株式投資をするときに、ある銘柄を買う時に、現物で買うのと信用取引で買うのとではどちらがよりお得になるのでしょうか?
答えは出すならケースバイケースです。今回の記事は読者様からの現物株取引と信用取引についての質問を元に、株を売買する時は信用取引、現物株取引のどちらの方がお得になるのか?という点をケースごとにまとめて比較していきます。
※元質問
ネット証券で株を売買しています。ある株を、信用余力などを考えずに、売買する時は現物で買う方がいいのか、それとも信用取引で買った方がいいのでしょうか?
現物買いと信用買いの違いを理解しよう
仮に、Aという株を購入するとして、現物株と信用取引(買い)にはどのような違いがあるのでしょうか?
決済期限
制度信用取引を利用した場合は6カ月しか建て玉を維持できません。そのため、半年以上の長期を保有することはできません。一方の現物株の場合は期限はありませんので好きなだけ保有し続けることができます。
なお、ネット証券などでは、一般信用取引といって制度信用とはルールが違い、数年単位~無期限でポジションを維持できる信用取引もあります。
制度信用取引と一般信用取引の違いについては「こちら」の記事が参考になります。
手数料
売買時の手数料については、証券会社によって異なりますが、一般的な傾向として「信用取引の方が安い」です。いくつか代表的な大手ネット証券の手数料を見てみましょう。
手薄料と言う面で考えると、信用取引が有利ですね。
現物株取引 | 信用取引 | |
---|---|---|
SBI証券 | 487円 | 360円 |
楽天証券 | 609円 | 450円 |
GMOクリック証券 | 436円 | 100円 |
マネックス証券 | 1000円 | 1000円 |
※それぞれ100万円の株を現物、信用で購入した時の手数料
金利
ちなみに、現物と信用とを比較する時に絶対に忘れてほしくないのが「金利」という概念です。
現物株取引は金利はゼロです。一方で信用取引の場合には「証券会社からお金を借りて株を買う」という形になっているため「買い方金利」という金利がかかります。
買い方金利 | 貸株料(空売り時) | |
---|---|---|
SBI証券 | 2.8% | 1.15% |
楽天証券 | 2.85% | 1.15% |
GMOクリック証券 | 2.1% | 1.10% |
マネックス証券 | 2.8% | 1.15% |
ちなみに、信用売りをした時は「貸し株料」という金利が発生します。信用買いの場合、大手ネット証券だと2.1~2.85%の金利がかかるようになっていますね。
この金利は1日単位で計算されます。
たとえば100万円の株を購入した場合、GMOクリック証券のケースでは年2.1%の金利がかかります。1日に換算すると0.005753..%です。100万円の株を信用取引で買った場合、1日当たり57.53円の金利が発生するということになります。
デイトレードや数日程度のスイングトレードなら信用取引、そうでないなら現物株の方がお得
まとめましょう。
信用取引が有利な点
・手数料が安い
現物株が有利な点
・金利がかからない
・ポジションは何年でも維持できる(長期保有可能)
まず、コスト面を実際の例で考えてみましょう。
100万円の株を現物、信用で購入した時のケースです。
現物取引時 | 信用取引時 | |
---|---|---|
手数料 | 436円 | 100円 |
信用金利 | 0円 | 1日あたり57.53円 |
合計コスト | 436円 | 100+57.53×保有日数 デイトレード:157円 5日保有:387円 10日保有:675円 15日保有:962円 30日保有:1825円 ※端数切り捨て |
デイトレードのような場合は別ですが、保有期間が長くなればなるほど金利が発生するため信用取引の方が割が悪くなってきます。
デイトレード時の余力の問題と言うことも考えると信用取引は超短期が前提となっている場合に有利、それ以外のケースでは現物株取引を選択する方が有利ということになります。
なお、デイトレードの場合、現物株取引の場合は1度使った資金は当日は使えませんが、信用取引の場合には差金決済が2013年1月より解禁されているので、何度でも取引できます。
詳しくは「現物株取引の差金決済の禁止」もご参照ください。