投資信託

ドルコスト平均法による投資のメリットとデメリット

「ドルコスト平均法」というのは、定額購入法とも呼ばれる投資方法で、定額の積立投資の優位性を示す投資手法として広く知られています。

今回はこのドルコスト平均法を実際の投資に当てはめた場合の効果と、有用性、またそのデメリットについてもあわせて解説していきます。

ドルコスト平均法とは?

ドルコスト平均法とは、積立投資をする際に「定額」を購入し続けることにより「定量」を購入するケースと比較すると平均取得単価を引き下げる効果がある投資法です。

たとえば、期間中の平均価格が100円の投資商品を同じ商品を「毎月1万円投資する」のと「毎回100単位投資をする」という場合では前者(毎月1万円を投資する)というケースのほうが平均取得価格が下がるというものです。

その理由は毎回定額を投資することで安いときは沢山買い、高いときは少しだけ買うことになり結果的に平均取得価格が引き下がるわけです。

実際に例を見ていきましょう。

ドルコスト平均法による投資の具体例

下記は1年間の平均価格が100円の投資商品を「ドルコスト平均法投資(毎月1万円ずつ投資)」と「定量購入(毎月100単位ずつ投資)」をした場合の平均投資額を算出した表です。

価格(平均100円) 定額投資(毎月1万円投資) 定量投資(毎月100単位購入)
1月 90円 111.1111111 100
2月 120円 83.33333333 100
3月 80円 125 100
4月 60円 166.6666667 100
5月 90円 111.1111111 100
6月 80円 125 100
7月 95円 105.2631579 100
8月 140円 71.42857143 100
9月 110円 90.90909091 100
10月 120円 83.33333333 100
11月 110円 90.90909091 100
12月 105円 95.23809524 100
合計
1259.303562 1200

見ていただくと分かるかと思いますが、定額投資法(ドルコスト平均法)で毎月1万円ずつ投資をした場合、1年間で1259.303562単位の購入ができています。一方、定量(毎月100単位ずつ)の場合は当然ですが1200単位しか購入できません。

差は59.303562単位生じることになるわけです。仮に平均価格である100円で計算すると12万円の投資で5930円もの差が生じる結果となるわけです(ドルコスト平均法のほうが有利)。

なぜ差が生じるのか?ドルコスト平均法は万能か?

ドルコスト平均等による投資でなぜ差が生じるのかというと、「安いときは沢山買い、高いときは少しだけ買う」という戦略を自動的に行っているからです。上記の例では平均価格は100円ですが、100円をはさんで値動きしています。

そのため、平均価格が同一となる場合は定数を投資し続けるよりも安いときに沢山買って、高いときには少ししか買わない戦略が奏功するわけです。
特に、相場が上下にジグザグに動くような相場で力を発揮します。

じゃあ、ドルコスト平均法が万能なのか?という話ですが、そうではありません。
あくまでも、「定数を投資し続ける場合と比較するとお得」ということになります。

一方、相場はどのように動くかわかりません。たとえば右肩上がりに上昇するような相場であれば、ドルコスト平均法を使って投資をするよりも当初にまとめて投資をする方がお得です。額に、右肩下がりに下落するような相場であれば、当初から投資すべきではありません(最初に買っている分は含み損となるため)。
このような一方通行の相場の時にはドルコスト平均法は有効ではなくなります。

ドルコスト平均法は「投資の恐怖をやわらげる」

前述のようにドルコスト平均法にはメリットもデメリットも存在します。
ただし、一般の投資家にとってドルコスト平均法には大きなもう一つのメリットがあります。それは投資による損失恐怖をやわらげる効果があるということだと思います。

投資である以上、相場というものを100%読みきることなど誰もできません。そうした中でピンポイントで売買をするというのは難しいものです。下げ相場の中で買い向かうのは勇気が要りますし、上昇相場で買うのも高値掴みの心配がでてきます。

ドルコスト平均法によって積立投資をするというのは、こうした「相場判断」を行わず機械的に投資できるというのが強みとなるのです。意外とこれは馬鹿にできないことだと思います。
また、積立投資をすることで自動的に「時間分散」ができるというのもメリットです。

ドルコスト平均法投資ができる投資商品

ドルコスト平均法の投資をするためには「定額で投資ができる」ということが必要です。

これに一番向いているのは「投資信託」です。投資信託は毎月1万円といったような定額での投資が可能です。また、外国為替も同じように投資可能です。毎月5000円ずつ米ドルを買うといった投資が可能です。

一方で株式やETFのような商品はできません。株やETF場合は基本的に株数単位での投資になりますので定額投資はできません。(一部、株式投資でも「るいとう」のような定額投資が可能な方法もあります)

また、SMBC日興証券が2019年に「キンカブ」という金額指定で株を売買できるサービスを開始しています。株式の積立投資としてはかなり使えるサービスになっていると思います。

キンカブのメリット、デメリット。ドルコスト平均法で株が買えるSMBC日興証券 大手証券のSMBC日興証券が提供している株式投資サービスに「キンカブ」というものがあります。これは、株式の定期定額買付サービスと...

新しい考え方「バリュー平均法」

ドルコスト平均法の考えを応用した運用方法に「バリュー平均法」という運用スタイルも近年注目されています。これはドルコスト平均法の「安いときは沢山買い、高いときは少しだけ買う」という戦略をより強化したものです。

詳しくは「新しい積立投資のやり方「バリュー平均法」とは?そのメリット、デメリット」で紹介しているので、この記事もぜひご一読ください。

参考サイト
投資信託とドルコスト平均法
おすすめの外貨MMF投資とドルコスト平均法の活用

ABOUT ME
高山一郎
高山一郎です。株や投資に関する情報発信を始めて10年以上、投資歴は15年以上です。実際の経験に基づく役立つ投資やお金に関する情報を発信していきます。