投資信託選びをしているとでてくる「ベンチマーク」という言葉。当ファンドは○○をベンチマークとして運用します。みたいな説明が出てきます。
今回はこの「ベンチマーク」というものが投資信託においていったいどのようなものなのか、また投資判断をするうえでどのようにベンチマークを判断材料とするべきなのかについてまとめていきたいと思います。
ベンチマークは投資信託の「目標」となる「指標」
ベンチマークとは、「本来は測量において利用する水準点を示す語。転じて金融、資産運用などや株式投資における指標銘柄など、比較のために用いる指標を意味する(wikipedia)」とされるように、比較のために用いられる指標となっています。
各投資信託では、運用のための目標としてベンチマークを設定しており、パッシブ型投資信託はベンチマーク相当を運用成果を目指し、アクティブ型投資信託はベンチマーク以上の運用成果を目指します。
たとえば、日本の株式に投資をする投資信託の場合、「日経平均株価」や「東証株価指数(TOPIX)」などが代表的なベンチマークとなるわけです。
その他、様々な「指数(インデックス)」がベンチマークとして利用されており、それぞれの投資信託の運用目的に沿う形でベンチマークを設定しています。なお、ファンドによっては「ベンチマーク」という呼び名ではなく、「参考指数」「参考インデックス」などと表現している場合もありますが同じ意味になります。
ベンチマークの種類と特徴
ベンチマークとされる指標はいわゆる「インデックス(指数)」がチョイスされます。日経平均株価やTOPIXといった指数ですね。
ベンチマークとされるインデックスは様々な機関によって計算されており、各投資信託はこれらの指数を目標値・目安値として運用するのです。
日本株に連動するインデックス
- 日経平均株価
- TOPIX
- MSCIジャパンインデックス
指数的には分かりやすいですよね。
米国株に連動するインデックス
- ダウ平均
- NASDAQ
- S&P500
など。こちらも分かりやすいものが多いです。
世界株式に連動するインデックス
- MSCIコクサイ(日本除く先進国)
- MSCIオールカントリーワールドインデックス(先進国+新興国)
- MSCIワールドインデックス(先進国)
- FTSEグローバル・オールキャップインデックス(先進国+新興国)
MSCI(モルガンスタンレーキャピタルインターナショナル)とFTSE(フィツィーラッセル)の二つが代表的です。
世界の数十か国を対象としています。それぞれの指数で対象となる国が異なるほか、大型株だけなのか?中小型株も含むのか?といったように特徴があります。
日本の債券に連動するインデックス
- NOMURA-BPI
債券系のファンドでよく用いられます。
世界債券に連動するインデックス
- シティグループ世界国債インデックス
世界の主要国の国際市場の動向を示す指標です。
REITに連動するインデックス
- 東証REIT指数
- S&PグローバルREIT指数
こんな感じです。これ以外にも様々な指数が存在しています。
ベンチマークとインデックスの違い
結果としては同じものですが、インデックスは指数であり、ベンチマークは基準や尺度を意味します。
インデックスは株価や債券価格などによって機械的に計算される数値であり、ベンチマークは各投資信託が運用の目安とする水準となります。
パッシブ型とアクティブ型の投資信託のベンチマーク
先ほど少し話の中に入れましたが、投資信託は「パッシブ型投資信託(インデックス型投資信託)」と「アクティブ型投資信託」に分類できます。
これらはベンチマークに対してどのようなスタンスで投資に臨むかという方針になります。
- パッシブ・・・ベンチマーク連動を目指す
- アクティブ・・・ベンチマーク以上の水準を目指す
という形になります。パッシブ運用は目標とするベンチマーク(インデックス)に連動するように作られます。
たとえば、日経平均(日経225)をベンチマークとするパッシブファンド(インデックスファンド)は変動率を日経平均と同じになることを目指します。それ以上でもそれ以下でもダメなのです。
一方のアクティブファンドは目標とするベンチマークよりも高い成果を出すことを目的として運用します。ファンドマネージャーが相場観などをもとにして銘柄を選定して運用します。
これだけみたらアクティブファンドの方がいいように見えるかもしれません。ただし、ベンチマークはあくまでも目標値であり、それ以下になる可能性も当然あるわけです。
また、アクティブファンドは指数と同じように運用すればいいパッシブファンドと比較して運用コストが高くなります。そのコスト分は投資信託の運用コスト(信託報酬)として上乗せされるため、コスト高です。
上記の記事でも詳しく比較していますが、個人的には投資をするならインデックスファンドの方がおすすめです。
投資信託が目標としているベンチマークから運用方針を考える
さて、投資信託におけるベンチマークをどう投資に役立てることができるかを考えていきましょう。
それは、投資信託が目標としているベンチマークを見ることでそうした投資信託がどのような投資を考えているのか?ということをみることができ、自分自身のアセットアロケーション(資産配分)を考えるのに役立てることができます。
たとえば、世界の株式に投資をするという投資信託があり、「MSCIコクサイ」をベンチマークにしているものと「MSCI ワールドインデックス」をベンチマークとしているものがあるとします。
この場合、「MSCIコクサイ」をベンチマークとするファンドはどちらかというと、海外の先進国を投資し対象として考えていることが分かります。一方の「MSCI ワールドインデックス」をベンチマークとするファンドは先進国だけでなく、新興国まで投資範囲を広げているものと見ることもできるでしょう。
このように、ベンチマークから大きな投資対象を分析することができます。