トルコリラの暴落、トルコの通貨リラが暴落したというだけではなく、影響は銀行などで“おすすめ”の投資信託を購入した人たちにも大きく波及しているはずです。
トルコリラ建ての投資信託はもちろん、新興国系・エマージング系の投資信託の中には関連投信も少なくありません。関連ファンドの大幅下落と、こうしたファンドを購入した個人投資家の方々は、これらを販売した銀行や証券会社がいわゆる「フィデューシャリー・デューティー」を果たしてきたといえるでしょうか。
トルコリラ暴落で壊滅的打撃のトルコ関連ファンド
トルコリラ(TRY)は、高金利通貨の中でも代表格でした、そんなトルコリラが対米関係などもあり大幅に下落しています。
こうした影響を受け、トルコの債券などを組み入れた投資信託は壊滅的といっても過言ではないダメージを受けています。
トルコリラの為替相場は2018年1月は1リラ=30円程度でしたが、2018年8月20日時点は1リラ=18円後半程度の水準まで円高が進んでいます。その為、トルコリラ建ての投資信託などは大打撃を受けているわけです。
日経新聞(2018年8/17朝刊)によると主なトルコ関連投信として以下のようなファンドが挙げられています。
- トルコ・ボンド・オープン 大和投信
- エマージング・ボンド・ファンド 大和住銀
- 日興ピムコ・ハイインカム・ソブリン・ファンド 日興アセット
- 野村エマージング債券投信 T&Dアセット
- 野村米国ハイ・イールド債券投信 野村アセット
- アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド アムンディ
トルコ・ボンド・オープンに至っては前年末比で53%も下落しており、その他のファンドも30~40%台の下落幅となっています。たった8カ月で資産の多くが毀損してしまった計算になります。
直接トルコとは関係なさそうなファンドが下落している理由
トルコ・ボンド・オープンのように明らかにトルコ投資とわかるものもあれば、野村米国ハイ・イールド債券投信やアムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンドのように、トルコ関係あるの??と思われるような銘柄も含まれていますね。
上記のようなファンドは通貨コースを選択できるものがあり、そのうちのトルコリラ建てのコースだったわけです。
こうした通貨選択型ファンドはハイリスクですよ。ということは過去に指摘していましたが、そのリスクが顕在化したわけです。
そもそも論だけど、トルコリラは下落し続けている
ちなみに、トルコリラをはじめとした高金利通貨のレートは基本的には円高になる傾向があります。実際トルコリラは1年前どころか何年も前から為替レートは水準を切り下げています。
画像はSBI証券より。
今年の暴落もひどいですが、それ以前から年々円高に通貨を切り下げていっています。ちなみに、通貨の下落自体は当然といえば当然です。
トルコリラは政策金利が15%を超えている状況です。インフレ率も当然に相当高いです。「インフレ=通貨価値の下落」ですよね。一方で円(日本円)はインフレどころかデフレ傾向があります。
結局のところ、トルコリラの高利回りはインフレに対する補償に近い側面があるわけで、何もなければ理論上、インフレ率に相当するレートだけ為替は切り下がることになるわけです。
販売者(銀行・証券会社)はリスクを説明したか?
彼らは説明したでしょう。分厚い目論見書は渡しており、それをちゃんと読んだ確認も取っているはずです。
でも、実際のセールストークは「高利回りです」「毎月分配です」ではなかろうかと思います。元本が多少下がっても、分配金が出ているから損してないと思わせていたかもしれません。
でも、本当にそれに投資する必要がある人に勧めたのか?と銀行員や証券マンに聞きたいですね。
「フィデューシャリー・デューティー(受任者責任)」という言葉が、金融機関に求められるようになった今、売りやすくて手数料が抜けて儲かる商品という理由でこういったものを販売する姿勢はぜひ改めていただきたいところです。