株式や投資信託などの投資商品を購入する時の「買い方」については、毎月投資をするという積立投資と、投資可能な資産をまとめて投下する一括投資という二つ(あるいはその中間的な方法)があります。今回はコツコツ投資の積立投資とまとめて購入する一括投資について、それぞれのメリット、デメリットを比較していきます。
投資のタイミングを狙ってハイリスク・ハイリターンの一括投資
たとえば、相場が右肩上がりの場合には圧倒的に一括投資が有利です。今後も成長しそうな市場に投資をするという場合であれば当初にまとめて投資する方がリターンは大きく狙えます。
もちろん、そんな市場(銘柄)やタイミングを見つけることできるかどうかは別ですが、底値で買える自信があるのであれば一括投資がお勧めです。
たとえば2013年、2014年のような大相場の場合は積み立てで投資をするよりも初動の段階で大きく投資をしていれば相当高いリターンが得られたはずです。
また、積立投資の場合と比べて売買の回数を減らせます。その結果として売買手数料を抑えることができるというのもメリットとして挙げられるはずです。
一方で相場は大きく下落するようなケースもあります。バブル崩壊前やリーマンショック前などに多額の投資をまとめてしていた方は相場の急落によって大きな含み損を抱えることになったはずです。
また、一括投資の場合、「タイミング」が大切になります。さらにまったお金を一度に投資する必要があるので、心理的なストレスは大きくなります。下がっている時に は「まだまだ下がるんじゃないか?」と不安になりますし、上がっている時には「そろそろ天井なんじゃないか?」といった恐怖感が襲ってきます。
このように投資を始める時に抵抗感やストレスが強いというのはデメリットといえそうです。
一括投資のメリット
・相場の底で買えれば積立投資よりも大きなリターンが得られる
・株など売買の都度手数料がかかるような投資の場合は手数料を抑えられる
一括投資のデメリット
・想定と逆方向に相場が動いた時のリスクが大きい
・心理的な抵抗感、ストレスを感じやすい
始めやすくリスクも抑えられる積立投資
一方の積立投資は上下を繰り返すような動きをしているような場合におすすめです毎月定額を投資する「ドルコスト平均法」を利用すれば、平均取得価格を引き下げることもできます。
また、積立投資の場合、購入するタイミングをずらしていくことで、相場の変動による運用資産の変動率をよりマイルドにすることができます。一括投資をする場合と比較してプラス方向に動いた時はリターンの伸びが悪いというマイナスがある一方で、予想と反対の方向に相場が動いた場合でもマイナスの幅を抑えられるというメリットがあります。
時間分散を行うことで相場の価格変動リスクを小さくすることができるわけです。
このほか積立投資の場合、少額からでも始められますので、心理的な抵抗感も少なく始めることができるでしょう。たとえば、投資信託の場合、月1千円~5000円程度の少額から積み立てをスタートすることができます。
デメリットとして大きいのは「機会損失」が生じることでしょう。
仮に現在1000万円の現金を有していると考えます。預金利息はほぼゼロで、株式市場に投資をすれば3%の期待リターン(平均リターン)が得られると仮定します。
年に100万円ずつ積み立て投資に回していくとした場合、遊んでいるお金は運用に回りませんので、その分の機会損失が生じることになります。仮に、この条件で10年間運用した場合のリターンを計算してみましょう。
一括投資:1343万円
積立投資:1150万円
というように結果が大きく変わってきます。
まとまった資金をすでにもっていると言うような場合で、株式市場(マーケット)は毎年大きくなるという前提に立つのであれば、できるだけ早くからお金を市場に投資する方が、複利効果も相まって利回りは大きく変わることになります
(参考:投資の王道は「複利」での長期投資)
積立投資のメリット
・価格変動リスクを抑えることができる
・少額からの積立は心理的な抵抗感、ストレスを感じにくい
積立投資のデメリット
・一括投資より得られるリターンがマイルドになる
・資金を既に持っているなら機会損失が発生する
まとめ。
どちらにも一長一短がありますが、これから投資を始めるという方でしたらまずは積立投資からスタートする方が始めやすいと思います。
ただし、投資用としてまとまった資金を用意していると言うのであれば、それを小出しに積み立てるという方法よりはそのお金も運用に回す方が期待収益率という面を考えると効率的になります。
もっとも、投資にはリスクも存在するわけで、いくら株式市場の期待収益率の方が預金のような元本保証の運用商品よりも高いとはいっても、大きな相場変動によって損失を被るリスクはあります。そのため、運用に回せる資金と運用に回すのではなく元本の確保を優先しなければならない資金とをしっかりと分けて管理して運用していくべきです。