銀行が口座維持手数料の導入を検討しています。銀行口座というものは基本的に無料であるのが当たり前でした。ところが、マイナス金利政策が続く中で銀行も口座維持のためのコストを負担できなくなり、各行で口座維持手数料の検討が進んでいます。
口座維持手数料はなぜ必要になるのか?
なぜ今になって銀行で口座維持手数料というものが議論されているのでしょうか?
- 預金者の口座維持にはコストがかかる
- マイナス金利政策によって利ザヤが低下し収益低下
預金者の口座維持にはコストがかかる
口座をもっているだけで手数料がかかるのはなぜなのでしょうか?銀行にとって口座を管理するためにコストがかかっています。
銀行内部での管理コストや通帳の発行コストだけでなく、通帳については税金(印紙税)もかかっています。そうしたコストがかあるため、銀行をほとんど使ってくれない預金者というのは銀行にとっては赤字ユーザーなんですね。
マイナス金利政策によって利ザヤが低下し収益低下
こうした状況において銀行に追い打ちをかけているのが「マイナス金利政策」です。日銀による金融政策で市場金利は大きく下がっています。
金利が下がったことで、銀行の基本的な収益源であった利ザヤが小さくなったわけです。銀行の利ザヤは「融資等で得られる金利」-「預金者に支払う金利」となっています。
マイナス金利政策によって預金者に支払う金利(普通預金や定期預金などの金利)も下がりはしましたが、それ以上に、融資によって受け取ることができる金利の方が大きく下がっています。
この幅「利ザヤ」が小さくなることで銀行の本来業務による収益が圧迫されているわけです。銀行は投資信託の販売や保険の販売なども手掛けていますが追い付いていないのが現状です。
口座維持手数料は海外では普通というのは本当?
日本の銀行が口座維持手数料を設定しようとしているという報道とセットで語られるのが、海外の金融機関(銀行)の話です。銀行口座の口座維持手数料というものは海外の銀行では普通であるという話ですね。
ただし、無条件に手数料がとられるというケースは少なく、一定の条件(預金残高や入金など)を満たすことで無料となったり相殺できるようになっていたりします。
日本でも口座維持手数料がかかる銀行はすでにある
一般の方はあまり使われないかもしれませんが、SMBC信託銀行(プレスティア)が口座維持手数料(2000円)を設定しています。他にも、プレスティアの場合、平均で50万円以上の預金があれば口座維持手数料は無料になります。
また、ローソン銀行は口座維持手数料はありませんが、未使用口座管理手数料というものがあります。入金・出金などがなければ未使用口座として「毎年1,320円」の手数料がかかるようになっています。
かつてはジャパンネット銀行が月額180円の口座維持手数料を設定していました。ただ2012年に廃止されました。
こんな感じで、口座維持手数料というものが日本の銀行でもないわけではありません。
口座維持手数料は残高0円だとどうなる?
基本的に口座維持手数料は残高の範囲でしかかかりません。なので、預金残高の範囲を超えて請求されることは無いでしょう。
口座維持手数料も大事だけど、その他の手数料も考えよう
ちなみに、口座維持手数料のことを考えるのも大切ですけど、その他にかかる手数料のことも考えましょう。
振込手数料やATM利用の手数料で毎回100円、200円、300円と払うコストも年に何度も払うとバカになりません。口座維持手数料だけでなく、これらの手数料の節約方法も考えましょう。
参考①:振込手数料を無料にする銀行活用術
口座維持手数料に備えて対応するべきことはなに?
口座維持手数料のことを考えると、あまり使うことがない銀行口座は整理するというのが一つの選択となりそうです。
まだ、確定している話ではありませんが、口座維持手数料を心配するべきはメインバンクとして活用している人ではなく、どちらかというと休眠口座に近い、ほとんど使ってはいないけど残高が残っている銀行です。
今のうちにやるべきこと、備えておくべきこととしては、自分や家族が持っている銀行口座を確認しておくことですかね。使っていないけど残高が残っているような銀行は、口座維持手数料の導入が決まったらリストラ(解約)も含めて検討することになりそうです。