FX取引において高いスワップポイントが付く通貨・高金利通貨に対して投資をするという、金利投資はFXが流行り始めたころから今まで、多くの方がチャレンジしてきました。
金利収入という比較的安定して言るっぽい、低リスクっぽい、ほったらかしで積みあがる収入に魅力を感じる、といったいろいろな理由があるのでしょうが、スワップ目的の投資はFX(外貨)投資の初心者の方から経験者の方まで人気が高いです。
今回はそんな高いスワップポイントが期待できる高金利通貨への投資の注意点をまとめたいと思います。
高スワップ金利がもらえる、そもそもの理由
南アフリカランド、トルコリラ、メキシコペソ、ブラジルレアルなどの高金利通貨は、なぜ対円で高いスワップポイントを受け取ることができるのでしょうか?
このスワップ金利は、株式の配当金のような性質だと勘違いしている方も多いのですが、根本的に異なっています。
- 配当金:その会社があげた利益の一部を投資家に分配するもの
- スワップ金利:通貨間の「金利差」をやりとりするもの
です。
株式の配当金の場合は、その会社が生み出した「利益」が源泉です。一方で高金利通貨の金利というのは「金利差」を埋めるためのものであって、利益が源泉ではありません。
金利差とは?
じゃあ、その金利差って何よ?って話になりますよね。
FX取引は「ある通貨を売って、ある通貨を買う」という取引です。たとえば、メキシコペソを買う場合、「円を売ってトルコリラを買う」という取引になるわけです。
FXは証拠金取引なので実際にその通貨現物を買うわけでなく、為替レート上の取引を予約しているような感じになります。
実際にトルコリラを買うための円を用意したわけでもないですし、買ったはずのトルコリラも現物として手元にはないですよね?
ということは、「トルコリラ/日本円」の通貨ペアを買うというのは、「日本円をどこかからか借りてきて、トルコリラを買い、そのトルコリラを貸している」というような状況になります。
なので、「借りてきた通貨の利息を払って、買った通貨の利息を受け取る」というのが金利差になります。
その金利ってのはどうやって決まるの?
FX取引における金利は政策金利をベースとしています。
参考:政策金利とは?
この金利差になりますので「買った通貨の金利-売った通貨の金利=スワップ金利(年率)」となります。これを1日分にしたものを「スワップポイント」ですね。
スワップ金利がプラスの場合は受け取り、マイナスの場合は支払うことになります。多くのFX投資家は「対円(日本円)」で外貨投資を行うことが多いでしょう。
日本の政策金利は世界の通貨の中でも低金利通貨となっているので、ほとんど通貨を買うとスワップ金利を受け取ることが多いです。ただし、ユーロやスイスフランなどは日本円よりもFXのスワップ金利計算上の金利が低いため、「日本円/ユーロ」「日本円/スイスフラン」の通貨ペアなどは買った場合でも、スワップ金利を支払う必要があります。
高金利通貨を買う意味とリスク
前置きがかなり長くなってしまいました……。
それでは、実際に高金利通貨を買う(高スワップ金利を受け取る)ということにどんなリスクがあるのかを説明します。
高金利通貨≒インフレ≒円高傾向
高金利通貨が金利を高く設定する理由は様々です。ただし、総じて言えるのはインフレ率が高いということです。
インフレ率が5%というのは、今年100円のものが来年は105円になるってことです。インフレというのは物価が上昇するということですが、言い換えれば「通貨価値の下落」です。
一方で日本はデフレないしは低インフレの状態が長く続いています。こちらは「通貨価値が上昇」しているわけです。
為替レートというのはそれぞれの通貨の価値を相対的に表示するものです。決定要因は様々ではあるものの、インフレ基調の高金利通貨とデフレ基調の日本円であれば、為替レートは円高基調になるのが基本です。
たとえば、以下は高金利通貨の代表格であるトルコリラ、南アフリカランド、ブラジルレアルの10年チャート(SBI証券)です。
トルコリラショック(2018年8月)以前からみてもレートはずっと右肩下がりであることがわかります。
なので、超長期で保有している多くの投資家の方はインカムゲインを得ながらキャピタルロスを生じさせているという状況になっているはずです。
高金利通貨のFX投資はダメなのか?
そんなことはありません。
もちろん、吹き上がるタイミングもありますし、比較的レートが安定しているタイミングもあります。
インカムゲインの額がキャピタルロスの損失を上回っているというのであればもちろん運用上はプラスになります。
注意したいのは、高金利通貨へのFX投資は安定的な運用なので、投資して放置しておけばOKという考えは非常に危険だというお話です。
こうした通貨に投資をするのであれば、放置プレーをするのではなく、投資をするタイミング、出口(売却タイミング)をシビアに考えておく必要があるということなのです。
放置し続けて真綿で首を締められるような感覚で徐々に含み損が増えていき、暴落で泣く泣く処分なんてことになったら目も当てられません。