保有効果と呼ばれる人の行動があります。それは「自分が所有するもの」に対して愛着を持ち、高く評価するというものです。こうした行動は、やはり投資をするときにも出てきます。自分の保有株について自分自身が高く評価してしまうことで売れずに塩漬けになってしまうと言うこともあるわけです。今回は保有効果と投資について考えていきましょう。
保有効果とは何か?
保有効果とは自由が所有物に対して高い価値を示し、それを手放すことに対して抵抗感を感じるという心理的な効果のことを指します。
行動経済学の分野などで研究されており、ダニエル・カーネマンの実験によると保有効果は保有する期間に関わらず発生し、ただ単に配られたマグカップなどに対しても生じることが実験で分かっています。
人は誰しも「自分が所有するものを高く評価する」傾向があると言うことが分かります。
保有効果と株式投資
こうした保有効果は株式投資などの「運用」でも生じます。
自分が保有する株(投資する会社)に対して愛着がわいてしまい、それを売却するという判断をするときも、中立的な立場で評価するよりも高く評価してしまいます。そうなると市場の価格(株価)との間で乖離が生じることになるので、中々売却に踏み切れなくなってしまいます。
投資においてロスカット(損切り)の重要性については「損切り(ロスカット)の重要性」などでも説明していますが、こうしたロスカットを機械的にできないというのはこうした保有効果が密接に関係しているといえるでしょう。
保有効果を低減させるためには?
2002年にノーベル経済学賞を受賞した「ダニエル・カーネマン」によると「その財の取引について経験を積んだベテランには保有効果が生じにくい」と発表しています。
つまり、投資においてもより経験を積めば、こうした保有効果によるマイナスの影響は小さくなるといえるでしょう。
考え方として「今、その株を持っていないとして、今の状況でも購入するか?」ということを自問すると言うのも良いですね。
また、この他にも商売として取引をする場合にも保有効果は発生しないとしています。
投資をする上でも投資対象を「自己の所有物」と考えるのではなく、利益を生むための「商品」と考えるようにし、購入を仕入れ、売却を販売と考えるのも手かもしれません。
どうしてもできないというのであれば、売却のルールを機械的に定めておくというのも手です。