外為投資

為替ヘッジありとヘッジなしの違いと意味、投資信託の選び方

投資信託を選ぶとき、同じ名前のファンドに「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という表記があるものを多く見ると思います。投資するときはどちらを選ぶようにすればいいのでしょうか?また、それぞれのメリット、デメリットはどのようになっているのでしょうか?

今回はそんな投資信託における為替ヘッジの意味と、ありなしのどちらを選ぶべきなのか?ということを分かり空く紹介していきたいと思います。

為替ヘッジとは?

ヘッジとは「回避」という意味があります。よくリスクヘッジという言葉を耳にすることはありませんか?これはリスクを回避するという意味になります。

為替ヘッジとは、為替レートの変動によるリスクを回避するという意味になります。私たちは通常、日本円での投資を行いますが、投資対象は外貨建ての商品であることがあります。

こうした外貨建ての商品の場合、為替レートの変動によって価格が上がったり下がったりします。

たとえば、米国株式に1ドル100円で100万円(10,000ドル分)投資したとします。1年後にその株の株価は10%上昇し、11,000ドルになっていました。ところが、為替レートが円高で1ドル90円になっていました。

この場合、米国株は10%上昇していても、日本円に換算すると90円×11,000ドル=990,000円となり、儲けが出ていない計算となります。

こうした為替レートの変動を回避するというのが為替ヘッジです。投資信託の場でよく見るかもしれませんが、こうした取引は投資の場だけでなく、貿易の場では必ず持ちられている取引手法です。

為替ヘッジ=為替予約という取引

為替の変動を無くせるなら、いいじゃないか!というメリットの方を感じるかもしれません。

為替ヘッジというのは、為替予約という取引で行います。この取引は少し難しい表現にないrますが、「投資対象の通貨を売り、日本円を買う」という取引をします。米ドルを対象とするなら「ドル円の売り」という取引ですね。

前述の1万ドル分の米国株を買うという話であれば、株を買うのと同時に、1ドル100円で1万ドル分のドルを買って円を売るという取引をするわけです。

この状態であれば、為替レートの変動はヘッジされます。円高になれば米国株で損が出ますが、同額の利益が「ドル売り、円買いの為替予約取引」によりもたらされるからです。円安になればその逆です。

これが為替ヘッジです。

為替ヘッジのメリット/デメリット

為替ヘッジは「為替リスク」を軽減、あるいはゼロにすることができます。円建てで投資をする私たちからすれば、為替レートという不確実性を小さくすることができるのは、メリットがあると感じる方も多いかもしれません。

一方で円安になった場合に発生する利益を放棄することになります。また、「ヘッジコスト」という追加の手数料を考える必要があります。

ヘッジコストというのは為替ヘッジ(為替予約取引)を行うために必要な手数料、不可経費となります。

投資対象の通貨を売り、日本円を買う」という取引に生じる手数料に加えて、スワップ金利の授受があります。

スワップ金利=通貨間の金利差のやりとり

スワップ金利(スワップポイント)はFX取引の経験がある方はご存知かと思いますが、通貨取引をする際の金利差の取引です。

日本円と米ドルの為替ヘッジをする場合

  • 日本円の金利
  • 米ドルの金利

の差額をやり取りする必要があります。為替ヘッジでは「ドルを売って、円を買う」という取引をします。この場合、米ドル分の金利を払い、日本円の金利を受け取るというスワップ金利が発生します。

これは必ずしも“支払い”になるのではなく“受け取り”になる場合もあります。日本円よりも金利が低い通貨で為替ヘッジをすればスワップ金利を受け取ることができます。

ただし、現実的に日本円は世界的にみても低金利通貨となっているため、為替ヘッジを行う場合、スワップ金利の支払いが必要になります。

仮に同じ投資信託で「為替ヘッジあり」に投資をした場合、ヘッジコストがかかる分、為替レートが変動しなければ「為替ヘッジなし」と比較してリターンは小さくなります。

投資信託の為替ヘッジあり、為替ヘッジなしはどちらを選ぶ?

為替ヘッジありと為替ヘッジなしの投資信託を購入した場合、以下のようになります。

為替ヘッジあり 為替ヘッジなし
円安 ×
変わらず ×
円高 ×

為替がヘッジコスト以上に円高になった場合に「為替ヘッジあり」の投資信託を選ぶほうがリターンが良くなるわけです。

こうした違いがありますが、投資をするときにヘッジあり、ヘッジなしを選ぶポイントはポートフォリオ全体における通貨のポジションをどうするか?によって考えるべきだと思います。

たとえば、運用資産の大部分が海外の資産で占められているような場合、ポートフォリオによる為替リスクが大きすぎる場合があるでしょう。
こうしたときは一部の投資商品を「為替ヘッジあり」としておくことで、特定の外貨(外国為替)の変動によるリスクを小さくすることができます。これはリスク管理の面から言えば有効です。

一方で「日本円だけ」という状況も一つのリスクだということは認識しておく必要があります。すべての運用資産が円建てというのは、日本経済の相対的な地位低下による円安リスクを受けているということになります。
為替ヘッジなし外貨建て資産で運用するのは、逆に日本経済全体のリスクをヘッジ(回避)できているともいえるわけです。

要はバランスです。投資対象が特定の外貨よりというなら一部を為替ヘッジありにするのは有効だと思いますし、逆に円主体なら一部の資産を米ドル建て、ユーロ建てで持つのは悪くありませんので為替ヘッジなしが有効になると思います。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。