ナンピン投資(ナンピン買い)というのは保有する株式等の価格が下がったとき、追加に買い増しをすることで平均取得価格を引き下げるという投資方法のことを指します。平均取得価格が下がることから、反転した場合に戻しが早いというメリットがある一方で「下手なナンピン、素寒貧」という格言もあるとおり、固執したナンピンは損失の拡大につながるリスクがあります。今回はこのナンピン投資についての考え方とリスクについてまとめていきます。
ナンピン投資の基本
たとえば、1000円で1000株の株を取得したとします。
その後、この株式が800円にまで下落したとします。このとき追加で買いを入れることを「ナンピン」といいます。たとえば800円で1000株を追加で購入したとします。
すると、保有株数は200株となり、平均取得価格は900円にまで下落します。
このナンピン買いにより、もともと1000円だった取得価格を900円にまで下げることができます。
ナンピン投資のメリット
ナンピン投資のメリットは、この平均取得価格を引き下げることができるということです。
先ほどの例では、1000円で買った株の平均取得価格を900円にまで下げることができました。
仮にこの後株価が920円にまで戻ったとします。(1000円→800円→920円)
ナンピン投資をしていなかった場合は、まだ取得価格の1000円に届いていないのでマイナスのままですが、ナンピン投資をしておけば平均種痘価格が900円にまで下がっているので920円まで戻したことで(920-900)×2000株=40000円の利益が発生するようになっています。
このように、ナンピン投資をすることで、下がり続けた株価が反転したときの戻しが大きくなるわけです。
ナンピン投資のリスク
一方でメリットだけではなく、ナンピン投資にはリスクがあります。
このリスクは、ナンピン後も株価が下がり続けた場合、ナンピンをしたほうが損失が拡大しやすいという点です。
たとえば、先ほどの例で株価が反発せずに「1000円→800円→700円」となったケースを見ていきましょう。
ナンピンした場合のリスクは「株数の増加」です。ナンピンとして追加で1000株購入したことで保有株数は2000株に増加しています。
そのため、損失額も膨らみやすくなり、株価が700円まで下落した場合、
「700円-900円(平均取得価格)」×2000株=マイナス40万円
となります。
一方でナンピン投資をしていなかったケースでは
「700円-1000円(平均取得価格)」×1000株=マイナス30万円
となり、ナンピンしていないほうが損失額は小さくなります。
このように、ナンピン投資を行うことで、「株数が増加して値下がりに対するリスクが拡大」することになるわけです。
下落トレンドに入ったと判断したら損切りする覚悟を
ナンピン投資のリスクに対応するためには、「一時的な下げ」と「下げトレンド入り」をしっかりと判断できるルールを作っておくべきです。ナンピン投資が有効なのは一時的な下落で、下げトレンドに入った場合は、ナンピンするのではなく損切り(ロスカット)するべきです。
でも難しいのはその下げが、一時的な下げなのか下落トレンドに入ったのかどうかが非常にわかりにくいということです。
ですので、その銘柄に最初に投資する際に一定のルールを決めておくとよいかと思います。
たとえば、3%下落までは許容して1%下落、2%下落の際に○株ずつナンピンする。しかし3%超の下落となった場合は想定以上の値下がりということで素直に損切り(ロスカット)するといった具合です。
また、ナンピンを続けると「処分」する勇気が必要になってきます。いざ下がってしまったら売ろうと思っても損失の大きさが怖くて売れないというような方はナンピン投資することを控えた方がよいかもしれません。