相場格言に「銘柄に惚れるな」という言葉があります。特定の企業やそのサービスが好きだからという理由で株を買ったり、この会社はいい会社だと思い込むのはよくないという格言です。今回はこの「銘柄に惚れるな」という相場格言を、投資対象を探すとき、また投資した銘柄に対する相場判断の2点で説明していきたいと思います。
その会社の「ファン」なら要注意
「売買する株(銘柄)の探し方」で、自分が詳しい分野・ジャンルのから投資対象の企業を探してみようと説明しましたが、注意したいのはあなたがその会社やその会社が提供しているサービスについて「ファン」となっているケースです。
このような場合、その会社に対する冷静な判断ができません。
この会社の○○という商品は他の会社が提供しているものよりもはるかに優れている。だから買いだと思う。
この判断は間違ってはいません。しかしながら、企業の業績というのは商品やサービスの質だけで決まるわけではありません。良いものを安く提供していても、利益率が低かったり資金繰りに窮していたり、あるいは赤字を垂れ流している別の部門があったりすれば当然業益は悪化して、株価は下がってしまいます。
投資家としてその企業を判断する場合はそういう点を包括的に判断する必要があります。
しかしながら、その会社のファンだとそのような悪いところがどうしても見えなくなってしまいます。
「恋いは盲目」、「あばたもえくぼ」といった恋愛に関する格言が多くある通り、銘柄(企業)に惚れてしまうと公平な判断ができなくなってしまいます。
自分が詳しい業界や知っている業界から投資対象を探すのは良いことだと思いますが、投資家としてその会社に投資をするのであれば、冷静に一歩引いて眺めるようにする癖をつけましょう。
投資した銘柄には愛着がわく
また、投資後でも注意が必要です。
投資した銘柄にはどうしても愛着がわきます。また、投資したという自分の判断も働くため、マイナスの要因が見えにくくなってしまいます。
冷静に考えれば売りのシグナルが出ていると思えているのに、都合のいい判断をしやすくなってしまいます。そういう時は自分にとって都合のいいニュースを探してしまったり、掲示板などでそんな情報を裏も取らずに信用したりしてしまいます。
人間ですから、全てにおいて冷静な判断ができるわけはありません。だからこそ「損切り(ロスカット)のルールを決める」でも説明したとおり、個人的な感情が入らないルールをあらかじめ決めておくというのも大切だと思うわけです。
その一方で「遠くのものは避けよ」という格言もあります。話題性や儲かっているといった評判だけで大して知らない会社に投資をするのは危険です。そういった意味ではある程度自分が詳しい分野や詳しい業界、サービスを投資対象として考えるのは決して間違いではありません。