2014年のNISAにおいて投資された投資信託が日経新聞調査で本日報道されましたが、上位陣の顔ぶれを見ると毎月分配型ファンドが列をなしています。NISA口座の非課税メリットを享受する上で、こうした「毎月分配型ファンドはダメ」なのですが、その理由を改めて説明していきたいと思います。
ちなみにNISAって何?と言う方は「NISA(ニーサ・小額投資非課税制度)に関するまとめ」をあわせてご覧ください。
分配金受け取りに非課税のメリットを使えない
いやいや、毎月分配型からの分配金(収益分配金)は配当と同じでそれが非課税で受け取れるんでしょ?と思われるかもしれません。
もちろん、毎月分配型のファンドの分配がは本当の収益(利益)から行われていればその通りです。ただし、多くの毎月分配型のファンドは、毎月の分配において普通分配金ではなく、事実上の投資元本の払い戻しとなる「特別分配金」を出しています。
特別分配金というのは、「分配金を支払った後の基準額が、受益者(投資家)の1口あたりの個別元本を下回っている場合、分配金の範囲内でその下回っている部分」を指します。
(参考:特別分配金とは?)
この特別分配金に当たる部分は前述の通り「元本の払い戻し」に過ぎない為、NISA口座でなくてもそもそも非課税です。
実際に2014年のNISA口座で一番売れたという「好配当グローバルREITプレミアムファンド」については年間の分配金額2400円のうち996円が特別分配金となっています。仮に100万円を投資していたという場合、約13万円相当が払い戻されたのと同じことになっています。
NISA口座という年の投資額が限られている口座で非課税枠をわざわざ消費して、すぐに元本の払い戻しというのはNISAを全く有効に活用できていないことになります。
「再投資型」などもありますが、「投資信託の無分配型と再投資型との違い」でも説明している通り、再投資された分は新たにNISAの非課税枠を消費することになりますので二重に無駄となります。
複利効果が得られない
NISAは最長5年間を非課税で運用できます。
この非課税効果を最も享受できる運用方法は、5年間口座で運用し続けることです。
仮に100万円を投資し年5%の収益が見込める運用を行ったとします。
毎年収益を分配して受け取った場合、5年間の総収益は100万×5%×5年=25万円となります。
一方で、100万円を投資し、年5%で運用。分配は行わずにそのまま運用し続けたとします。
1年後:100万円×105%=105万円
2年後:105万円×105%=110.25万円
3年後:110.25万円×105%115.7525万円
4年後:115.7525万円×105%=121.5506万円
5年後:121.5506万円×105%=127.6281万円5年間の総利益「27万6281円」となります。
このように、分配を受けずに運用することで総利益は大きくなります。これは利息が利息を生むことによるもので「複利効果」と呼びます。
この複利効果を活用するという運用方法は資産運用を考える上で最も基本的な考え方の一つです。「複利の力を活用(資産運用と複利効果)」なども参考にしてみてください。
こうした複利効果についてはNISAに限った事ではありませんが、長期投資を前提とするNISA口座においては短期的な分配を考えるよりも長期的な複利効果を狙う方が有利なはずです。
短期の分配が欲しいのであれば、わざわざNISAの非課税枠を使うのではなく、一般口座(特定口座)で投資をする方が良いと思います。
最後は個人の考え方次第
もちろん、合理的な方法というものを全員の強制するわけではありません。
そもそも論として毎月分配型ファンドは、NISAかそうでないかに関わらず、効率的ではないと言われています。ですから、やっぱり毎月お金が入ってくるというのはいいよね!嬉しいよね。というのであれば、毎月分配型ファンドを選択するのは自由です。
(参考:毎月分配型の投資信託に利用価値はない)
ただし、こうした事実を知らずに「なんとなく毎月分配型を選んでいる」というのであれば、そもそもなぜ投資(資産運用)をするのかを考えて、本当にその投資信託で良いのかを一度考えてみるべきだと思います。