株式投資

ディフェンシブ銘柄とは何か?景気後退時に注目される安定収益企業

株式投資における銘柄の分類に「ディフェンシブ銘柄」というものがあります。ディフェンシブ(Defensive)というのは日本語だと防衛的と訳されます。

資産運用や投資において、ディフェンシブ銘柄とは、景気変動などの外的な要因による影響を受けにくい会社・企業・グループを意味します。一般的にディフェンシブ銘柄と呼ばれるのは電力、ガスといったインフラ系、食料品や医薬品などの企業が該当します。

景気が多少悪くなっても消費量を減らしたりできないタイプの企業群ですね。

今回はそんな、ディフェンシブ銘柄の特徴や株価の動き、投資をする際の強みと注意点を紹介していきます。

生活必需品を扱う会社は景気の影響を受けにくい。株価が安定

ディフェンシブ銘柄と呼ばれる企業は、景気動向の動きによってあまり大きな業績影響を受けない会社(受けにくい会社)を指します。

  • 電力(東京電力、中部電力、九州電力)
  • ガス(東京ガス)
  • 鉄道(JR各社)
  • 食料品(味の素、日清食品)
  • 通信(NTT、KDDI)
  • 医薬品(武田薬品工業)
  • タバコ(JT)

などが、代表的なディフェンシブ銘柄です。景気が良くなる、悪くなるによって業績が変動しにくい(株価が乱高下しにくい)という特徴があるため、リスクをとる株式投資の中ではやや守りの姿勢の銘柄といえます。

ただ、ディフェンシブ銘柄と言っても、株価はやはり変動します。債券などと比べると値動きは大きいですし、事件や事故などによって大きく値動きするケースもあります。

ディフェンシブ銘柄のメリットは高配当株が多い

ディフェンシブ銘柄と呼ばれる企業は成熟企業が多く、成長のために資金を回すよりも利益を株主に還元する傾向が強いため、高配当銘柄となっていることが多いです。

たとえば日経平均(225銘柄)の平均配当利回りは2.28%(2018年基準)ですが、ディフェンシブ銘柄と言われる企業の利回りは総じて高めです。

  • アサヒHD:5.99%
  • NTTドコモ:4.83%
  • 東京ガス:2.18%
  • 中部電力:3.22%
  • 東京電力HD:0%
  • 東日本旅客鉄道(JR東):1.59%
  • 東海旅客鉄道(JR東海):0.66%
  • 武田薬品工業:4.5%
  • 日清食品HD:1.63%

※個別企業の配当利回りは、2019年5月20日終値をもとに調査。

もっとも、上述しているように、日経平均の平均配当利回りを超えない会社もありますし、ディフェンシブ銘柄でも無配銘柄もあります。

事故や事件などによって大きく株価が下がってしまう事もある

一般的に、ディフェンシブ銘柄は株価が安定しているわけですが、大きく動かないというわけではありません。

2011年の東日本大震災と東京電力

2011年の3月11日の東日本大震災で東京電力の株価は大きく下落しています。2011年3月10日の株価は2153円でしたが、その後数日で株価は741円まで6割以上の値を落としてしまいました。

その後も低迷し、8年以上経過した2019年5月23日時点での東京電力ホールディングスの株価は604円です。高配当銘柄でもありましたが、同社は震災後無配(配当なし)を続けています。

いかにディフェンシブ銘柄といっても、こうした怖い面もあるわけです。

2018年の武田薬品工業によるシャイアー買収

東京電力の件は震災という自然災害によるものでしたが、ビジネス上の問題で大きく下げるケースもあります。

武田薬品工業は医薬品大手で知られる武田薬品工業です。2018年当初は6500円ほどの株価でしたが2018年末には3700円程度にまで下げました。4割以上の下落です。

これは武田薬品工業がアイルランドの製薬大手のシャイアーを買収し、その費用が7兆円という金額であったため、リスクと判断されて売られた格好です。

高配当ディフェンシブのJTの株価が下がり続ける

ディフェンシブ銘柄であっても、株価が下がり続けるような銘柄もあります。代表的なのはJT(日本たばこ産業)ですね。ディフェンシブ銘柄で高配当という条件を満たしていますが、株価は軟調です。

たばこ事業自体は堅実ではあるものの、ご存知の通り喫煙率は下落傾向。現在は海外需要だよりです。急激に売り上げが下がることはなさそうですが、大きく上昇する目も見えないことから株価は軟調です。

ディフェンシブ銘柄の買い方

ディフェンシブ銘柄といっても、事件や事故、あるいは重大な経営判断、市場環境などによっては株価は軟調に推移することがあります。

配当利回りで買えるというケースももちろんあると思いますが、それ以上に株価が下落しては意味がありません。ディフェンシブ銘柄をご自身のポートフォリオに組み込む際は、一度に最初から投資をするのではなく、複数回に分けて購入することをお勧めします。

相場格言にも「二度に買うべし、二度に売るべし」という言葉がありますよね。

最悪のタイミングで買った……なんてことは無いようにしたいですね。

ポートフォリオにディフェンシブ銘柄をうまく組み込もう

業績が安定していて配当利回りが高いディフェンシブ銘柄は、株式というややリスクをとった運用の中でも一部を組み込んでおくことで、安定性が向上します。

特に、高配当銘柄であれば、ある程度の長期保有を前提として保有することが多いと思いますので、目先の株価に一喜一憂することなく保有することができるのがメリットです。

ただし、ディフェンシブ銘柄=安心というわけではありません。モニタリングは欠かさないようにしましょう。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。