先物取引やFX取引などは、レバレッジが効いているため、投資額以上の損失が発生する可能性があります。
わずかなら何とかなるかもしれませんが、相場が大きくクラッシュするなどして多額の損失を負い、負債(借金)を抱えてしまうというケースもあるかもしれません。万が一、投資の失敗によって借金を背負った場合はどうなるのか?どうするべきなのか?ということについてまとめます。
もくじ
暴落による投資による借金
相場においてはときに、暴落とも言える値動きをすることがあります。
信用取引、先物取引、FX取引のようなレバレッジ取引においては、預けている金額以上の投資ができることから、損失の度合いによっては「元金以上の損失」を出すことだってありえます。
そのような元金以上の損失がでた場合、投資家はどのように行動しなければならないのでしょうか?
基本的には期日以内に差し入れが必要
不足分の証拠金を入れるにしても、強制決済によって残高がマイナスとなっている場合であっても、基本的には証券会社(FX業者)などに対してそれぞれで定めている期日までに入金するのが原則となります。
ただし、相場の暴落などで大きな損失を被り、すぐにはそれを支払えないというケースもあるかもしれません。
証券会社も交渉・相談には応じてくれる
証券会社側もルールにのっとり返済を求めてくるはずですが、多くの業者は上場しているような大企業です。こちらに返済の意思がありそれが実行できるというのであれば、すぐに無理なことはしてきません。こちら側も誠心誠意対応する姿勢を見せて、事後対応を協議するというのが基本となります。
逆に、証券会社からの電話にでないというのは悪手といえます。すぐに返済ができないのであればそれを伝えた上で返済の意思をまずは示しましょう。その上で返済の計画を立てていけばいいのです。
相手の証券会社(FX業者)などが交渉に応じてくれない場合には、ADR(裁判外紛争手続き)を利用すると言う手もあります。日本の取引業者であれば「証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)」があります。金融商品に基づくトラブルを裁判によらず、話し合いにより解決するという場です。
投資負債返済のために借金は絶対にしない
すぐに返済が可能なごく少額の場合を除き、返済のための借金はしてはいけません。
投資家の方には証券会社への不足分を支払うために消費者金融、カードローンなどを利用して借金をしようと考える方もいるかもしれません。すぐに返済が可能というならまだしも、そうでない場合は泥沼化する恐れがあります。
特に高額の借り入れは、かえって問題が大きくなるかもしれません。借金のための借金はやってはなりません。
投資による借金は自己破産できない?
こうした相場のクラッシュ時には、とんでもないような負債を抱えるケースもあります。
中には現在の収入など状況では到底返済はできないという場合もあるでしょう。そうした時に考えられるものの一つが「自己破産」ではないでしょうか?
自己破産というのは債務整理の方法の一つで、免責を得ることで、借金をゼロにできるという法的整理の一種です。
ところが株や先物取引などによって生じた借金というのは自己破産における「免責不許可事由」として挙げられており、投資によって多額の損失を抱えた場合であっても自己破産は認められません。
こうした投資による借金を免責してしまうと、イチかバチかの投機をさせるといったインセンティブとなるからと言われています。
じゃあ、どうしようもないのでしょうか?
裁量免責の可能性
破産法 第252条 2項には「前項の規定にかかわらず,同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても,裁判所は,破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは,免責許可の決定をすることができる。」という規定があります。
これを裁量免責と呼びます。
裁量免責とは、裁判所がその裁量によって免責を判断するというものです。
信用取引やFX、先物取引などで借金を背負った状況を弁護士などに相談すれば、投資による失敗であっても裁量免責として認められる可能性は十分にあります。
株やFX、先物取引などでの借金は自己破産できないというのは正しい一方で、状況によっては認められる場合もあるということを知っておきましょう。
ネット上の情報としてFXで免責が受けられた、受けられなかったというような情報が錯綜していますが、個々の状況によって異なります。まずは、弁護士に相談してください。
レバレッジ投資はレバレッジ管理を
当ブログでも「レバレッジ取引で必ず理解しておきたいリスク」などでも説明していた通り、FXや先物取引、オプション取引、信用取引のようにレバレッジ取引についてはその管理を徹底することをアドバイスしてきました。
相場が大きく動く場合、本来なら働くロスカット機能(ストップロス注文)もきかないことがあります。文字通り値段が飛ぶことがあるからです。
投資効率を高める時、レバレッジというものは確かにプラスに働きます。その一方でマイナス方向に動いた時はその効率が逆に大きなマイナスとして向かってくると言うことを忘れてはいけません。
以上、株や先物取引、FXなどで借金を背負ったらどうすればいい?分割返済はできる?自己破産できるのか?という疑問に対してまとめてみました。