トレンド系チャートとは、株価の今の流れ(トレンド)を分析するチャートです。代表的なものに「移動平均線」や「MACD」などがあります。現在の株価の方向性を読み取り、今後の株価動向を予想する分析ツールになります。基本的には株価の流れを読む「順張り投資」において力を発揮します。ここでは、各種トレンド系チャートの内容や具体的な活用例などを紹介していきたいと思います。
トレンドって何?
トレンドというのは、今の相場の流れのようなものです。
大きく「上昇トレンド」「下降トレンド」「持ち合い」という三つのパターンがあります。
それぞれがどのようなものかは、文字で大体わかるかと思いますが、一応説明します。
・上昇トレンド
株価が上昇傾向にある状況です。一方的に上昇するだけでなく山や谷を作りながらも安値を線で結んでいくと右肩上がりになっているものをさします。
・下降トレンド
上昇トレンドとは反対に株価が下落傾向にある状況をさします。山や谷を作りながら高値を結ぶと右肩下がりになっているような状況をさします。
・持合(もちあい)
上昇トレンドでもなく下降トレンドでもなく、一定の価格帯で上下している状況です。ボックス相場などとも呼ばれます。
このようなトレンドの状況はなんだかんだいっても「後になってみないとわからない」というのが実際のところです。そこで役立つのがトレンドの転換やトレンドの状況を知る「チャート」を使った分析です。特に、トレンドの転換を知ることは相場にとって大変重要です。
トレンド系チャートにはどんなものがあるの?
代表的なものには「移動平均線(過去の一定期間の平均値をならべて線で結んだもの)」や「MACD(移動平均線で直近の数字をより重視したもの)」などが挙げられます。
移動平均線
移動平均を線で結んだチャートです。たとえば日足で計算する場合、過去5日分、過去25日分、過去75日分の移動平均を線で結んだものをさします。日足以外にも、分足、週足、月足など様々な形でも表現できます。
MACD
仕組み自体は移動平均線と同様ですが、指数平滑移動平均線(EMA)というものを利用しており、過去の株価よりも直近の株価の影響をより大きくした移動平均線となります。移動平均線よりもトレンドの方向性に強く影響されます。
トレンド系チャートにおける有効なシグナルとは?
トレンド系チャートにおいては一定の【シグナル】というものがあります。シグナルは信号という意味ですが、ここでは買いのサインや売りのサインを意味します。特定の形の移動平均線やMACDの動きなどからトレンドの方向性やトレンドの転換を示すシグナルについて学びましょう。
ゴールデンクロス
とっても有名なシグナルの一つですね。短期の移動平均線(MACD)が中期の移動平均線を下から上に突き抜けるようなグラフを指します。これは目先の買い意欲が、中期の売り意欲を上回ることを意味しており、「買いシグナル」の一つであるといわれています。
上のチャートはゴールデンクロスの例です。オレンジで示したところで短期移動平均が長期移動平均を下から上に突き抜けていますね。これまで2800円~3200円程度の間での持ち合い相場から転換し、上昇トレンドに転換する理想的なゴールデンクロスの形で以後株価は大きく上昇しています。
デッドクロス
デッドクロスはゴールデンクロスとは反対に、短期の移動平均線(MACD)が中期の移動平均線を上から下に抜けるようなグラフを指します。これは目先の売り意欲が、中期の買い意欲を上回ることを意味しており、「売りシグナル」の一つであるといわれています。
上のチャートはデッドクロスを示しています。オレンジの丸でしめしたところで短期移動平均線が中期移動平均線を下抜けしています。これにより、持ち直していた相場が一気に急落してこれまでの安値を大幅に更新しています。
トレンドのダマシに注意
トレンド系チャートを見るときには「ダマシ」に注意します。ダマシというのは、たとえばゴールデンクロスやデッドクロスが出現しているのに教科書どおりに動かないケースです。
デッドクロスの例で紹介しているチャートでは、デッドクロスが出現する直前に実はゴールデンクロスが出現しています。しかしながら、ゴールデンクロスが出現するもその時点が株価は高値であり、すぐに急落して逆にデッドクロスをつけてしまいました。
このような動きのことを「ダマシ」といいます。
ダマシを100%除外することは不可能です。ただし、一般的には「出来高が大きいほど」「トレンド計算期間が長期になるほど」、ダマシはでにくくなるといわれています。