株価の今後を予想する分析手法の一つに「価格帯別出来高(かかくたいべつできだか)」というものがあります。その名前の通り、一定期間における価格帯(株価)別の出来高(売買高)の大きさを示すものです。
この価格帯別出来高は、過去に投資家がどの程度、その株価で株を売買したのかということで、下値支持線や高値抵抗線となりえます。今回はそんな価格帯別出来高の仕組みや活用方法について紹介していきます。
価格帯別出来高とは何か?
通常、「出来高」という場合、それはその株式等が取引された量(株数)を時系列に並べたものです。
2月1日は132万株、2月2日は155万株、2月3日は140万株といったような感じですね。出来高の大きさはその株の人気度(注目度)を示しているので、こちらも投資判断に役立ちます。
一方で今回紹介する「価格帯別出来高」というのは、時間ごとではなく、株価水準ごとに過去一定期間の出来高を示したものになります。
- 590円で150万株
- 595円で190万株
- 600円で330万株
- 605円で20万株
- 610円で33万株
- 615円で15万株
- 620円で30万株
- 625円で20万株
- 630円で300万株
- 635円で480万株
といったような具合ですね。価格帯ごとにどれだけ過去に売買されたのかを見ることができるわけです。
上記を見ると、600円以下での出来高は多いですが600円以上での出来高は小さいということがわかりますね。そして630円以上でまた出来高が増えています。
価格帯別出来高の確認方法
証券会社のチャート分析などの画面で確認することができます。
以下は「SBI証券」の管理画面上(WEB)での確認画面です。
横棒のグレーの部分ですね。上記チャートだと、32500円台の価格帯別出来高の高いところでもみ合いましたが上抜けできずに、最後に下落した形になっていますね。
価格帯別出来高の相場への活用方法
この価格帯別出来高というのは投資かの過去の取引高です。つまり、その株価でその株のポジション(買い建て/売り建て)をしている人が多いということを意味しています。
つまり、その水準は下値支持線、高値抵抗線となることがあります。
下値支持線、高値抵抗線とは
チャート分析における、いわゆる節目です。
上値抵抗線・・・これ以上は上げにくいと考えられる価格帯の事。ただし、上抜けした場合には逆にその価格帯が「下値支持線」となる。
下値支持線・・・これ以上は下げにくいと考えられる価格帯のこと。ただし、下抜けしてしまった場合は逆にその価格帯が「上値抵抗線」となる。
こういったものですね。
価格帯別出来高でいえば、現在の株価よりも上で出来高が多い価格帯は上値抵抗線ですし、現在の株価よりも下で出来高が多い価格帯は下値支持線となります。
投資への活用としては価格帯別出来高の大きいところを節目として、上抜けたら買い、下抜けたら売り
価格帯別出来高が小さいところはスルスル株価が動くことも
また、価格帯別出来高が少ないところというのは株価が過去に飛んだ部分です。過去に取引している人が少ないため、一方的な展開となりスルスルと株価が動いてしますことがあります。
- 590円で150万株
- 595円で190万株
- 600円で330万株
- 605円で20万株
- 610円で33万株
- 615円で15万株
- 620円で30万株
- 625円で20万株
- 630円で300万株
- 635円で480万株
最初の例のところで紹介した溶暗ケースだと600円以上630円以下は価格帯別出来高が低く、過去にその価格帯であまり取引されていなかったことがわかります。
そのため、上記の価格帯は値動きが軽くなりやすいという傾向があります。
移動平均線分析との併用も
株価の推移によるテクニカル分析では「移動平均線」を使った分析もよく利用されます。移動平均線も同じ過去に取引された価格をベースに作られたものですのでよく似ています。
その為、5日移動平均線、25日移動平均線、ゴールデンクロスやデッドクロスといった移動平均線を使った株価分析とも相性が良いです。
まとめ。単体では使いにくいがあくまでも参考資料
価格帯別出来高という指標は、相場においては下値支持線、上値抵抗線の一つくらいにとらえておくとよいと思います。
その下値支持線、上値抵抗線についてもメチャクチャに強いというわけではありません。アッサリ抜く(抜かれる)ケースも少なくありません。
単体で使うのではなく、他のテクニカルチャートも併用する形で価格帯別出来高を見ていきましょう。