鬼より怖い一文新値という相場格言があります。一文というのは昔のお金の単位で現在における1円。新値というのは過去の高値安値の更新を指しますが、この格言における新値は新高値のことを指します。格言の意味は前回の高値を1文(1円)こえたところで付けた天井は強烈な天井となるという意味です。また、安易な高値追いという投資を戒める格言でもあります。
ダブルトップ(二重天井)の形成
鬼より怖い一文新値をチャートにすると、M字型のダブルトップという形のチャートになります。二重天井とも呼ばれ上昇相場における売りサインの一種と言われています。
なぜ、これが「鬼より怖い」と言われるのかというと、1文新値ということは、前回の高値を一旦は超えているわけです。前回高値はチャートにおける「抵抗線」といって売り圧力が強まる部分なのですが、これを一旦は超えているわけで、相場的には高値追いが発生しやすい状況です。
いかにも強く見えるのに、勢いが続かずにすぐに下落に転じてしまう。そういう状況では高値に対して買い向かった人も多いはずでそうした投資をした人はすぐに含み損となってしまうわけです。
また、相場が戻ろうにも、新高値で高値追いした買い手の戻り売りが前回よりもさらに強烈な抵抗線として作用することになります。こうしたことから、1文新値は鬼より怖いと言われるのです。
ちなみに、1文=1円と言いましたが、別に1円だけ新高値を付けた場合が問題というわけではなく、わずかな金額という意味でとらえてください。「4円新高値を更新した=怖くない」という意味ではありません。