債券投資

投資商品としての個人向け国債の魅力とリスク

個人向け国債と呼ばれる国債があります。

日本国が発行する債券で国が元本と利払いを保証している債券(国債)です。決して高い利回りが期待できる商品ではありませんが、安定性と換金性は抜群な商品となっています。あまりリスクを取ることはできないけど、寝かしておくのは惜しいという方にとっては最適な金融商品の一つだと思います。

今回はそんな個人向け国債という金融商品の特徴や魅力、メリット、デメリットを分かりやすく紹介していきたいと思います。

個人向け国債の基本的なしくみ

まずは、個人向け国債がどんな金融商品であるのかを見ていきます。
発行体は国(日本国)で、満期は10年、5年、3年の3商品があります。

  • 10年・・・半年ごとの変動金利
  • 5年・・・固定金利
  • 3年・・・固定金利

となっています。最大の特徴は「途中換金をすることができる」というオプションが付いていることです。

個人向け国債は発行から1年がたてはいつでも解約することができます。解約時には過去2回分の税引き後の利息相当が差し引かれて換金されます。つまり、過去1年分の利息だけがもらえなくなるけど、ペナルティはそれだけです。

発行体は日本国なので、銀行預金よりもリスクは低いです(銀行預金の場合、ペイオフの上限である1000万円を超えた場合は銀行自身の信用リスクを負うため)。

金融商品としての個人向け国債の評価

結論からいうと、個人向け国債の商品性は高く評価しています。ただし、投資をする資金の性質的にあっている、あっていないというものはもちろんあります。以下では個人向け国債のメリット、デメリットを合わせて紹介していきます。

  • とにかく安全、円ベースで考えたら最も安全な資産
  • 10年タイプならインフレ対策にもなる
  • 1年経過後ならいつでもすぐに現金化できる
  • 金利(利回り)は低め、ネットバンクの金利のほうがいい?
  • (オマケ)キャンペーンがかなり魅力的

とにかく安全、円ベースで考えたら最も安全な資産

個人向け国債は「円」という通貨で考えた場合は最強に安全な通貨です。先ほども多少述べていますが、銀行預金の場合はペイオフにより保護される金額に上限があるものの、個人向け国債の場合は全額を国が保証しています。

それはおかしい、国債は発行体である国がダメになったらおしまいじゃないか?という反論もあるかと思いますが、発行体である国(日本国)が国債の償還ができないような状況で「円」に国際的価値が認められるとは思いません。 円建ての金融商品において国債以上の安全な金融商品はありません(もちろん、外貨ベースで考えると別ですよ)。

10年タイプならインフレ対策にもなる

債券は通常は固定金利タイプです。発行時の金利が満期まで適用されるのが一般的です(銀行の定期預金と同じですね)。

ただし、個人向け国債の10年タイプは半年ごとの変動金利タイプとなっています。つまり、将来金利が上昇するようなことがあれば、合わせて、金利も上昇する仕組みになっているのです。

現在の日本経済はインフレとは程遠い感じもありますが、中長期的な視点で考えると、インフレ対策にもなる金融商品として10年タイプの個人向け国債は魅力的といえそうです。

1年経過後ならいつでもすぐに現金化できる

国債をはじめとした債券は発行後は通常二次市場で取引されます。二次市場では市場金利と発行されている債券の金利を元にして債券が時価で取引されます。

発行時点よりも市場金利が上昇すると債券価格は下落するわけです。これが債券の価格変動リスクに当たるわけです。(他にも信用リスクの上下も関係します。詳しくは「債券価格の決まり方」をご一読ください)

一方、個人向け国債の場合、1年経過すればいつでも解約することができるので国債価格が下落した場合でも元本どおりの価格で解約できるというのは大きなメリットといえます。

なお、この途中解約のメリットを感じない方(満期保有を前提としてる方や今後の市場金利の下落を予想している方)については個人向け国債より「新窓販国債」の方が利率も高いですが、現在は発行停止中です。

金利(利回り)は低め、ネットバンクの金利のほうがいい?

一方で、基準となる利回り(利率)は低めです。2019年現在の金利は下限の0.05%で発行されることが多いです。

銀行の普通預金や定期預金と比較して決して低いわけではありませんが、「ネットバンク金利ランキング」で紹介しているように、ネット銀行系のキャンペーン金利と比較すると少し寂しいケースもあります。

(オマケ)キャンペーンがかなり魅力的

最後に個人向け国債は各金融機関がキャンペーンをやっています。これが結構魅力的です。代表的なところだとmoney-magazine.org/syoken/sbi/です。

こちらだと購入額の0.1%相当のキャッシュバックをやっています。個人向け国債は1年で解約できるので現状の利回り0.05%を考えると、持ち続けるよりも1年で解約して、再度購入してキャンペーンを受け取るほうが実質利回りが高い……なんてことにもなっています。

SBI証券公式ホームページ

個人向け国債は守りのポートフォリオに役立つアセット

上記に魅力を感じるというのであれば個人向け国債は「買い」だと思います。
一方で、多少のリスクは背負ってでももっと超過収益を狙いたいという方にはあまりお勧めできない商品となっています。

特に1000万円以上の預金を銀行に預けているという方は、個人向け国債はペイオフ対策にもなりますし、かなりお薦めとなります。

参考サイト
個人向け国債(個人向け復興国債) (@はじめての国債投資ガイド

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高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。