株式投資

1日だけ株主になって株主優待だけをタダでゲットする方法と注意点

yutaiたった1日だけ株主になるだけで、株主優待だけを受け取る方法があるとしたら魅力的だと感じませんか?今回は現物買いと信用取引の空売りを活用することで株主優待だけをゲットする方法を紹介していきます。もちろん合法です。

タダでゲットするには「信用取引口座」が必要になります。また、ただしく理解して行動しないと場合によっては優待以上の損をする場合もありますのでしっかりと本記事を読みこんだ上で理解して実行してください。

現物買い+空売り(信用売り)で株主優待だけゲット

やり方は単純です。

この方法を行うには、証券会社に「信用取引口座」を解説しておく必要があります。信用取引口座の開設の方法については「信用取引の始め方」をご参照ください。

ある、株主優待銘柄があり、その権利付き最終日が本日だとします。権利付き最終日とはその日に株を買って持ち越すことで株主優待や配当金を受け取る権利が産まれる日のことです。
この件については「配当金・株主優待はいつ受け取ることができるのか?」で詳しく説明しているので権利取り、権利落ちを良く理解していない人はまずこちらをお読みください。

 

実際の取引に例えた例

仮に3月26日(権利付き最終日)で3月27日(権利落ち日)。
現在の株価が300円、配当金は10円、権利落ち後の株価が280円だとします。ちなみに1000株で配当金や株主優待が受け取れるとします。

 

3月26日(寄り付き前)
・現物株を成行で1000株の買い注文を出しておきます。
・同じ株を信用売り(空売り)で1000株の売建注文(成行)を出しておきます。

 

3月26日(寄り付き後)
上記の注文が成立します。300円で1000株の現物と1000株の信用売り建てのポジションを持っていることになります。3月26日はそのままの状態で一日を過ごします。

 

3月27日
・現物株と売り建てしている株を「現引取引」によって終了させます。
現引については「株の売買手数料を節約。「現引き」「現渡し」を使った現物株売買のやり方」でもまとめているので参考にしてください。寄り付き前に反対売買を出しても大丈夫ですが、手数料が無駄になります。

 

以上の取引で、終了です。配当金については、現物買いをしている分に対して配当金が付きますが、空売りをすることによって配当金分が差し引かれますのでプラスマイナスゼロになります。これを「配当落調整額」と呼びます。

しかしながら、株主優待についてはたとえ空売りをしていたとしても、差し引かれることはありません。そのため、株主優待を受け取る権利だけをゲットすることができます。いずれ企業から優待品が送られてくるでしょう。

 

 

この取引の仕組み・システムについて

この取引の具体的な中身を見ていきます。

まず、現物株の買いと同じ株式の空売りをします。これで、株価に対して中立になります。株価が上昇すれば現物株は利益が出ますが、代わりに空売りが損失を出します。逆に株価が下落すれば現物株は損失が出ますが、代わりに空売りが利益をだします。

これによって、権利落ちによって株価が下落したとしても、空売りによって利益が出るため、価格変動リスクがゼロになるわけです。

現物株の売買 空売りによる売買 損益
譲渡損益 (280円-300円)×1000株=-2万円 (300円-280円)×1000株=+2万円 0円
配当金 10円×1000株=1万円 配当落調整額として-1万円 0円
株主優待 権利獲得!

 

具体的な数字にすると上記のようになります。買いでは損をしていますが空売りで利益が出ることでプラスマイナスゼロになります。ちなみに、権利確定日の翌日(権利落ち日)は通常株価は下がりますが、仮に上昇した場合でも逆の形になるだけで損や利益が出ることはありません。

こうすることで損益ゼロで株主優待の権利だけを獲得できるわけです
ただし、取引には株の売買手数料がかかるという点と、空売りの際には貸株料がかかりますので、全くゼロのコストというわけではありませんが、ネット証券なら数百円のレベルです。

 

株主優待をタダでゲットするためのコスト(手数料)

仮に、「SBI証券」で売買したケースで想定しています。(手数料はスタンダードプラン)
現物売買:(358円)
信用取引:(200円)+(金利:約10円)
合計コスト:358+200+10=568円(現引した場合)

株主優待の場合、利回りに換算すると数%~10%近くという高い利回りになるような銘柄も多いので、この程度のコストで株主優待だけをゲットできるというのであれば、かなり魅力的な投資になる可能性がありますよね。

