株式投資

日経225先物取引でみる先物取引の基本と活用例

先物取引というととても難しい取引、リスクが高くて素人は絶対に手を出してはいけない取引という印象をお持ちの方も多いのではないかと思います。しかしながら、活用方法によっては先物取引というのはリスク回避の手段となったり、より確実に投資収益を確定するための手段としても利用できるわけです。今回はこうした先物取引の基本を日経225先物取引という例を使いながら解説していきたいと思います。

先物取引とは?

先物取引とはある商品を将来の特定の日において、現時点で取り決めをした価格で、取引することを約束する契約のことをさします。その植えて将来の特定日までの間であれば自由に転売や買戻しを行うことが可能な取引となっています。

大切なところは太字にしています。先物取引では「買い建て(ロング)」と「売り建て(ショート)」の二つが可能で、将来価格が上昇すると予想していれば買い建て、下落すると予想していれば売り建てを行います。予想通りの値動きとなれば、買い建て、売り建てをおこなった時点の価格と将来の価格との差が利益となります。
(参考:ロングとショート

 

日経225先物取引

日経225先物取引はいわゆる「日経平均株価」を取引対象とする先物取引です。日本を代表する株価指標の一つですね。

取引単位は「枚(まい)」で数えます。1枚は日経平均株価(日経225)の1000倍です。
仮に日経平均株価が1万円だとすると、1枚=1000万円となりますね。ただし、実際に取引する際には1000万円が必要になるわけではなく、証拠金というお金を差し入れることで取引ができます。
2013年4月5日の日経平均株価は12,890円でしたので、日経225先物取引の1枚の取引金額は1289万円となるわけですが、この1枚を取引するにあたって必要な証拠金(SPAN証拠金)は57万円となります。

とても小さい金額で大きな取引が出来る高いレバレッジ取引となるわけです。(このケースでレバレッジはおよそ20倍超)
(参考:レバレッジと資産運用

日経平均株価は最低取引単位が大きいことから個人投資家にはリスクが高いとして投資の裾野が広がっていませんでしたが、近年は日経225先物miniといって取引単位がその1/10の先物取引も可能になりました。
(参考:日経225miniとは

 

限月と決済方法

先物取引は「特定の日に取引をする契約」と最初に説明したとおり取引する日(清算する日)と言うものが定められています。それを「SQ」と言います。また、SQがある月を限月と呼びます。
日経225先物取引の場合は、3月、6月、9月、12月が限月となっており、それぞれの第2金曜日がSQ(清算日)となっています。

この日を迎えると、それぞれの限月の先物取引は強制的に決済されます。
日経225という現物はないので、金銭による差金決済となります。たとえば12,890円で買い建てをした先物があり、SQ価格(清算価格)が13,000円だった場合は1枚あたり110円×1000円=11万円を受け取ると言う形になります。

なお、最初に書いたとおり、期限までの間ならいつでも転売が可能となっているので、SQ前に売却してしまうことも可能です。

 

日経225先物取引の活用例

それでは、具体的にこの日経225先物取引をどのようにして活用できるのかをまとめます。

現物株と反対のポジションを持つ「ヘッジ取引」

たとえば、現物株式を保有しているとします。その株式は中長期で保有しているつもりですが、株式相場全体の雲行きが怪しいとします。そのようなとき、現物株を売却するのではなく、それを保有したままの状態で日経225先物取引を売り建てします。
こうすることで、株式市場全体が下落した場合には先物の売り建てが利益を出してくれ、現物保有株のマーケット全体の下げによるリスクを回避することができます。

ちなみに、この方法は「売りヘッジ」と呼ばれます。これとは逆に、相場の上昇に対して先物の買いでリスク回避をすることを「買いヘッジ」と呼びます。日経225先物取引は小額の証拠金で取引が出来るので保険のためのヘッジ取引手段としてかなり有効です。

 

株価指数の先物価格と理論価格の差を取引する「アービトラージ取引」

アービトラージ取引とは「裁定取引」とも呼ばれる取引方法です。先物の実際の価格と理論価格との間に差異が生じた際に、割高なほうを買い、割安なほうを売ることによって確実に差益を取ると言う方法です。
株価指数先物の理論価格は株価指数(日経平均株価)に短期金利を加え配当利回りを差し引いたものになりますが、理論価格が実際の先物価格よりも高い場合は先物を売って現物を買う、逆のケースでは先物を買って、現物を売ると言う方法をとることでその差が将来正常になったときに解消することで確実に利益を得ることが出来ます。

 

高いレバレッジを活かした「オープンポジション取引」

日経225先物取引は高いレバレッジを活かして小額で大きなお金を動かすことができます。それを活用して行うヘッジを行わない取引をオープンポジション取引といいます。投機的取引(スペキュレーション取引)とも呼ばれます。
本来はヘッジ的な利用を行うのが先物取引なのですが、実際に日経225先物取引を利用している方の多くはこうしたオープンポジションによる差益狙いの投資が多いです。

 

いかがでしょうか?先物取引といっても最後に説明した「レバレッジを駆使して行う差益狙い」という方法以外にも堅実に儲けるための手法や、他の投資のリスクを軽減するための手法もあることがわかっていただけるかと思います。
先物取引というトレードはあくまでも手段の一つであり、活用方法によってどのようにも活かせるわけです。ぜひ上手に活用してください。

参考サイト
日経225先物取引ガイド

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。