個人向け国債と呼ばれる国債があります。

日本国が発行する債券で国が元本と利払いを保証している債券(国債)です。かつては非常に低い金利が続いていましたが、近年の金利上昇に伴い魅力的な水準まで利回りが上がっており、安定性と換金性は抜群な商品となっています。あまりリスクを取ることはできないけど、寝かしておくのは惜しいという方にとっては最適な金融商品の一つだと思います。

今回はそんな個人向け国債という金融商品の特徴や魅力、メリット、デメリットを分かりやすく紹介していきたいと思います。

個人向け国債の基本的なしくみ

まずは、個人向け国債がどんな金融商品であるのかを見ていきます。
発行体は国(日本国)で、満期は10年、5年、3年の3商品があります。

  • 10年・・・半年ごとの変動金利
  • 5年・・・固定金利
  • 3年・・・固定金利

となっています。最大の特徴は「途中換金をすることができる」というオプションが付いていることです。

個人向け国債は発行から1年がたてばいつでも解約することができます。解約時には一定のペナルティが差し引かれて換金されます。正確な計算式としては「直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685」が差し引かれます。つまり、過去1年分の税引き後利息に相当する金額がもらえなくなるだけで、元本割れすることはありません。

発行体は日本国なので、銀行預金よりもリスクは低いです(銀行預金の場合、ペイオフの上限である1,000万円を超えた場合は銀行自身の信用リスクを負うため)。

金融商品としての個人向け国債の評価

結論からいうと、個人向け国債の商品性は高く評価しています。ただし、投資をする資金の性質的にあっている、あっていないというものはもちろんあります。以下では個人向け国債のメリット、デメリットや留意点を合わせて紹介していきます。

  • とにかく安全、円ベースで考えたら最も安全な資産
  • 10年タイプならインフレ対策・金利上昇対策になる
  • 1年経過後ならいつでもすぐに現金化できる
  • 毎月募集されており、1万円から購入可能で始めやすい
  • 税金が20.315%かかる(NISA口座は対象外)
  • 現在の金利は定期預金よりも有利なケースが多い
  • (オマケ)キャンペーンがかなり魅力的

とにかく安全、円ベースで考えたら最も安全な資産

個人向け国債は「円」という通貨で考えた場合は最強に安全な資産です。先ほども多少述べていますが、銀行預金の場合はペイオフにより保護される金額に上限があるものの、個人向け国債の場合は全額を国が保証しています。

それはおかしい、国債は発行体である国がダメになったらおしまいじゃないか?という反論もあるかと思いますが、発行体である国(日本国)が国債の償還ができないような状況で「円」に国際的価値が認められるとは思いません。 円建ての金融商品において国債以上の安全な金融商品はありません(もちろん、外貨ベースで考えると別です)。

10年タイプならインフレ対策にもなる

債券は通常は固定金利タイプです。発行時の金利が満期まで適用されるのが一般的です(銀行の定期預金と同じですね)。

ただし、個人向け国債の10年タイプは半年ごとの変動金利タイプとなっています。つまり、将来金利が上昇するようなことがあれば、合わせて、金利も上昇する仕組みになっているのです。

2024年以降、日本は本格的なインフレ・金利上昇局面に入っており、日銀も利上げを実施しています。このような経済状況において、市場金利の上昇に合わせて適用利率が見直される10年タイプの個人向け国債は、インフレ対策としても非常に有効な金融商品といえそうです。

1年経過後ならいつでもすぐに現金化できる

国債をはじめとした債券は発行後は通常二次市場で取引されます。二次市場では市場金利と発行されている債券の金利を元にして債券が時価で取引されます。

発行時点よりも市場金利が上昇すると債券価格は下落するわけです。これが債券の価格変動リスクに当たるわけです。(他にも信用リスクの上下も関係します。詳しくは「債券価格の決まり方」をご一読ください)

一方、個人向け国債の場合、1年経過すればいつでも解約することができるので国債価格が下落した場合でも元本どおりの価格で解約できるというのは大きなメリットといえます。

毎月募集されており、1万円から購入可能で始めやすい

個人向け国債は毎月募集・毎月発行が行われており、購入したいと思ったタイミングでいつでも申し込むことができます。また、財務省直販だけでなく、身近な銀行や証券会社の窓口、あるいはインターネットバンキングやネット証券を通じて手軽に購入可能です。

最低購入金額も「1万円」から1万円単位で設定されているため、少額からでもコツコツと無リスク資産を積み上げることができます。

税金の取り扱いとNISAの非対応(注意点)

個人向け国債で受け取る利子に対しては、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%の合計20.315%が源泉徴収されます。

また、注意点として個人向け国債はNISA(少額投資非課税制度)の対象外です。株式や投資信託のようにNISA口座を活用して利益を非課税にすることはできないため、この点はデメリットとして理解しておく必要があります。

定期預金との金利比較(ネットバンクとの違い)

基準となる利回り(利率)は、かつて下限の0.05%で発行されることが多かった時期もありましたが、現在(2026年4月募集分など)は大きく上昇しています。具体的には、変動10年が年1.55%、固定5年が年1.79%、固定3年が年1.51%と、いずれも1%台の高水準になっています。

【定期預金との比較シミュレーション】
2026年現在の水準で見ると、個人向け国債「固定3年」の利率は年1.39%〜1.51%程度であるのに対し、メガバンクの3年定期預金は最大でも0.6%程度です。まとまった金額を運用した場合、税引後でも大きな利息の差が生じます。

ネットバンク金利ランキング」で紹介しているようなネット銀行の特別なキャンペーン金利と比較しても、個人向け国債は十分に魅力的な選択肢となっています。

個人向け国債と「新窓販国債」の比較

途中解約のメリットを必要としない方(満期まで保有することを前提としている方)には、個人向け国債ではなく「新窓販国債」という選択肢もあります。一時期は発行停止中でしたが、2023年後半頃から毎月の発行が再開されています。

2026年4月募集分では10年固定で年2.30%に達するなど、個人向け国債よりも高い利率が設定されることが特徴です。両者の違いを表で整理しました。

比較項目 個人向け国債(変動10年) 新窓販国債(10年)
2026年4月利率 年1.55% 年2.30%
中途換金 1年後から国が元本買取保証 市場価格での売却
※元本割れリスクあり
最低購入額 1万円 5万円
購入方法 金融機関窓口・ネット 一部の金融機関窓口

資金の引き出し予定がなく、より高い固定利回りを確保したい場合は新窓販国債も併せて検討すると良いでしょう。

(オマケ)証券会社のキャンペーンがかなり魅力的

最後に、個人向け国債は各金融機関が購入額に応じた現金還元などのキャンペーンをやっています。これが結構魅力的です。
2026年4月現在であれば、SMBC日興証券、みずほ証券、大和証券などでキャンペーンが実施されています(※時期によって実施企業は異なります)。

参考:個人向け国債の利回り情報 キャッシュバックキャンペーンを活用した運用法

個人向け国債は守りのポートフォリオに役立つアセット

上記に魅力を感じるというのであれば個人向け国債は「買い」だと思います。
一方で、多少のリスクは背負ってでももっと超過収益を狙いたいという方にはあまりお勧めできない商品となっています。

特に1,000万円以上の預金を銀行に預けているという方は、個人向け国債はペイオフ対策にもなりますし、現在の金利上昇局面においてはインフレ対策にもなるため、かなりお薦めのアセットとなります。

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。