外貨預金は、米ドルやユーロ、豪ドルなどの外国通貨で預ける預金商品です。円預金より金利が高く見えることがあり、銀行窓口やネット銀行でも身近に申し込めるため、外貨運用の入口として検討する人も多い商品です。

しかし、外貨預金は「預金」という名前がついていても、円預金と同じ感覚で考えると危険です。為替レートの変動、為替手数料、預金保険の対象外であることなど、円ベースでは元本割れするリスクがあります。

この記事では、外貨預金の仕組み、主なリスク、2026年時点で確認しておきたい手数料や預金保険の注意点、外貨定期預金を選ぶ前のチェックポイントをわかりやすく解説します。

外貨預金とは

外貨預金とは、日本円を米ドル、ユーロ、豪ドル、NZドルなどの外国通貨に交換して預ける預金です。円の普通預金や定期預金と同じように、外貨にも普通預金型と定期預金型があります。

  • 外貨普通預金:いつでも出し入れしやすいが、金利は低めになりやすい
  • 外貨定期預金:一定期間預ける代わりに、普通預金より高い金利が設定されることがある

外貨ベースでは利息がつきますが、日本円で見た損益は為替レートに大きく左右されます。つまり、外貨の金利だけを見て判断してはいけません。

外貨預金の主なリスク

外貨預金で特に重要なリスクは次の4つです。

  • 為替変動リスク
  • 為替手数料による元本割れリスク
  • 預金保険制度の対象外であるリスク
  • 外貨定期預金の流動性リスク

順番に見ていきましょう。

リスク1:円高になると元本割れする

外貨預金では、円を外貨に替えて預け、最終的に外貨を円に戻すことが多くなります。このとき、預入時よりも円高になると、円に戻した金額が減る可能性があります。

たとえば、1ドル150円のときに100万円を米ドルに替えると、手数料を考慮しなければ約6,666ドルになります。その後、1ドル140円まで円高になると、同じ6,666ドルを円に戻しても約93万円台になります。外貨ベースでは元本が減っていなくても、円ベースでは元本割れです。

逆に、預入時より円安になれば為替差益が出る可能性もあります。外貨預金は、金利商品であると同時に為替リスクを取る商品でもあります。

リスク2:為替手数料がかかる

外貨預金では、円を外貨に替えるとき、外貨を円に戻すときに為替手数料がかかります。預入時に適用されるレートはTTS、払戻時に適用されるレートはTTBと呼ばれることが多く、通常はTTSのほうがTTBより高く設定されています。

三菱UFJ銀行の外貨預金為替手数料を見ると、2026年時点ではインターネットバンキングの場合、米ドルは片道25銭、豪ドルは片道50銭、窓口の場合は米ドル片道1円、豪ドル片道2円です。昔に比べてネット取引のコストは下がっていますが、往復で手数料がかかる点は変わりません。

為替レートがまったく動かなかったとしても、往復の為替手数料があるため、円に戻すと元本割れすることがあります。高い外貨金利に見えても、短期間の運用では手数料を回収できないケースがあります。

リスク3:外貨預金は預金保険の対象外

円の普通預金や定期預金は、預金保険制度によって、1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息が保護されます。

しかし、外貨預金は預金保険制度の対象外です。金融庁の預金保険制度の資料でも、対象とならない預金として外貨預金が明記されています。

つまり、外貨預金を預けている金融機関が破綻した場合、円預金のように預金保険で元本1,000万円まで保護されるわけではありません。銀行で扱っているから安全、という理解は不十分です。

リスク4:外貨定期預金は途中で動かしにくい

外貨定期預金は、外貨普通預金より高い金利が設定されることがあります。ただし、満期まで資金が固定されるため、為替レートが有利に動いたタイミングで円に戻したくても、すぐに動かせない場合があります。

