
価格優先の原則
同じタイミングで出された売買注文について買い注文は「成行注文>より高い価格での買い注文」の順番で優先順位が決まり、売り注文は「成行注文>より低い価格での売り注文」の順番で優先順位が決まるというルールです。
これは注文が出された段階で「指定された注文の一部または全部が成立する注文が同時に複数入った時」に適用されるルール(原則)となります。
たとえば、左の板(気配)の段階で買い注文を出すとき、3170円での指値買い注文と、成行注文が同時に出された場合は成行が優先されます。そのため、価格優先の原則に加えて「成行注文優先の原則」ともよばれることがあります。
Aさん:成行20000株
Bさん指値3170円・10000株
上記のケースでは、まずAさんの2万株(3170円)が先に処理されます。そのうえでBさんの注文が処理されるわけですが、このタイミングだと3170円の売り注文は残り2700株しかありませんので、Bさんがかえるのは2700株分で残りの7300株は3170円の買い注文として板に残ることになります。
なお、上記と同じ理屈になりますが、下記のような注文が出ている場合も時間的に同一であれば、Aさんの注文が優先されることになります。
Aさん:指値3180円・20000株
Bさん:指値3170円・10000株
ちなみに、上記の2例とも「同時に注文が入った場合」です。Aさんの注文よりもBさんの注文の方が1秒でも早ければBさんの注文が先に処理された上で、その後でAさんの注文が処理される形となります。
実践的な株式の売買できをつけること
実際の株式投資(株の売買)において気にすべきところといえば、売買注文に並ぶかどうかを判断する時ではないかと思います。
たとえば、株を買うなら1円でも安く買った方がいいですし、1円でも高く売った方がいいです。
そうした時に現在の板注文の買い板や売り板に並ぶか、それとも買い板や売り板にぶつけるかという判断が必要な場面があります。
板が厚い状況(すでに買い板や売り板にたくさんの注文が並んでいる状況)であれば、時間優先の原則に従って注文を出しても後ろに並ぶ必要があります。板が厚いとその間に株価が反対に動いてしまうかもしれません。
そういう場合であれば、多少利益が削られても、買い注文や売り注文に直接ぶつける(安い価格で売る・高い価格で買う)という判断をした方がいいかもしれません。
以上です、株式投資における時間優先の原則と価格優先の原則のしくみを紹介しました。