ドルコスト平均法による投資のメリットとデメリット

金融庁は資産形成の基本として「長期・積立・分散投資」を紹介しており、積立投資について、あらかじめ決まった金額を続けて投資することで、少額から始めやすく、高いときだけ買ってしまうことを避けやすいと説明しています。
ただし、ドルコスト平均法は損失をなくす方法ではありません。価格変動のある商品に投資する以上、元本割れの可能性はあります。メリットとデメリットを理解したうえで、自分の目的やリスク許容度に合うかを考えることが大切です。
ドルコスト平均法の仕組み
ドルコスト平均法では、投資する金額を一定にします。価格が高いときは少ない数量しか買えず、価格が安いときは多くの数量を買えます。その結果、毎回同じ数量を買う方法と比べて、平均取得単価を平準化しやすくなります。
たとえば、ある投資信託を毎月1万円ずつ買う場合を考えます。
| 月 | 基準価額 | 購入できる口数のイメージ |
|---|---|---|
| 1月 | 10,000円 | 1.0口 |
| 2月 | 8,000円 | 1.25口 |
| 3月 | 12,500円 | 0.8口 |
価格が下がった2月は多く買え、価格が上がった3月は少なく買うことになります。これにより、買うタイミングを一度に決める心理的な負担を軽くしやすい点が特徴です。
ドルコスト平均法のメリット
1. 投資タイミングに悩みにくい
相場の底値を正確に当てることは、プロでも簡単ではありません。ドルコスト平均法は、あらかじめ決めた日に機械的に買い付けるため、「今が買い時か」を毎回判断する負担を減らせます。
2. 高値づかみのリスクを分散できる
まとまった資金を一度に投資すると、投資直後に相場が下落した場合の心理的ダメージが大きくなります。複数回に分けて投資すれば、特定の日の価格に結果が左右されにくくなります。
3. 少額から始めやすい
投資信託の積立は、少額から設定できる金融機関が多く、毎月の家計に合わせて続けやすい方法です。まとまった資金がない人でも、収入の一部を資産形成に回しやすい点は大きなメリットです。
4. 感情に左右されにくい
相場が下がると怖くなって売り、上がると焦って買いたくなるのが人間の心理です。FINRAも、ドルコスト平均法は市場変動にかかわらず一定額を投資し続けることで、マーケットタイミングを狙う誘惑を避けやすくすると説明しています。
ドルコスト平均法のデメリット
1. 上昇相場では一括投資に劣ることがある
相場が長期的に右肩上がりで進む場合、早い段階でまとめて投資したほうが運用期間を長く取れるため、結果的に有利になることがあります。ドルコスト平均法はリスクを分散する方法であり、常に最も高いリターンを狙う方法ではありません。
2. 下落相場では損失を避けられない
価格が下がっている間も買い続けるため、投資対象そのものが長期的に回復しない場合は損失が膨らむことがあります。積立を続けることと、投資先を見直さないことは別です。商品選びや分散投資は欠かせません。
3. 手数料や商品コストの確認が必要
投資信託なら信託報酬、株式やETFなら売買手数料やスプレッドなど、投資にはコストがかかります。積立額が小さいほどコストの影響が相対的に大きくなる場合があるため、低コストの商品や手数料体系を確認しましょう。
4. 売却タイミングの問題は残る
ドルコスト平均法は「買い方」の工夫です。将来いつ売るか、どのくらい現金化するか、目標額に近づいたときにリスク資産を減らすかといった出口戦略までは自動的に決めてくれません。
ドルコスト平均法と相性がよい商品
ドルコスト平均法と相性がよい代表的な商品は、低コストで分散された投資信託です。毎月一定額を自動で買い付けやすく、国内外の株式や債券などに分散しやすいため、長期投資の仕組みを作りやすいからです。
一方、個別株だけで積立を行う場合は、企業固有のリスクが大きくなります。株式の定額買付や単元未満株サービスを使えば金額指定で買えるケースもありますが、分散が不十分にならないよう注意が必要です。
新NISAで使う場合の考え方
2024年から始まった新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。ドルコスト平均法は、特につみたて投資枠と相性がよい方法です。毎月の積立額を決め、低コストで分散された投資信託を長期で保有する設計にすると、制度の非課税メリットを活かしやすくなります。
ただし、NISA口座であっても投資対象の価格は変動します。非課税制度は利益に対する税負担を軽くする仕組みであり、利益を保証するものではありません。
まとめ
ドルコスト平均法は、一定額を定期的に投資することで、購入タイミングを分散し、感情に左右されにくくする方法です。少額から始めやすく、長期・積立・分散投資の実践にも向いています。
一方で、上昇相場では一括投資に劣ることがあり、下落相場では損失を避けられません。ドルコスト平均法は万能な投資法ではなく、長く続けるための仕組みづくりの一つです。投資目的、期間、リスク許容度、商品コストを確認しながら活用しましょう。
