先物取引・オプション取引

オプション取引における「買い手」「売り手」と「コール」「プット」の意味

traderオプション取引をするときに出てくるオプションの売買には「買い手」「売り手」「コール」「プット」という4つの立場があります。初めてオプション取引をしようと考えている方にとって、この4つの立場って意外と理解しにくかったりこんがらがったりすることがあります。

今回はこうしたオプション取引の「買い手」「売り手」「コール」「プット」とそれぞれの組み合わせについてわかりやすくまとめながら、オプション取引の基本を紹介していきます。

オプション取引は「権利」の取引

オプション取引は「買う権利」と「売る権利」を売買する取引です。
買う権利=コールオプション」で商品を特定価格で特定日に買うことができる権利を意味します。
一方の「売る権利=プットオプション」といいます。商品を特定価格で特定日に売ることができる権利を意味します。

 

コールオプションとプットオプション

コールオプションは買う権利、プットオプションは売る権利です。

たとえば、コールオプションは「8月20日にリンゴを1個あたり100円で1000個購入できる権利」のようなものです。
コールオプションは権利なので行使するしないは自由です。たとえば、8月20日になってリンゴの価格が1個あたり98円だったら、わざわざ100円で買っても損をするだけなので権利を行使しません(放棄)。

一方でリンゴが1個あたり110円で売買されていたら権利を行使してリンゴを買って売却すれば1個当たり10円の利益が出ることになります。

オプション取引の場合は実際にリンゴを売買することはなく、価格の差だけをやり取りします。このケースなら1個当たり10円で1000個分である1万円をオプションの買い手は8月20日に受け取ることになります。

プットオプションは売る権利なので、コールオプションとは逆に、「8月20日にリンゴを1個あたり100円で1000個売却できる権利」になります。SQ価格が100円を下回っていれば差額が利益となります。上回っている場合は権利を行使しないことができます。

ちなみにこの清算する価格のことを「SQ」といいます。オプション取引の場合、毎月第2金曜日がSQ日です。SQについては「SQと株式投資」でも詳しく説明しているのでこちらもご一読ください。

 

オプション取引は損失限定取引

ここまで読んでいただいてわかることは、オプション取引というのは損失が限定されている取引ということです。
コールオプションもプットオプションも自分が有利な時は権利を行使して差額を受け取ることができ、不利な場合は権利を放棄してしまえば損失はありません。

その一方でオプションは「権利」なのでその権利のための価格をあらかじめ支払っておく必要があります。それがオプション価格(プレミアム)です。

コールオプションやプットオプションを購入するためにはオプション料(プレミアム)をオプションの売り手に対して支払う必要があるのです。

 

オプションの売り手

オプションの売り手というのは、コールオプションやプットオプションなどの権利に対して応じる義務を持つ人です。
オプション取引の取引所でコールオプションやプットオプションを売ることで売り手となることができます。

オプション取引(権利)の売り手は、買い手の要求に対して応じる義務があります。
たとえば、前述の「8月20日にリンゴを1個あたり100円で1000個購入できる権利」というコールオプションを売った場合、リンゴの価格が8月20日に100円を超えている場合はその権利行使に対して応じる(差額の支払いをする)義務があります。

このケースだとリンゴ価格が101円なら1000円、110円なら1万円、200円なら10万円の支払い義務があります。一方でオプション取引の売り手は、買い手から「オプション料(プレミアム)」を受け取っています。このオプション料(プレミアム)は売り手が買い手に対して売ったタイミングの価格であり、定額です。

コールオプションの買い手は前述の通り「損失限定・利益無制限」である一方で、オプションの売り手は「損失無制限・利益限定」となるわけです。

 

要するにオプション取引では、下記の4つの主体がいるわけです。

・コールオプションの買い手
・コールオプションの売り手
・プットオプションの買い手
・プットオプションの売り手

それでは、それぞれの立場とどのような投資的価値があるのかを紹介していきます。

 

コールオプションの買い手と売り手

買う権利を買っている投資家です。
たとえばある商品について9000円のコールオプションを買うとします。そのときのプレミアム(オプション料)は100円だとします。この投資家は清算日(SQ)の価格が9000円より高いとき、コールオプションを行使することでその差額を受け取ることができます。逆に、9000円未満の場合は権利を放棄することができます。

一方のコールオプションの売り手は買い手が権利を行使したときにはそれに応じる必要があります。9000円より高い場合、買い手は確実に権利行使してくるのでその差額を支払う必要があります。ただし、買い手から100円のオプション料を受け取っているため、実質9100円までであれば利益がしょうじることになります。
ただ、9100円を超えて上昇した場合の損失は青天井です。

コールオプションの買い手と売り手の損益をグラフにしたものが下記のものです。

calloption_graph

買い手の最大損失はオプション料の100円だけで、価格が上昇した場合には利益はどんどん増えていきます。一方の売り手は最大利益は100円で最大損失は無制限ということになります。

 

プットオプションの買い手と売り手

プットオプションは売る権利を売買するもので、コールオプションとは逆に、買い手は一定以下の価格になったときに権利を行使すればその差を得ることができます。

コールオプションと同様に買い手と売り手の損益グラフを表示すると下記のようになります。

putoption_graph

 

オプションの買い手と売り手の立場

オプション取引において買い手は「相場を予想して利益を出す」あるいは「保険として購入」という意図があります。
コールオプションの買いは株価上昇、プットオプションの買いは株価下落を予想するという投資行動となります。ただし、予想に反した動きをした場合でも最大損失は「オプション料」までということになります。

最大損失を限定した形で相場をはることができる。というのが大きなメリットといえます。また、日経平均のようなマーケット全体のリスクを回避するためにも活用されます。
たとえば、いろいろな株を保有しているときに、金融危機などでマーケットが大きく混乱するようなことになったとき、プットオプションを一定購入していればマーケットが大きく下落したときの保有株(現物株)の下落分を一部ヘッジ(リスク回避)することができます。このような保険的な意味でコールオプションやプットオプションを買う投資家もいます。

 

一方のオプションの売り手は、「リスクを引き受ける側」となります。
権利行使がされるような場合には大きな損失が発生する可能性がありますが、そういうことがなければオプション料という形で収入を得ることができます。

ここまで見るとオプションの売り手はリスクだけ大きいのにリターンは小さいと思うかもしれません。ただし、オプション取引の売りも上手に活用をすれば決して分が悪い取引主体ではありません。資金力があれば、オプション料収入で安定的な利益を上げることも可能です。

 

オプション取引をするならまずは「買い」から経験しよう

オプション取引についてこれから始めてみようと考えている方はコール、プットの「買い」から入るようにしましょう。

オプションの売りについては、オプション取引を実際に行って実際にもっと実践的な理解を深めてから行うべきです。

リーマンショックなどの際には相場の急変によってオプションの売り手が大損害をこうむったという話もよく聞きました。
オプションの売りを組み込むのであれば、しっかりとした経験と知識を身につけた上で、様々なヘッジ策を取りながら実施するようにしましょう。

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以上、オプション取引における「買い手」「売り手」と「コール」「プット」の意味をまとめてみました。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。