投資全般・コラム

損切り(ロスカット)の重要性

投資においてとても大切な考えがあります。それは「損切り(ロスカット)」というものです。損切りはこれ以上の損失の拡大を防ぐことができるだけでなく、資金に流動性を持たせることにより投資のチャンスを逃しません。個人的にはこの損切り(ロスカット)を上手にできるかどうかが投資家として長く市場で取引できる要素だと思っています。
今回はこの損切りの重要性と、それをしないリスク、抵抗感なくロスカットするための考え方などをまとめていきます。

売らなければ損しないは正解か?

損切り(ロスカット)をしない。という投資哲学をお持ちの方も多いようです。しかしながら、損切りをせずに含み損を抱えたままの株や為替などを塩漬け状態にしておくことにもリスクはあります。

  1. 含み損は今後も拡大するリスクがある
  2. 資金が拘束されて他の有望な投資に資金が回せない(機会損失)

大きくはこの二つです。

含み損は今後も拡大するリスクがある

もっとも考えておきたいのはここです。購入額から大きく株価や為替が動いて塩漬け状態になっているとします。この水準で売ったら損がでるから、塩漬けにしおく、いつかは戻るだろう。という考えも確かにあります。

しかしながら、為替がゼロになることは考えにくくても、株の場合、倒産などによって株価的な価値がゼロに近づくリスクはあります。十分に下がったからこれ以上下がらないという理由は間違っていることが多いです。

今後株価が回復するだろうという確固たる見込みがあるのであれば塩漬け状態も問題ないかもしれませんが、そうした理由もなしに保有しておくのは、まだリスクを抱えているということを忘れてはいけません。

資金が拘束されて他の有望な投資に資金が回せない(機会損失)

この機会損失という考え方も重要です。
塩漬け状態の株は簡単に売ることもできず、あなたの資産ポートフォリオを硬直的にしてしまいます。このように塩漬け株を保有し続けているということは、何か別の投資チャンスがあってもそれに投資をすることができないという機会損失を生んでいるということを忘れてはいけません。

また、投資における重要なファクターである「複利」という概念を考えると、本来見方につけるべき「時間」というものを含み損塩漬け状態の投資し商品は奪っているということも忘れていけません。

ナンピン投資はリスクが倍増していることを忘れてはいけない

なお、ロスカット(損切り)と大局的な概念にあるのが「ナンピン」という考え方です。
株価(為替)が下がったから、買い増しをしていき、平均取得価格を引き下げていくというものです。

たとえば3000円で500株買っていた株が2500円にまで下落した時、1000株を追加で投資した場合、平均取得価格は3000円から2666円にまで下げることができます。これを繰り返すことで株価がある程度下がったとしても平均取得価格を下げることで戻りがあった時に損を解消しやすくなります。

確かに、ナンピン投資は有効な場面もあります。しかしながら、それは「株価が戻す」という前提があってこそです。また、ナンピンを続けることで確実にリスクは増大していきます。先ほどの例では、500株の時は100円株価が下落しても5万円の含み損の増加ですんだのに、1500株までナンピンで株数を積み増すことで、100円の下落で15万円も含み損が増える計算になります。

投資で大きく失敗する人にはこうやってナンピンを積み上げて、結局余力をオーバーしてしまい、最終的に多額の含み損を泣く泣く決済して退場というパターンがあります。

下手なナンピン素寒貧(すかんぴん)の意味。 相場格言の一つに「下手なナンピン素寒貧」という言葉があります。ナンピンというのは、保有株などが下がった時に追加で購入することで平...

私は、ナンピン自体を否定するわけではありませんが、ナンピン投資をする場合こそ、ここまでは耐えられるという下限を決めた上で投資をするべきだと考えています。投資で退場する人は99勝1敗でも退場になるものです。

損切りにどうしても抵抗がある人へ

まず、人は「損」をすることを嫌がるものです。これは行動ファイナンスでも実証されており、1万円落とした時(損した時)と1万円儲かった時では、同じ1万円でも損をしたときのマイナスの方が儲かった時のプラスよりも大きく感じるそうです。ちなみに、行動ファイナンスの研究者によると同じ金額の損と利益の場合、約2倍ほど損をしたときのダメージの方を強く感じてしまうそうです。
つまり、誰でも同じなのです。ですから、損切りができない、抵抗があるというのは皆さん持っているわけです。

数字としてのロスカットルールを作る

ですから、損切りについては「機械的」に行うようにします。これを絶対のルールとして運用することで、抵抗感を小さくしましょう。例外は作らないようにします。たとえば10%以上下げた場合は売りといったような形が挙げられます。

上記のように一律なルール以外にも、投資時点で25日線(移動平均線)を割ったらロスカット、出来高が○%以上減少したらロスカットといったように個別銘柄ごとにロスカットルールを作るのも良いかと思います。特に短期の投資の場合はこうしたルールを作ることも傷を小さくする上で重要です。

目論見が外れたときも素直にロスカット

また、銘柄によっては何かに注目して買うというケースも多いかと思います。たとえば、テクニカル分析で25日移動平均とのかい離率が大きく上昇したから短期リバウンドを狙って買ったケースがあったとします。

この場合、短期リバウンドを狙った買いですので、中長期の投資ではないわけです。この乖離率に基づいたリバウンドが起こらなかった(目論見が外れた)という場合は素直にロスカットしましょう。もちろん、中長期の保有を目的で買う場合はこの限りではありませんが、それは初めから中長期の保有目的で買った場合です。このように、目論見が外れたのであれば素直にロスカットして他のチャンス銘柄を探す方が有意義だと考えています。

 

いかがでしょうか?最初にも書きましたが、投資家として長く市場で生きていくためにはロスカット(損切り)というものはとても大切な考え方だと思っています。ナンピンにナンピンを重ねていく投資は何度かはうまくいくこともあるでしょう。ナンピンで株数だけは増えているはずですので大きな利益が得らたこともあるかもしれません。

しなしながら、それはそれだけ大きなリスクを抱えていて結果的に勝った。ということに過ぎません。

ナンピンで大成功した時、反転せずにさらにそのまま10%株価が下げた場合は大丈夫でしたか?相場が気になって夜も眠れなかったり、仕事中も気になって株価ばかり見ていたということはありませんか?

相場で成功するためにもちろん「運」も必要です。しかしながら、過大なリスクを負った投資は失敗した時の犠牲も大きくなります。
ぜひ、損切り(ロスカット)も覚えて、無理な投資をすることなく、株式市場と付き合っていきましょう。

ABOUT ME
高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。