 

注意したい逆日歩

ちなみに、この方法で注意しなければならないのは「逆日歩」の存在です。逆日歩というのは信用取引の空売りが急増した時に、証券金融会社という空売り用の株を調達する会社が自前で調達できない時にかかる追加的なコストです。

このコストは空売りをしている投資家が負担するルールになっています。逆日歩について詳しく知りたい方は「逆日歩とは」のページをご参照ください。

 

ネットやブログなどで、信用取引を活用した株主優待を無料でゲットする方法というのが広まった結果、これを実践する人が増えました。

そのため、人気の優待銘柄は空売りの注文が集まるようになり、結果として株不足が発生しやすくなりました。逆日歩は株不足が少ないうちは少額で済みますが、極端な需給バランスになると非常に高額な逆日歩が発生するケースがあります。

株主優待がらみで生じるケースも増えており、こちらについて「高額逆日歩の事例と発生理由」で実際の事例も紹介されています。

事前には逆日歩が発生するかどうか?あるいはいくら発生するのかはわかりません。

 

以上を踏まえるといくら使えてもリスクが高すぎて怖いです。3000円の株主優待のために1万円のリスクを負うことはできません。

 

逆日歩があるのは「制度信用取引」だけ

上記の逆日歩リスクを回避する方法があります。それは空売りを標準的な制度信用取引ではなく一般信用取引を使うという方法です。

そもそも、逆日歩というものは制度信用取引という証券取引所が定めたルールによるものです。

信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」という2種類があります。
一般信用取引は個別の証券会社がルールを定めた信用取引で、こちらであれば逆日歩は発生いたしません。そのため、「現物買い+一般信用取引による売建(空売り)」であれば逆日歩リスクなく株主優待のタダ取りを狙うことができるというわけです。

参考:制度信用取引と一般信用取引の違い

 

一般信用取引で同じ方法を取れば逆日歩のリスクは無い

上の例の取引を「一般信用取引」で行えば逆日歩のリスクがなく、株主優待だけをタダで手に入れることができるわけです(証券会社への売買手数料等は別)。

 

一般信用取引で空売りができる証券会社

2016年1月現在で一般信用取引で空売りができる証券会社は「SBI証券」と「auカブコム証券」です。こちらの2証券については片方だけでなく両方に口座を持っておくとよいでしょう。

一般信用取引で空売りができる銘柄は各証券会社が確保している在庫によって変わってきますのでチャンスを増やすためには複数を持っておく方が有利です。

 

auカブコム証券の一般信用取引

返済期限が3年の一般信用取引(長期)と返済期限が短い売短という2種類があります。長期(1511銘柄)、短期(641銘柄)と一般信用取引での取引可能銘柄数は非常に豊富です。
一般信用取引を使った株主優待のクロス取引をするなら確実に抑えておきたい証券会社といえるでしょう。

>>auカブコム証券公式ホームページ

 

SBI証券の一般信用取引

無期限で空売りができる銘柄(133銘柄)と、5日という短期で返済が必要な短期銘柄(402銘柄)があります。なお、株主優待検索画面では「一般信用取引で空売りが可能な銘柄でかつ、今月に権利確定日を迎える株などのような形で、株主優待クロス取引を前提とした検索も可能です。

>>SBI証券公式ホームページ

短期と長期の一般信用取引での空売り

上記でauカブコム証券、SBI証券のそれぞれは「短期」と「長期」の空売り可能銘柄を用意しています。なぜ分かれているかというと長期は空売り用の株を比較的調達しやすい銘柄、短期は空売り用の株を調達しにくい銘柄となっています。

一般的に株主優待銘柄の権利確定月などはどうしても貸株需要が増加するため、確保しにくくなります。基本的には短期信用取引(空売り)は抽選となります。

そのため、クロス取引で株主優待をゲットしたいなら両方の証券会社に口座を持っておいて、それぞれ抽選に参加するというやり方をして当選したときだけ現物買いをするという方法をとることをおすすめします。

 

ちなみに、各証券会社について詳しく知りたいという方は「SBI証券の評判・口コミ情報」「auカブコム証券の評判・口コミ情報」「松井証券の評判・口コミ情報」などが参考になりますので、気になる方はご覧ください。

 

以上、1日だけ株主になって株主優待だけをタダでゲットする方法と注意点を紹介しました。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。