中途解約できる商品もありますが、適用金利が下がったり、手続きに制限があったりします。外貨預金では金利だけでなく、満期までの期間と換金しやすさも重要です。

外貨預金の利息と為替差益の税金

外貨預金の利息には、円預金と同じく20.315%の税金が源泉徴収されます。国税15.315%、地方税5%の合計です。

一方、外貨預金を円に戻したときの為替差益は、原則として雑所得として扱われます。給与所得者で年末調整を受けている人でも、為替差益や他の雑所得の合計額によっては確定申告が必要になる場合があります。

税金の扱いは個人の状況によって変わるため、利益が出た場合は税務署や税理士、金融機関の案内を確認しましょう。

外貨預金はどんな人に向いている?

外貨預金が向いているのは、次のような人です。

  • 将来、外貨を使う予定がある人
  • 為替変動による元本割れを理解している人
  • 円だけで資産を持つことに不安があり、通貨分散をしたい人
  • 短期ではなく、中長期で為替変動を受け入れられる人
  • 手数料を比較し、低コストの銀行を選べる人

海外旅行、海外留学、外貨建て支払いなど、将来その通貨を使う予定がある場合は、外貨預金の意味が出やすくなります。一方で、円で使う予定のお金を短期で増やしたいだけなら、為替リスクと手数料に注意が必要です。

外貨預金が向いていない人

次のような人には、外貨預金は慎重に考えたほうがよい商品です。

  • 元本保証の商品だと思っている人
  • 近いうちに使う生活資金を預けたい人
  • 為替レートの変動に耐えられない人
  • 手数料を確認せず、金利だけで選ぼうとしている人
  • 預金保険で保護されると思っている人

特に、生活防衛資金や近い将来の支払いに使うお金は、円預金で確保するのが基本です。外貨預金は余裕資金で検討しましょう。

外貨預金とFX・外貨MMFとの違い

外貨で運用する方法は外貨預金だけではありません。FXや外貨MMF、外貨建て債券、外国株式などもあります。

商品 特徴 注意点
外貨預金 銀行で扱う身近な外貨商品 預金保険対象外。為替手数料と為替変動リスクがある
FX 為替手数料に相当するスプレッドが低いことが多い レバレッジを使うと損失が大きくなる。預金ではない
外貨MMF 外貨建ての短期金融商品で運用する投資信託 元本保証ではなく、為替変動リスクもある

外貨預金は仕組みがわかりやすい一方で、手数料や保護制度の面では必ずしも最有利とは限りません。目的が「外貨を持つこと」なのか、「為替差益を狙うこと」なのか、「外貨建て資産に分散すること」なのかを整理して選びましょう。

外貨預金を始める前のチェックリスト

外貨預金を始める前に、次の項目を確認してください。

  • 預入時と払戻時の為替手数料はいくらか
  • 金利は税引前か税引後か
  • 円高になった場合、どの程度の損失まで許容できるか
  • 預金保険の対象外であることを理解しているか
  • 外貨定期預金の場合、中途解約や満期時の扱いはどうなるか
  • キャンペーン金利がいつまで適用されるか
  • 為替差益が出た場合の税金を確認しているか

まとめ:外貨預金は金利だけで選ばない

外貨預金は、円預金より高い金利がつくことがあり、通貨分散の手段にもなります。しかし、為替変動、為替手数料、預金保険対象外、税金、外貨定期預金の流動性など、確認すべきポイントは多くあります。

特に重要なのは、外貨ベースでは元本が減っていなくても、円ベースでは元本割れする可能性があることです。高金利だけを見て預けるのではなく、手数料込みで損益分岐点を確認しましょう。

外貨預金を使うなら、生活資金ではなく余裕資金で、通貨・期間・手数料・預金保険の有無を理解したうえで始めることが大切です。

参考:金融庁「預金保険制度について」全国銀行協会「外貨預金の特徴を知る」三菱UFJ銀行「外貨預金の為替手数料」楽天銀行「外貨預金の重要事項」。本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の商品や取引を推奨するものではありません。

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