ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治・ガバナンス)の頭文字をとったものです。この3要素を元に、優れた経営を行っている会社に投資をすることをESG投資と呼びます。
企業がこうしたESGに対する課題を対応すること、また、投資家がそのような企業を投資を通じて応援することで環境問題や社会的な課題の解決、透明性のある資本市場の育成を図るということを目的としています。東京証券取引所では、この要素を満たした銘柄をESG銘柄として選定しています。
ESGに配慮した経営とは?
たとえば、Environment(環境)についてはCo2排出削減に対する取り組み、自然エネルギーの活用など。Social(社会)という分野では女性社員の育成や登用、育児との両立をサポートする取り組み、ワークライフバランスへの取り組みなどが挙げられます。Governance(統治・ガバナンス)では、社外取締役の設置、資本効率を重視した経営、情報開示の充実などが挙げられるでしょう。
ESGと運用リターン、投資する価値
ESGが優れた会社は、投資的な価値も高いかというのは必ずしもいえないかもしれません。
投資家が求めているのは会社が利益をあげて投資家に還元されることのはずです。そうした利益をあげることと、社会が求めている様々な要請に対して企業が応えることに関連性はあるのでしょうか?
2012年に選定されたESG銘柄
東京証券取引所グループ(現:日本取引所グループ)では、2012年7月11日にテーマ株の一つとしてESG銘柄15社を公表しました。
選定銘柄は下記の通りです(当時)。
・アサヒグループHD
・出光興産
・東レ
・ツムラ
・日産自動車
・アサヒHD
・小松製作所
・日本電産
・KDDI
・大阪瓦斯
・東京急行電鉄
・伊藤忠商事
・ファーストリテイリング
・三菱UFJフィナンシャルグループ
・リコーリース
本銘柄とその後の株式市場の動きを大和総研グループがまとめました。
結果として、下記の様なデータが発表されました。なお、リターンについては銘柄選定によるプラス評価も考えられる為、公表後だけでなく、公表前の数字も含めて検証されています。
ESG選定12銘柄とTOPIXのリターン(配当込)
過去3年リターン | 過去2年リターン | 過去1年リターン | 1年後リターン | |
---|---|---|---|---|
TOPIX | -17.5% | -9.3% | -10.4% | 57.2% |
ESG銘柄 | +0.4% | +7.8% | -4.6% | 59.4% |
いずれの期間を見た場合でもTOPIX平均よりもESG銘柄の方が良好なパフォーマンスとなっています。
いい会社を選ぶことはよいリターンを生むか?
上記の結果はあくまでも「過去はそうだった」ということでしかありません。
今後も良好なパフォーマンスをあげると言う保証はありません。しかし、ESGのような社会的な要請の応えようとしている「いい会社」のリターンが良いということは一つの知識として知っておくとよいと思います。
ESG銘柄はどうやって探す?
前述の東証が選定した12銘柄のようなものが一つとして挙げられます。
また、ニッセイアセットマネジメントでも、企業をESGの観点から会社を1~4の4段階で評価しています。
他にも、会社単位でもアニュアルレポートといったような社会や環境への取り組みを発表するところが増えています。そうした資料を読み込んで、自分自身でESGが優れている会社を探しだすと言うのも一つの投資の方法になるでしょう。