インフラファンドというのはインフラストラクチャー(社会資本)に対して投資をするファンドです。インフラというと、港湾、空港、道路、鉄道などがあげられますが、現在上場しているインフラファンドの主な投資対象としては太陽光発電所(メガソーラー)があげられます。
日本では2015年に東証に「インフラファンド市場」というものが創設されており、2016年6月に第1号(タカラレーベン・インフラ投資法人)が上場しています。こうしたインフラファンドは高い利回りを実現しているわけですが、そのインフラファンドへ投資をするメリット、デメリットを紹介していきます。
インフラファンドの仕組み
仕組みとしてはJ-REIT(上場不動産投資信託)とにいています。REITは投資家から集めた資金を使ってビルやマンション、ホテルなどに投資をして賃料収入を得て、それを投資家に分配する形になります。
インフラファンドでは、投資家から集めた資金を使って太陽光発電システムなどのインフラに投資をして、そこから得られる収益を投資家に分配します。
上場しているインフラファンド
- タカラレーベン・インフラ投資法人<9281>
- いちごグリーンインフラ投資法人<9282>
- 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人<9283>
- カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人<9284>
- 東京インフラ・エネルギー投資法人<9285>
- エネクス・インフラ投資法人<9286>
これらの上場インフラファンドは国内株、ETF、REITと同じように株式市場を通じて売買することができます。
安定した分配金が期待される投資商品
インフラファンドはその投資対象によって異なりはしますが、比較的安定した収益が期待できます。
たとえば、現在の上場インフラファンドは太陽光発電所(メガソーラー)への投資が基本となっていますが、太陽光発電による収益はFIT(固定価格買取制度)によって一定の収益性が担保されています。
そのため、分配金が安定するという点が大きな魅力です。
インフラファンドのリスク
一方で、太陽光発電システム(メガソーラー)への投資に依存している現状のインフラファンドは太陽光発電投資と同様のリスクを抱えています。
- インフレリスク
- 出力制御リスク、自然災害リスク
- 固定価格買取制度終了リスク
FIT(固定価格買取)はインフレリスクがある
上場インフラファンド(太陽光ファンド)は、FIT(固定価格買取制度)による売電を収入源としています。この買取価格は「固定」されているため、仮にインフレになっても、売上額は変化しないため、インフレ時には実質的な収益性は低下します。
出力制御リスク、自然災害リスク
出力制御は発電量が需要を上回るときに発電量を調整することです。
2018年には九州電力が全体需要量の8割を太陽光発電が占めることがあるくらい、比率が多くなっており、発電量が需要量を大きく上回り、太陽光発電システムに関しても出力制御が実施されました。この出力制御が行われると売電が制限されて収益が低下するリスクがあります。
また、台風や地震などの災害でシステムが毀損するリスクもあります。
固定価格買取制度が終了するリスク
太陽光発電は売電収入を分配原資としていますが、固定価格買取期間は20年間と決まっています。買取価格は今は高いのですが、FIT終了後には大幅に買取価格が下がることが想像できます。つまり、今の高収益はFITが前提であり、終了後の収益性には大きな疑問が残ります。
法人向けのFITは20年間ですが、個人向けは10年で2019年よりその終了リスクも顕在化してきています。
仮にFITの残存期間が13年という場合で年率6%の分配があったとしても78%までしか回収できません。FIT終了後も売電はできるでしょうが、単価は大幅に下がることは不可避です。
インフラファンドに投資をする意味
上場インフラファンド(太陽光発電)は、高い利回りが期待することができますが、投資としての永続性が限られているという点がネックです。
現在の安定的な分配金は魅力的ではありますが、ほとんどの上場インフラファンドのFIT残存期間は残り15年程度となっているわけなので、この辺りも考えた上で投資判断をする必要があります。